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「入試の現代文が解けない」河村がぶち当たった壁

――書くことの難しさを自覚したのって、いつ頃なんでしょうか。

河村 まず、入試の現代文が解けん、っていうところよ。

▲ぶち当たった壁は、入試だった

――そこなんだ。

河村 入試で出るような現代文の問題が思ったより解けなくて、解説を聞くとわかるっていう事実が、「書かれているものが読めてないんだったら、日本語が使えていない」ということなんじゃないかって。

つまり、日本語で会話はできるけど実は使えてないんです、って時期が自分には20年くらいあったんですね。

――20年。

河村 そう。外国語がどれくらいできるか話すときに「日常会話くらいならできます」って言い方あるじゃないですか。「会話や買い物はできるけど、もうちょっと先の難しいことはできないかな」みたいな。僕は、日本語がそうだったんですよ。

▲「小さい頃は、難しい文章も読めているような気がしたんだけど」

――そう自覚し始めたのが、入試の頃と。

河村 日本語って、思ったよりみんな使えていないものなんですよ。入試が解けないことに「やばい」と思いつつ、その後大学に入学してからクイズを始めまして。文章力が明らかに上がっていったのは、クイズを作りまくったからなのかもしれないですね。

早押しクイズ用の問題をよく作っていたんですが、早押しクイズって相手がどのタイミングでボタンを押してくるかわからないじゃないですか。

――そうですね。

河村 ならどこで押されてもいいような問題にしようとすると、どうすればいいか。簡単なことで、じゃあどこを見てもちゃんとしているようにしよう、ということなんですね。単語レベルに目が行くように、って感じでした。

▲クイズだからできたこと

――面白いですね。クイズプレイヤーにもいろんな作問スタイルの方がいますが、特徴的な視点かもしれませんね。

河村 当時いっぱい作っていたのが60から80文字くらいで収まるものだったので、そのなかだとすごく細かいところまで考えても手が回るというか。小説を一冊書いて1個1個助詞の用法とかまできっちり気をつけようとすると、たぶんとても終わらないんだけど、60字だとできちゃうんですよね。全てに極限まで気をつかって文章を作れるっていう。

――なるほど。

河村 本当に、「幼児向けの国語ドリルの難しいバージョン」をずっとやっていたみたいな感じでしたね。

――クイズの作問で基礎が固められたんですね。でも、大学入試にしろクイズにしろ、最初はうまくできなかったわけじゃないですか。そのなかで、作ること、表現することにこだわり続けられた理由ってなんですか?

河村 なぜ作ることにこだわるかというと、それが「瀉血しゃけつ」に近い行為だと思ってるから、ですかね。

▲あまり馴染みのない単語が口から飛び出す

――瀉血?
※瀉血:治療の目的で血液の一部を体の外に出すこと。古くはしばしば用いられていたが、現在ではほとんど行われることがない。

河村 書こうとしなくても、出てきちゃうんですよね。

――なるほど。

河村 動画の企画とかもそうなんですけど、「こうしたらできるな」ってものが頭の中にあったとして、それを頭の中に置いたままにしておくのって邪魔だし持っていてもなんの意味もないしで、そうなると書かなきゃいけないな、って思っちゃうんですよね。

――それが原動力なんですね。最初は「書けそうな気がする」だったものが、どういう風にその「書かないといけない」みたいな感情に変わっていったんでしょうか。

河村 まず「何かを作んなきゃいけない」というのがあって、かつ僕がとれる手段はこれしかないんだろう、という予感があって。

▲「これしかないのかなって」

――だから必然的に。

河村 そうですね。自分の内側にあるものを出せないと、何かが詰まっているような感覚を持っていました。

――聞いていると、根っからの創作者としての素質みたいなものも感じてしまいますね。河村さんのスタイルがなんとなくわかった気がします。

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この記事を書いた人

志賀玲太

志賀玲太です。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業。なんだかよくわからない記事を書きます。大概のことは好きです。

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