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本を読むことの意味って?「数ある体験のひとつに過ぎないのかな」

――ここからは読書体験の意義について聞きたいです。一般に「本は読んだ方がいい」といわれますが、全ての人が本に魅力を感じるわけではないですよね。河村さんはどう考えますか?

河村 難しいことですね。「本は読んだ方がいい」には賛成なんですけど、それって「運動はしたほうがいい」とかと同じことだなと思っています。「睡眠時間はとった方がいい」「食事はおいしい方がいい」「数学はできた方がいい」……そうしたことと比べたうえで、本をとりわけ重要だと扱うことができるかは、その人次第だと思っているんですよね。

▲「ナントカした方がいいって、大体そうだからね」

「他のものを差し置いてでも本を読め」というのは、結構難しいことなんじゃないかと思います。これは僕がYouTuberであることにも関係していることかもしれません。色々なものが溢れてるじゃないですか、現代って。

――コンテンツが、ということでしょうか。

河村 そう。そのなかで、例えば我々がYouTubeで10分の動画を出したとき、10分をQuizKnockに費やしてくれる人が多いと嬉しいわけです。じゃあその10分を我々に割いてくれる人はどこから来てくれるのかを簡単に考えると、まずライバルであるのは他のYouTuberだと思うんですよね。「HIKAKINさんの動画観ようかな、QuizKnockの動画観ようかな」ってなるのはわかりやすいじゃないですか。

一方で、もっと広く視聴者の10分をもらうのだとしたら、ライバルとして「QuizKnock vs 地上波テレビ」とか「QuizKnock vs プロ野球」とか、「QuizKnock vs 昼寝」みたいなことも起こるんですね。実際は「うわ、10分あるけど何しようかな」ってなったとき、コンテンツは万物と戦わなきゃいけないなと思っていて。

僕はそういう意味で、読書とYouTubeは戦わせていいと思ってるんですよ。

――なるほど。

河村 ここに読むのに3時間かかる本と、観るのに3時間かかるQuizKnockの動画があるとした場合どうしますか? という話なんですが、本を読んだ方がいいというにはある種の理由付けが必要なわけです。要するに、本だけから得られるものを頑張って探して並べることになるんですが、僕は正直そういうことには興味がないんです。

「日本語がうまくなるよ」とかはもちろん言えるんですが、それが本質であるとはあまり考えないんですよね。本については「読書をすることは他人の人生を追体験すること」とか「人生は一行のボオドレエルにも若かない」とか、他にも色んなことが言われますが、そうかどうかを決めるのは結局自分であってほしいという思いがあります。

▲「決めるのは、自分であってほしい」

――なんとなく、河村さんの考え方がわかった気がします。

河村 ただ、読ンダホウガイイトモ思イマスヨ。

――(笑)。

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この記事を書いた人

志賀玲太

志賀玲太です。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業。なんだかよくわからない記事を書きます。大概のことは好きです。

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