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本が教えてくれたものは「距離の取り方なのかな」

――そのうえで、河村さんご自身は「本を読んでよかった」と思えるようなことはありますか?

河村 まず、第一に2時間読んで2時間面白いのは読書の大事なことですね(笑)。

▲「本じゃなきゃダメかというと、正直困るんですが」

河村 というのはさておき、本でなくては得られない体験を強いて挙げるなら「作品が自分の中で完成すること」があると思っています。

例えば、漫画や映画であれば「リンゴ」というものを伝えるときに、どうしてもそのものを出さなきゃいけないじゃないですか。一方で、文章において「リンゴ」の像が結ばれるのって、受け手である自分の中なんですよね。

そういう意味で、読書体験はコミュニケーションの特殊な例としてめちゃくちゃ意味があることだと、僕は思っています。何か情報を仕入れるために読書したいわけではないんですよね。

――読書を通じて何かを知れてよかった、みたいなことではないわけですね。

河村 語彙が得られてよかったとか思いたければ、僕は本当に辞書を読むので。

――(笑)。

▲この人は本当に辞書をそのまま読む

河村 あとは、本を読むということは、他人の人生をある程度自分の手のひらの中で転がすことにはなるので、そういう意味での特殊性はあるのかなと感じますね。その特殊性を得られたことはよかったことかなと思います。

――それでいうと、本には他人の人生との接点みたいな役割もありそうですが、本を読むことで人と通じ合えた、みたいな経験はありますか?

河村 それについては経験があったか、かなり怪しいですね。もちろん心情が描かれたものであれば自分が共感、納得できる部分もあるんですが、「納得はするけど自分はそうしない」というものもあるので。

ミステリではよく人が人を殺すわけですが、でも僕は怒っても人を殺さないんですよ。

――そうですよね(笑)。

河村 「他人とはわかり合えない」ということに納得したうえで読み進めていく、というのが本を1回読んだ段階で起こることなんじゃないかと思います。他人と通じ合えたか、と言われると、適度に結びつきを強めていく程度ぐらいの感じなのかな。

――『涼宮ハルヒの憂鬱』の話でも感じましたが、河村さんにとっては読書は共感や没入というよりも、距離の取り方みたいなものが大事にも思えますね。

河村 そうですね。例えば僕はこの世界にリアル河村拓哉として存在しているわけですけど、そこに物語がないとニュースを見ていても「アメリカと僕」くらいのふわっとした関係までにしか迫れない気がするんです。読書はそうした自分と何かの関係性を、より細かなものに掘り下げてくれるものなのかもしれないですね。


前編は本を読み、本に向き合うようになった経緯や、読むことそのものへの考え方について聞いていきました。

次回、中編は「書くこと」に焦点を当てた内容になります。“文筆家”河村拓哉の原点や、クイズの作問にまで及ぶ「文章を書くこと」の根底にある彼の考え方に迫ります。引き続き、お楽しみください!

【中編に続く】

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この記事を書いた人

志賀玲太

志賀玲太です。東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業。なんだかよくわからない記事を書きます。大概のことは好きです。

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