QuizKnockのパズル王・ふくらPをかたちづくってきた、これまでのパズルにまつわるエピソードや「パズル的思考」について掘り下げるインタビュー(全3回)。
▲オフィスにたくさんあるパズルとともに、インタビューに答えるふくらP
後編となる今回の主題は、「パズルと動画企画」の共通点。QuizKnockの動画プロデューサーを務めるふくらPは、どのように企画を作り上げているのでしょうか? 「出題のない部屋」や「目を閉じたまま動画を再生してください」などの動画が生まれた裏話も含め、ふくらPが「目指すもの」について語ってもらいました。
【前編・中編はこちら】
目次
◎ 動画「出題のない部屋」の裏話「もともとの企画は違ってて……」
◎ 「常識を壊したい」ふくらPが書き出した常識リスト
◎ 「よく考えられてるな」と思われる企画を作りたい
動画「出題のない部屋」の裏話「もともとの企画は違ってて……」
――ここからはパズルとQuizKnockの動画制作との繋がりについて聞きたいです。ここまでのインタビューで話していた「パズル的思考」について、動画の企画を考える際にも活かされていますか?
ふくら ロジカルシンキングというのは絶対に活かされていますね。ちょっと抽象的な話になっちゃいますけど、いろんな角度で見たり、パターンを試したりして、次の企画にフィードバックをしているので。
たとえば、「違う角度で考えて解決した」っていうものだと、「出題のない部屋」っていう動画があって。
▲2022年8月に公開された「出題のない部屋」
――部屋に9個の段ボールと早押しボタンが置かれているだけ、という状態から、何も知らされていない挑戦者2人(鶴崎修功・山本祥彰)が協力して正答を目指すというものですね。段ボールを用いたパズルがキーとなってました。
ふくら あのパズルの仕組みは、もともと企画スタッフが考えてくれたものでした。でも、当初は「パズルを先に完成させた方が勝ち」っていうシンプルなゲームとして提案された企画だったんですね。
▲「出題のない部屋」はもともとシンプルな企画だった
ふくら このパズル自体はすごいし、答えが生まれるのもおもしろいし、考え込まれているんだけど、原案のまま動画にするのはもったいないよなみたいなのがあって。解答までの過程も単純作業っぽく見えて地味になっちゃうし、1問解いて終わりなのもあっさりしすぎちゃうし、かと言って、2問3問も解くとしても同じことの繰り返しになっちゃう。
だけど、最初に解けたときは感動するから……みたいなことを考えたときに、ルールすら言わないのがいいんじゃないかって。
――なるほど、あの動画は「ルールを伝えない企画を作ろう」が出発点ではなくて、「このパズルを最大限活かすにはどうしたらいいか」という発想から生まれたということですね。
ふくら そうですそうです。パズルの最大効力を引き出したいとなったときに、問題数を変えるとか制限時間をつけるとかの工夫は割とすぐに考えつくと思うんですよね。でもやっぱり劇的によくするのは「もっと根本的なとこだな」っていう発想で、別の角度から考えるのって意外となかなかできないと思うんです。……自分で言うのもなんかあれですけど。
▲「自分で言うのもなんなんだけどね」
――企画の設定自体がかなりインパクトのあるものだったので、そういう経緯だったというのはおもしろいです。他の企画も「出題のない部屋」のようにパズルやクイズが先にあって、見せ方を考えているものなのでしょうか?
ふくら そうとも限らないですね。「こういうことをやってみたい」っていうところから問題を考えることがあります。
――そのなかでも特に思い入れのある企画はありますか?
ふくら 河村(拓哉)が考えた「選択肢が全部同じクイズ」とか、はなおさんとゆきりぬさんとコラボした脱出ゲームの動画とかですかね。
あとは「目を閉じたまま動画を再生してください」かな。
▲2022年2月に公開された「目を閉じたまま動画を再生してください」
――目を閉じたまま、メンバーがクイズに挑戦する様子を音声だけで楽しむという動画ですね。最後まで聞くと、意外な展開が待っているという……。この企画は「視覚と聴覚のギャップ」を用いたものですが、この違いを使った企画がやりたいというのが出発点だったのですか?
ふくら いや、それは後から思いついたもので。最初は常識を壊したいなと思って。