こんにちは。豊岡です。
私の所属する東大クイズ研究会には、知識欲が高じてか、クイズのほかに様々な変わった趣味を追求する会員がいます。
これまでだと、ルービックキューブのトップレベル選手、クリケット(イギリス発祥のスポーツ)プレイヤー、ふすまと障子の張り替えが趣味の人物などが在籍していました。QuizKnockのライター陣だと、あきのぶ君がペタンク(フランス発祥のスポーツ)サークルを主宰しています。
そんな中、とある会員はエスニック料理が好きで、「都内のハンガリー料理店を全店制覇した」という実績を持っています。ひたすらストイックにエスニック料理を紹介する彼のSNSは、「女子大生や有閑マダムのよう」と評されています。
そんな彼に紹介してもらったエスニック料理の中から、いくつかをピックアップして数回の連載形式で紹介したいと思います。首都圏中心になってしまいましたが、その料理が食べられる店も紹介しています。是非ご覧ください。
初回である今回は、皆さんほとんど食べたことがないであろうブータン料理をご紹介します。イチ押しブータン料理
ブータンは、インドと中国に挟まれた場所にある、南アジアの小さな国です。近年では、経済成長より幸福度を重視する政策をとっていることでも有名になりました。
そんなブータンの料理に欠かせないのがトウガラシです。ブータンの料理には、スパイスとしてではなく、あくまで「野菜」としてふんだんに入っています。これでもかとトウガラシの入った激辛料理で汗をかきつつ、大量のご飯を消費するのがブータン人の食事です。ブータン料理のことを「世界一辛い料理」と呼ぶ人もいるほどです。
代表的なブータン料理をいくつか紹介していきましょう。まずは、トウガラシをチーズで煮込んだ料理「エマダツィ」です。
現地の言葉で「エマ」はトウガラシを、「ダツィ」はチーズを意味しています。
この料理、入っている具材はトウガラシだけです。写真に写っている赤い野菜は赤トウガラシ、緑の野菜は青トウガラシです。この料理を頼んだが最後、食べるべきものはトウガラシしかないので、逃げ場はありません。ブータン料理のある種の究極形でしょう。
しかしブータンでは、3食すべてがエマダツィとご飯という人も多いとのこと。過激な見た目とは裏腹に、日本における味噌汁のような存在なのです。
ちなみにこのエマダツィに、様々な他の野菜を加えることで、様々な新しいチーズ煮込み料理を生み出すことができます。例えば、エマダツィにジャガイモを加えた「ケワダツィ」、キノコを加えた「シャモダツィ」などがあります。これらは総称して「ダツィ料理」と呼ばれます。
ダツィ料理は、トウガラシ以外の具材もたくさん入っており、ほどよい辛さで美味しく食べられると思います。トウガラシとチーズの絶妙な組み合わせは癖になります。私はケワダツィの味が忘れられず、家の台所で自作を試みたほどです。
ダツィ系以外の代表的なブータン料理としては「パクシャパ」「ホゲ」が挙げられます。
パクシャパは、干し肉・トウガラシ・ダイコンを煮込んだ料理です。
ホゲは、様々な野菜を入れてカッテージチーズをかけたブータンのサラダです。トウガラシは使われていませんが、代わりにサンショウがふんだんに入っていて、一口食べると舌がピリピリしてきます。トウガラシとは違う、別の路線からの辛さから攻めてくる料理です。
なぜブータン料理にトウガラシが多い?
それにしても、なぜブータン料理はこんな激辛になったのでしょうか? おそらく、ブータンの地理的条件と深い関係があります。
ブータンは、国土が全体的に山がちで標高が高く、寒冷な気候です。また、平野が少なく、やせた土地が多い傾向にあります。このような農業に不向きな環境のせいで、ブータンで栽培できる野菜の種類は非常に限られていました。
そこに、南米原産のトウガラシが伝来しました。トウガラシは、寒冷な痩せた土地でもよく育つ傾向にあります。またトウガラシの辛味には食欲増進効果があり、体を温めることも出来ます。
トウガラシは、それまで貧しかった人々の食生活を一気に豊かにし、ブータン人は皆トウガラシに夢中になって、今日の食文化が形成されたと考えられます。
食べられる店—『ガテモタブン』
代々木上原にある『ガテモタブン』は、おそらく日本唯一のブータン料理店です。 大人気ドラマ『孤独のグルメSeason5』でも取り上げられており、私を含め東大クイズ研メンバー御用達の店でもあります。ぜひ!関連ランキング:南アジア料理(その他) | 代々木上原駅、代々木八幡駅、代々木公園駅
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