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科学者にとっても「想定外」だった東日本大震災から、もうすぐ6年になります。 地震についてだいぶ多くのことが分かってきましたが、まだまだ謎に包まれていることがたくさんあり、とても興味深い研究の対象です。これから2回のシリーズで、現状の地震学について何が分かっていて何が分かっていないかを、東大で地震学を専攻している筆者が紹介しようと思います。

初回はマグニチュードや地震予知について話そうと思います。次回は緊急地震速報、余震、津波などについて書く予定です。

と、その前に基本事項についてひとつクイズです。

地震は地下深くの「すべり」

地震とは何でしょうか? 昔の人は地面の中でナマズが動くなどと想像したそうですが、現在では地下の急激な断層運動であることが分かっています。岩盤内にある亀裂に強い力がかかると、耐えきれなくなってずれ動きます。この過程が非常にゆっくり起これば地面が揺れることはないのですが、急激に起きると(だいたい数メートル毎秒)地震波が放出され地上まで伝わって揺れを感じるわけです。

地震は地下の断層運動。地上まで地震波が地上まで到達する

私たちが「ゆれたな……」と思ってテレビをつけるとだいたい1分ほどで震度速報が流れます。震度(ある地点における揺れの強さ)は地震計が測定した加速度をもとに、震度0から震度7までの10段階で表されます(震度5と6は弱・強に分かれています)。

現在は、地震計が計測した地面の加速度から震度を計算していますが、実は1996年以前は機械ではなく人間が測定していました。「これくらいゆれたから震度4、これくらい建物が壊れたから震度6強」という感じです。地震の観測というのは実はすごく最近になって発展してきたのです。地震学は実はとても若い学問です。

マグニチュードは地震の大きさ。M12だと地球が真っ二つ

地震の発生から3~4分たつと、気象庁が各地の地震計のデータを分析して地震の震源の位置とマグニチュードを発表します。(また、津波の危険性がある場合は津波注意報・津波警報を発表します。)

震央の位置と各地の震度。これは2月28日16時49分に起きた最大震度5弱の福島県沖の地震。久々の3.11の大きな余震でした。
気象庁HP / Via http://www.jma.go.jp/jp/quake/

マグニチュードは「地震の大きさ」を表す値です。同じ地震でも震度は場所によって異なるので、地震そのものの大きさを表す量としてマグニチュードが使われます。マグニチュードは地震のエネルギーと言われることが多いですが、おおよそ地震で動いた断層の大きさに対応しています。

マグニチュードが1大きくなることは、地震のエネルギーが√1000=だいたい31.6倍になることを意味しています。これは断層の面積がおよそ10倍になることに対応しています。

断層の面積が大きくなることは地震の破壊が始まってから終わるまでかかる時間が長くなることを意味しています。実際大きな地震ほど揺れの継続時間が長くなります。M9.0の東日本大震災では本震の揺れだけで3分程度持続しました。「揺れは小さいけど長いな……」と感じたらそれは遠くで発生した大きな地震である可能性が高いです。

日本ではマグニチュード8は平均して10年に1度起きる

マグニチュードが1大きくなると地震の発生頻度がおよそ10分の1になることが知られています。(グーテンベルク・リヒター則といいます)例えば地球上ではマグニチュード8以上の地震が1年に1回程度平均して起きています。マグニチュード7以上なら10回、6以上なら100回、……という感じに増えていきます。

一方で日本では地球上で起こる地震のだいたい1割が起きるので(日本は地震大国です)、日本ではM8が10年に1回、M7が1年に1回、M6が1年に10回程度起きています。もちろん平均してなので年によって大きく増減しますが、だいたいこれくらい起こるという目安として知っておくといいかもしれません。

マグニチュードと言っても実はその定義の仕方によってさまざまな種類があります。日本では気象庁が定める「気象庁マグニチュード」が一般的に使われています。学会の標準は「モーメントマグニチュード」というものです。

気象庁マグニチュード(Mj)とモーメントマグニチュード(Mw)は計算方法が違いますから同じ地震でも少し違う値になります。たとえば、2011年東北地方太平洋沖地震ではMjは8.4、Mwは9.0、2016年熊本地震ではMjは7.3、Mwは7.0です。

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この記事を書いた人

S.O.

現在は東京大学大学院博士2年。QuizKnock最初期にいくつか記事を書いていました。

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