――――午前4時半、中央区築地。
我等QuizKnockライター陣は、眠い目をこすりながらもどこかハイテンションで、築地市場正門に集合していた。
……とあるツテで築地の大卸のひとつ、東都水産様とコネクションを持つことができた当メディア。移転問題に揺れる築地市場であるが、よく考えてみるとその中を見たことはない人がほとんどなのではないだろうか。僕・伊沢もそうだった。
知らないことがある、と気づいただけでもウズウズしてしまうのがクイズ王の性。東都水産様からのご厚意にあずかる形で、通常用意されている1日120人という見学枠とは別に、特別見学会を開催していただいたのだった。
すべては全知全能に近づくための道。ニュースで聞いたものを物知り顔で語るだけでは満足ならないのだ!
と、築地に入る前に、カンタンな基礎知識をおさらい!
築地市場は東京ドーム約5個分の広大な面積を誇るが、「面積で1番」というわけではない。取引規模が世界最大の魚市場なのだ。
ということで、冒頭に戻るのであります。 4時半というとまだ始発も動いていない時間。しかし、深夜から仕事が始まる築地時間でいえば、真昼間のようなもの。 まだ入り口の前なのに、中の活気がビンビンに伝わってきます。磯の香りもはっきりと。
今回のナビゲーターは東都水産の小島課長。目次
築地市場の地図
そもそも、「築地市場」という言葉をニュースで聞くことは多いけれど、実際にどのような場所なのか「中までくまなく見た」という人はほとんどいないはず。 築地市場の全体図は、このようになっています。上から見るとこんな感じ。
冒頭で我々が立っているのが、築地市場正門の前。都営大江戸線「築地市場駅」からすぐのところにあります。
実は、一般的な築地市場の観光イメージ「海鮮がいっぱい食べられる!」……のは、ここにある築地市場ではなく。
もちろん、市場内のお店で美味しい海鮮を食べることも出来ます(なんと喫茶店まである)が、多くのお店は「場外市場」と呼ばれる、築地市場の隣にあるスペースにあるのです。
つまり、我々が入っていくのは、正真正銘の「市場」=「取引の場」なのです。
ということで、いよいよ場内に踏み込みます。この前編で我々が辿ったルートは以下の通り。
まずは正門から青果門(青果の運び込みに使う門)へ移動し、築地内部に潜入だ!
① 青果市場→水産物部本館
魚市場として有名な築地ですが、もちろん野菜や果物の取り扱いもあります。
両側から漂うフルーティーな香りに包まれながら、一行は大きな階段を登って建物にin。
入っていく建物は「水産物部本館」。主に大卸の本社や、市場に付随する様々な施設が入っている建物です。昭和はじめの佇まいを今に残す重厚な建物は、映画のロケにもよく使われるそう。
上の図で言うと、濃い青のカーブした建物がここにあたります。
なぜこのような形をしているかというと、1935年の開市当初、築地への荷降ろしは鉄道輸送で行われていたから。止まった鉄道から市場内に効率よくものを運べるよう、市場の外側に放射状に線路を走らせたのです。
曲がっているのは、鉄道から市場内部への距離を一定にしてスピーディに商品を運ぶため&列車が入る距離を稼ぐため。直線になっていたら、列車の端っこから市場内部への距離は遠くなりますし、面積も多くかかってしまいますよね。その名残で、現在もこんな配置になっているのです。
長い廊下の手始めは「衛生検査所」。
ソウシハギやキタマクラなど毒持ちの魚の展示に、一同のテンションも上がります(そういう人ばかり集まっています)。
キタマクラはフグの仲間で、その毒性の強さから「人が死んだ時、枕を北側に向けて寝かせる」ことにちなんで名付けられた魚です。食べないで!
その後は、都の会議室や郵便局、銀行などの施設が入れ代わり立ち代わり登場。小島さんの話では病院もあるとか。市場の建物のなかは、思った以上に充実しています。
そして、本日の詰め所に到着。
② 築地市場での取引の仕組み
詰め所で一段落したところで、小島さんから築地についての基礎知識のレクチャー。
築地の中のシステムは、大まかに言って上のようなスタイル。魚を漁師から仕入れた大卸(おおおろし)が、仲卸(なかおろし)相手に競りを行い、仲卸はそれをまた場内で販売する、というのが築地で行われている取引です。
一般的に、大卸はひとつひとつが大きな会社であるのに対し、仲卸は築地市場内に店舗を持つ小さい会社です。
今回お世話になった東都水産様は、築地の大卸のひとつ。600以上あると言われている仲卸に対し、築地の大卸はわずか7社しかありません。
説明を聞いたところで、いよいよ取引の場に出撃。長靴とゼッケンを身に着け、防備も完璧です。
次ページ:いよいよ競り場へ!(1/2)。