問題の解説
第1問
「筒石駅(つついし)」は、新潟県糸魚川市にある、えちごトキめき鉄道(以前はJR西日本)の駅です。「土合(どあい)駅」は、群馬県みなかみ町にある、JR東日本・上越線の駅です。共に、プラットフォームが非常に地中深くにある駅として有名です。
乗客がホームへたどりつくには、筒石駅では200段以上の、土合駅では400段以上の階段を降りてゆかなくてはなりません。しばしば「モグラ駅」と呼ばれるゆえんです。
ここからは筒石駅の様子を、写真をまじえて詳しく紹介していきましょう。
真っ暗な駅のホームの様子です。地中深いため、夏でも涼しく、床が湿っています。
駅舎へと上がる階段です。東京の地下鉄とは比べものにならない長時間、登りが続きます。地上へと近づくにつれ、気温が上がり、蝉の声が聞こえてくる不思議な体験をしました。
地上の駅舎です。
筒石駅の特徴として、トンネルへ電車が出入りする際、非常に激しい風が吹き抜けることが挙げられます。地下鉄でも同様の現象が起きますが、私が体験した筒石駅のそれは轟音を伴っており、「突風」と呼ぶにふさわしいものでした。
そのため、地下へと降りる階段の入り口には、風が勢いよく地上に吹き出すのを防ぐため、このような風よけが設置されています。
また、待合室とホームは、突風に耐えられるよう重く分厚いドアで遮られています。
なお、クイズでダミー選択肢に挙げたような珍しい駅も実際に存在します。「ホームが短すぎる」のは、東京都・東急大井町線の九品仏(くほんぶつ)駅です。
第2問
「海芝浦(うみしばうら)駅」は、神奈川県横浜市にある、JR東日本・鶴見線の駅です。
海芝浦駅は、その名の通り、海に面した素晴らしい景色で有名です。まるで、港の岩壁に列車が停車しているような錯覚に陥ります。
海芝浦駅のもう一つの特徴は、海に面していない三方の周囲を、東芝の工場でぐるりと取り囲まれていることです。よって、海芝浦駅から外に出ることが出来るのは、東芝の関係者のみです。
また海芝浦駅は、浅野駅から伸びる分岐線の終点になっているため、乗ってきた一般客は再び電車で引き返すしかありません。
このように、良い眺め・アクセス難易度の高さを兼ね備えた海芝浦駅は、しばしば「都会のど真ん中にある秘境駅」と称されます。
人里遠く離れた場所へと旅に出たいが、時間的余裕がないという首都圏の皆さん。海芝浦駅で一人、東京湾の景色を眺め、たそがれてみてはいかがでしょうか?
なお、クイズでダミー選択肢に挙げたような珍しい駅も実際に存在します。「駅全体が水上に浮かんでいる」ような外見で有名なのは、静岡県にある「奥大井湖上駅」です。
第3問
「大畑(おこば)駅」は、熊本県人吉市にある、JR九州・肥薩線の駅です。
大畑駅の駅舎には、来訪者たちの名刺が大量に貼り付けられています。この習慣が始まったきっかけは不明ですが、「駅舎に名刺を貼ると出世する」という噂があるようです。
大畑駅なう。
— 肥後乃吟 悌順@G53 (@Mind_Drive) 2017年3月22日
名刺すげーwww pic.twitter.com/41Hk3X6o75
駅舎自体も、1909年開業当時のままの、大変貴重な木造建築です。また、プラットフォームには朝顔形の水盆があり、常に湧水があふれ出ています。蒸気機関車が走っていた時代は、運転手や乗客たちが、ススで汚れた顔を洗っていたということです。
大畑駅は、他にも唯一無二の見所がてんこ盛りで、様々な層の旅行客をとりこにしています。
まず何と言っても、急勾配を克服するための独特の設計です。大畑駅は、肥薩線の列車が厳しい山越えをしていく区間に位置しています。急斜面を克服するべく、大畑駅周辺は全国で唯一、ループ線の中にスイッチバックが設けられた、大変珍しい構造になっています。
「ループ線の中にスイッチバック」がよく分からない方のために、地図を用意しました。いかにイレギュラーな構造をしているかお分かりいただけると思います。
また大畑駅は、アニメ『夏目友人帳』の作中風景のモデルとして有名です。「聖地巡礼」の一環として、多くのファンが駅を訪れます。
隣接する矢岳駅へと足を伸ばすのもよいでしょう。矢岳駅付近は、霧島連山やえびの高原を見下ろせる、車窓の景色の素晴らしさで有名だからです。北海道の狩勝峠、長野県の姨捨駅と共に、「日本三大車窓」に数えられるほどです。
第4問
「津島ノ宮(つしまのみや)駅」は、香川県三豊市にある、JR四国・予讃線の駅です。
津島ノ宮駅は、毎年8月4日・5日にしか営業しません。普段は列車が一切停車しないため、時刻表にも記載されていません。年間営業日わずか2日の、幻の駅です。
どうしてこんなことになったのでしょうか。津島ノ宮駅の近くには、駅名にもなっている「津嶋(つしま)神社」があります。
画像を見れば分かるとおり、津嶋神社は沖合250メートルに浮かぶ孤島にあり、普段は参拝客が渡ることが出来ません。
しかし毎年8月4日・5日に開かれる夏季例大祭では、一年でこの時だけ、島への橋が開通します(普段は封鎖されています)。神社に参拝するため、また瀬戸内海の絶景を楽しむため、各地から大勢の参拝客が押し寄せます。
津島ノ宮駅は、彼らを運ぶべく、例大祭に合わせて臨時で開設されるのです。
第5問
「木造(きづくり)駅」は、青森県つがる市にある、JR東日本・五能線の駅です。
JR木造駅の外観です。駅舎の正面に、高さ17メートルの巨大な土偶(どぐう)が取り付けられています。これが「しゃこちゃん」です。
近くにある遺跡から出土した、縄文時代の土偶をイメージしてデザインされています。「しゃこちゃん」の愛称は、このような形をした土偶を「遮光器(しゃこうき)土偶」と呼ぶことに由来しています。
ちなみにしゃこちゃんは、目から赤い光を発することが出来ます。その名も「いらっしゃいビーム」です。
しゃこちゃんの目が光る様子です。正直、不気味としか言いようがなく、こんな風に出迎えられたら逃げ帰りたくなりそうです。