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こんにちは、奈子です!

クイズ好きのライターが、これまでに出会った「印象深い1問」を紹介する連載「思い出のクイズ」。

私はこれまでクイズ大会で優勝するどころか、大会で早押しボタンを押したことすら一度もないーー言ってしまえば、初心者同然のプレイヤーです。しかしそんな私にも、大切な「思い出のクイズ」があります。

勢いだけで、クイズ大会初参戦

高校時代、クラスメイトが『高校生クイズ』で活躍しているのをテレビで見て、「いつか自分もクイズをやってみたい」と思うようになった私。大学2年生のときには思い切ってクイズサークルを立ち上げましたが、活動は競い合うわけでもなく、和気あいあいとしたものでした。

それでも自分のどこかで「クイズ熱」がくすぶっていたのか、ある時突然「強い人のクイズを間近で見てみたい!」と思い立ちます。そしてたまたま目にとまったのが、「abc the21st」──日本最大級の学生クイズ大会(2023年3月開催)。ろくにルールも確認しないまま、実に軽い気持ちで、初めてのクイズ大会に行ってみることになりました。

ノリと勢いだけでエントリーしたものですから、大会までの日々もおよそクイズプレイヤーとは思えない過ごし方でした。

大会の開催地は埼玉県。大会3日前に住まいの関西から移動した私は、川越や原宿へ繰り出して初めての関東を満喫していました。もちろん、クイズの勉強など1ミリもしていません。大会当日は疲れから寝坊してしまい、焦って階段で足を滑らせてスマホの画面を割り、挙げ句の果てには筆記クイズに必要な下敷きと筆記用具を忘れ……。

コンビニでシャーペンを買って事なきを得ましたが、会場には受付時間ギリギリに滑り込むという有り様でした。

なんとか会場に到着…………。

自分にも解ける問題があった

ホールに入ると、友人と励ましあっている人、集中してゾーンに入っている人、直前まで勉強している人……。今まで感じたことのない独特な空気に包まれていて、「初めてのクイズ大会、楽しみだな〜」とのんきに構えていた私も、その時はさすがに緊張しました。

試合前の会場の様子

大会は、予選の筆記クイズから始まります。四択クイズと記述式クイズが100問ずつ、制限時間は各20分です。ドキドキしながら問題用紙を開くと、問題が多い! いざ目にすると、その多さに思わず「こんなん20分で解けるか!」とツッコミを入れたくなります。

そして問題は、後半に進むにつれてどんどん難易度が上がっていきます。50問目、わからない。51問目、52問目も……「もうだめだ」と、私は半ばあきらめモードになっていました。

そんな時、見覚えのあるワードが目に留まりました。

リーゼントヘアの芝大輔(しば・だいすけ)と、ポンコツキャラのともしげからなるお笑いコンビは?

①モグライダー ②真空ジェシカ ③男性ブランコ ④カベポスター

思わず笑みがこぼれました。正解はもちろん、①モグライダー。お笑い好きの私にとっては、簡単すぎるくらいの問題です。

何よりうれしかったのは、選択肢になっているコンビも全て知っていたこと。ほとんどの問題を消去法や勘で解いていたなか、「私でもわかる問題があるんだ!」と思えたことで、なんだか会場にいる強豪たちの仲間に入れてもらえたような気分になりました。

初めて見る「玄人」の早押し

筆記クイズが終わると、次はいよいよ早押しクイズです。私を含め、予選を通過できなかった人たちは観戦に専念します。

……ボタンを押すタイミングが、私の想像よりずっと早い。体感、問題文が3〜5文字くらいしか読まれていないところで、全員が一斉にボタンを押しているのです。素人同然の私は、「そんなところでわかるか!」「私の知ってる早押しクイズじゃない!」と思ってしまいます。

並の人なら問題を聞いて、「わかった」と思ってから答えの単語を発するまでに少しラグが生じるもの。しかしクイズ上級者ともなれば、押した瞬間に迷いなく正解を口にしていきます。もはやAIです。

それもそのはず、強豪のプレイヤーたちは、この大会のために時間を惜しまず対策に勤しんでいるそうです。このステージに上がるために、これだけ早くボタンを押すために、どれだけの鍛錬を積んだのだろう……。ステージを見つめながら、私は感心するばかりでした。

緊張と楽しみの連続

クイズ大会には、出身も年齢も、クイズの経験も違う人たちが大勢集まります。プレイヤーたちが時にライバルとして、時に戦友として戦いを繰り広げる1日をともに過ごし、私も忘れがたい思い出ができました。

まず、筆記クイズの通過者が発表される瞬間です。700人以上の参加者のうち、予選の筆記クイズを通過し、舞台上で早押し勝負に挑めるのはたった48人。狭き門を突破した通過者の名前がコールされるたび、会場のあちこちから雄叫びが聞こえてきました。ステージに上がる仲間をたたえる人たちの姿も見えます。なんだか部外者の私も、こみ上げてくるものがありました。

次に、3人で戦う決勝戦。ステージ上は異様なほど静かで、それでいて熱い戦いが繰り広げられていました。私は息をするのも忘れて、数百人の観客とともにステージに視線を注ぎました。

そして、優勝者が決まったとき優勝したのは東問さんでした)。解答が告げられ、時が止まったような沈黙のあと、正解を示すSEが鳴り……気づけば震える足で立ち上がり、拍手を送っていました。

“強い人”だけの場所じゃない

「クイズ大会」と聞くと、だいぶハードルが高いように感じるかもしれません。実際に参加するまで、私もそう考えていました。

でも、実際はクイズに興味がある人なら、誰だって楽しめる場所なのです。観客として見ているだけでも楽しく、心地よい緊張感を味わえます。そして、自分がわかる問題が出るとちょっとうれしいです。まだ短い私のクイズ人生の中でも、「あの一問」はかけがえのない思い出になっています。

ただし公式サイトなどをよく読んで、準備はしっかりしましょう。特に、筆記用具と下敷きだけは忘れないようにしましょう。クイズ大会の会場は机がないことが多いので、空中で字を書く羽目になります。とても書きにくいです。

思い出の大会の舞台・大宮ソニックシティ
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この記事を書いた人

奈子

大学で会計学を専攻しています。歌とお菓子作りが趣味。日常に彩りを加えられるような記事を目指しています。

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