はじめまして、上野李王です。QuizKnockではクイズ制作や動画の校正業務を担当しています。
私は中学生のときに競技クイズの世界を知り、高校時代からは部活動・サークルに入って本格的に競技クイズに取り組むようになりました。
今回は、2024年3月に行われた大会「EQIDEN 2024」での、私の思い出の1問について紹介します。
東京大学を、もう一度勝たせたい
EQIDENという大会がある。学生サークル早押しクイズ日本一を決める団体戦の大会で、個人戦の「abc」と同日に開催される、年に一度の大舞台だ。
EQIDENの本戦は、箱根駅伝のように前半の「往路」と後半の「復路」に分かれている。各チームには1区から10区まで選手がいて、クイズに正解することで順番にタスキをつないでいく。最初に10区の選手がゴールしたチームが優勝となる。
私は大学1年生で出場した「EQIDEN2021」で一度優勝を経験した。東京大学のチームとして、先輩たちと力を合わせての勝利だった。
しかし、翌年は6位、その次の年は5位という結果に終わってしまった。どちらも往路の最後、あと1問の差で涙を呑んだ。
往路を勝ち抜いて復路に進出できるのは、本戦に参加する12チーム中4チームだけ。「往路攻略」の四文字が、EQIDENにおける東京大学チームの最大のテーマだった。
そして、私にとって最後のEQIDENとなる「EQIDEN 2024」を迎えた。私は、往路の勝ち抜けを決める役目である、5区を担当することになった。5区の選手が2問の正解を積むことができれば、そのチームは晴れて復路進出となる。
この大会で、東京大学をもう一度勝たせたい。私はそう強く思っていた。
3年ぶりの東大優勝を目指して
大会本番。
特有の緊張感が場を支配するなか、チームメイトは着実に正解を出していき、とても良いペースで自分まで回ってきた。このとき、東京大学は全体で2位の位置につけていた。

【4区・渡邉の思い出のクイズはこちら】
勢いそのままに、すぐ1問の正解を出すことができた。あとは私がもう1問正解すれば、復路にタスキをつなぐことができる。
復路には、頼もしい仲間が控えていた。だから、復路にさえ回せれば絶対に勝てる。そんな確信めいた予感があった。
――しかし、その1問があまりにも遠かった。
長い長い「あと1問」
私は次の正解をなかなか出すことができなかった。押した問題はどれも誤答になってしまい、ついにはあと1回の誤答で失格という状況に。
そうしている間にも、他のチームに次々と追いつかれ、さらには追い越された。気づけば、復路に進出できる枠は残り1つになっていた。
最後の1枠を争うのは、自分たちを含めた3チーム。どのチームもあと1回の正解で勝ち抜け、1回の誤答で失格が決まる、極限の状態だった。
先に勝負を仕掛けたのは、他の2チームだった。しかしこれはどちらも誤答となり、2チームは失格という結果に。東京大学チームとしては、首の皮一枚でつながった形になる。
しかし、まだ安心はできない。たとえライバルが失格になっても、自分が正解を出さなければ復路には進めないというのがEQIDENのルールだ。そして、誤答すれば即失格という状況は変わらない。
さらに、先を行くチームの動きも考えなくてはならない。EQIDENでは、復路に進んだチームも、往路を走るチームと同時にクイズをする。ぐずぐずしていると、すでに復路に進んでいるチームがさらに正解を積み、追いつけなくなる可能性もある。
1問でも早く正解したいが、絶対に誤答をするわけにはいかない。
そんなときに読まれたのが、次の問題だった。
「問題。おとぎ話を意味する「メルヘン」とは、もともと何語の言葉でしょう?」
とてもシンプルな問題だ。答えの候補はすぐに思いついた。
だが、その答えは100%正解になるだろうか? そこまでの自信は、残念ながら持てなかった。
問題文は読み切られたが、他のチームがボタンを押す気配はない。決めに行くならこの問題だ、と思った。
こんなチャンスは二度と訪れないかもしれない。とはいえ、誤答で失格になってしまっては元も子もない。
押すか、押さずに次の機会を待つか。まさに究極の2択だった。
最後は、自分を信じ、また自分を信じて託してくれたチームメイトを信じることにした。意を決してボタンを点けに行く。
どうか正解であってくれ――。そう思いながら答えを発する。
「……ドイツ語!!」

判定は……正解!!! 会場に正解音が鳴り響いた。
その瞬間、全身から力が抜けた。最初に感じたのは喜びではなく、大きな安堵だった。勝ち抜けに沸くチームメイトと抱き合っているうち、徐々に喜びが込み上げてくるのを感じた。
こうして、東京大学は往路を勝ち抜くことができた。

本当は私がもっと勝負強ければ、ここまで苦しい戦いにはならなかったかもしれない。舞台袖から入場してきた復路のチームメイトにも「待たせすぎ!」と冗談交じりに言われてしまった。
最後、私が決め切ることができたのは、序盤にリードを作ってくれた往路のメンバーのおかげだし、回せば絶対に勝てると思わせてくれた復路のメンバーのおかげだ。
そしてその復路のメンバーは、期待通りの盤石なクイズで次々とタスキをつないでいき、東京大学は3年ぶりに優勝を掴み取ることができた。
優勝が決まった後の壇上から見た景色は、大学1年生の頃とはまた違う、格別なものだった。この日のことを、私は一生忘れないと思う。










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