乾、東大を勧められても「僕、あまのじゃくで……」
――それぞれ3桁台の順位から高校生活がスタートしたわけなんですけど、東大受験を意識し始めたのはそれぞれいつ頃なんですかね?
乾 まぁ僕は……ちょっと複雑で、高1とも、高3とも言えるしみたいな。
ノブ いやわかる、俺も気づいたらみたいな感じだったもん。
▲高校時代を振り返る2人
乾 僕の場合はやっぱり最初のテストが110位台だったのが衝撃で、「さすがにもうちょっと頑張るか」とは思ったんですよ。
――そこから勉強してくとき、どんなことがポイントだったんでしょう?
乾 う〜ん、そのとき大きかったのが数学が得意だったことですかね。僕は文系なんですけど、高校数学って中学からレベルがぐっと上がるというか、それで数学が苦手になる人も多いじゃないですか。
▲「逆に僕は数学が得意だったんですよ」
乾 周りの点数が伸び悩んでるなかでも、結構頑張ったら夏休み明けくらいには校内で30位くらいになってて。
ノブ 高1の?
乾 高1の。
――すごいですね、入学してから。
乾 それくらいの順位になると、学校の先生と二者面談が設定されて「東大行かへん?」みたいなことを言われるっていうイベントがあって。
ノブ へぇ〜。
乾 憧れとして「東大いいな」って思ってはいたんですけど、なんか「先生に言われて行くのもな」みたいな(笑)。
▲「言われて行くのもなんだかなぁって」
――(笑)。
乾 あまのじゃくなんで。
ノブ 逆張り精神。
乾 そうそう、逆張り精神がちょっと出ちゃって。「東大を勧めるのは高校の進学実績のためなんじゃないの?」って斜に構えていたというか。だから最初は「第一志望は一橋大学」って言ってたんですよ。
――それはどうして?
乾 一橋って数学の配点が高いから、「数学得意だから俺向きやん」みたいに思ったのもあって。だけど、一番レベルが高いのは東大だよねっていうのはもちろん思っているから、憧れも捨てきれず、ずるずると(笑)。
――ずるずると(笑)。
乾 踏ん切りもつかずに高3までいっちゃった感じですかね。
ノブ 心の底では東大をどう思ってたの?
乾 う〜ん、でも「東大は無理じゃね?」って思っていたのも結構大きくて。
▲「憧れてはいたけど、無理でしょ、みたいな」
乾 「え、俺が?」みたいな。東大といえば、テレビで見る伊沢(拓司)さんだし、QuizKnockも見てたし。
――当時は伊沢さんについてどう思っていたんですか?
乾 『頭脳王』とか『東大王』とか見てて、やっぱり「頭いい人はかっこいい」っていうのは思っていたから。
ノブ 僕もそうだったけど、たぶん「頭いい=かっこいい」って子どもの習性としてあるよね(笑)。
乾 だから「すげぇな、かっこいいな」っていう憧れとかポジティブな気持ちもありつつ、「いや、この人と同じ大学に自分が行くなんて無理でしょ」っていうネガティブな気持ちもあって。
――自分で壁を作っていた部分も?
乾 ありますね。
――そこから乾さん自身が東大に行きたいと思えるようになったタイミングはいつだったのでしょうか?
乾 高校3年生の夏に、予備校がやってる大学ごとの模擬テストがあるんですよ。ここで東大模試を受けなかったら、「もう東大は受験しません」って言ってるようなもんなんですよね。
乾 進路について先生とは微妙な関係が続いてたんですけど、職員室に「マジで一橋に行きたいっす」って言いに行ったら、「1個くらい東大模試受けとけ」って言われて。
――先生の押しに負けて受けてみたんですね。
乾 そしたらB判定だったんですよ。「あれ、行けるんじゃね?」って。「無理でしょ」っていう気持ちがあったから、「行けるんだったらそりゃ行きたいですけど」みたいな……(笑)。
▲「行けるんだったらそりゃ……」
乾 大学入って勉強したいことが具体的にあったわけでもないし、「大学に入る」っていうのが目標になってて。それは良くない面もあるとは思うけど、だからこそ一番レベルが高い大学といわれている東大がいいかなと思ったっていう感じです。
――ノブさんの東大を目指すきっかけは何だったんですか?
ノブ 時系列的に言うと、進路希望調査に「東大」って書いたのは高1の夏とかで。そう書いた方が、先生からセミナーとかの情報が集まりやすくなるかなと思って。
――策士ですね。
ノブ 高2の冬くらいに周囲で受験勉強の機運が高まっていて、じゃあどこ目指すってなったら「まぁとりあえず東大かな」って何となく思っていて。そのまま「東大行きたい」って言っていたら、気づいたらもう変えられないみたいな状況で(笑)。
▲「もう言い過ぎちゃったしなって」
――東大を目指す人だと周囲に思われちゃってたんですね。
ノブ でも正直、高3の夏の模試はE判定とかで全然良くなかったんですよ。
――それでもなぜ東大を目指したんですか?
ノブ 理由はいくつかあって、まず親から「浪人せずに1回で行けるとこに行きなさい」って言われてたんで、「1回しか受けれないなら東大受けてみたくない?」みたいな(笑)。
▲「1回しかチャンスないしな」
――かっけぇ……。
ノブ あとは文理選択のときにものすごく迷ったという背景もあって、進振り※1がある東大が魅力的だったというのもありますね。あと僕は理系だったんですけど国語が得意だったので、国語の配点が高い方が成功確率が高いと思って東大を選んだのはありました。
※1)進振り:進学選択のこと。東大に入学すると2年間教養学部に所属して幅広い学問を学び、2年生が終わる前に3年生から進学する学部学科を選ぶ。