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みんなで推しを語り合いたい!」という千春の願望から化学系ライターたちが招集され始まった推し化合物プレゼン大会

1人1つ「推し」の化合物を語り合います!

※この記事には大量の専門用語と偏愛が含まれます。

改めて、化学愛あふれるプレゼンターたちはこちら!

▲熱い化学談義に花が咲きすぎてしまったため、本企画は4本に分けてお届けしています

今回はYoshidaさんが運命の再会を果たした化合物について語っていたら、なぜか俳句が誕生……? いったいどういうことなのかは本編をお楽しみください。

Yoshidaの推し化合物「ゲラニル二リン酸」

見てるだけで時間が溶けちゃう「変なやつ」

まず自分のちょっとした前提として、化合物の構造見るの好きなんですよ。「こんな構造あるんや」みたいに見てるだけで延々と時間を過ごせる人なんですけど、みなさんこれわかってくれると思っていて。

なんか変なやつとか出てくると、「おお、すげえ」ってなるのは感覚として誰にでもあると思うんですけど。

めちゃくちゃわかる。

そんな変わった構造が好きな自分の推し化合物は「ゲラニル二リン酸」というやつです。「ゲラニルピロリン酸」と言われたりもします。

何がいいかって、この化合物に入っている「二リン酸」という部分はすごく外れやすくて、外れるとそこから反応が進むんですよ。それで残った長い鎖が輪っかを巻くとかいろいろなことが起こって、リモネンとかリナロールとかピネンみたいな、植物に含まれてる「いい香りがする系」の化合物がめちゃくちゃいっぱいできるんですよ。一例なんですけど、柑橘系の香りとか、スズランの香りとか、まあこういう仲間たちがいっぱいできまして。

チャンイケさんはベンゼンのことをイーブイって言ってたんですけど私は違うと思っています。私はこのゲラニル二リン酸こそが、本物のイーブイの立ち位置だと思います(笑)。

※チャンイケさんがベンゼンについて語っている回はこちら

ピネン via Wikimedia Commons J.delanoy CC BY-SA 3.0

いやいやいやいやいや! これちょっと後で審議しましょう!(笑)

素晴らしいのが、この共通のものからどう反応が起こるかによって、いろんな骨格ができあがっていく経路が見ていてすごく楽しいんですね。そっからそういけるのか!みたいな(笑)。

亜種もいろいろいまして、鎖部分が1個ずつ伸びていくと、「ゲラニルピロリン酸」から「ファルネシルピロリン酸」、「ゲラニルゲラニルピロリン酸」に変わります。その先もあるのかな?

良い「化合物の見方」してるなぁ。

少し調べたけど、ゲラニル二リン酸からできる化合物って本当にいろいろあるのね。

メントールとかも確か入ってたよね。

コレステロールなんかもここからできますね。

いやぁ、すごいなぁ。人間がその新しい反応を作るときって、いろんな触媒を振ったり、ちょうどいい溶媒を検討したりとかして作るのに、自然界っていうのはかなりマイルドな条件で複雑な化合物を、しかも一種類のものから作り出してる。

ホントに自然ってすごいなと思います。

ベンゼンのときも思いましたけど、自然にこの形できるんだって思うよね。

そう。実験で自分はこのへんの化合物を扱ったりするんですけど、マジでいい匂いしますよ。超好き(笑)。

こいつらを芳香族に入れるべきなんだよな。

一同:(笑)。

運命的な出会いと再会を果たした推し

この化合物とどこで出会ったんですか?

あ、これですか?

これは、大学に生化学と有機化学を足し算したみたいな講義があって、そこで出会いました。でも僕、実は高校の頃から「ゲラニルゲラニル二リン酸」を知ってたんです。それはなんでかというと、Wikipediaのおまかせ表示を見てたら出てきたんですよ(笑)。

えー!(笑)

たまたま高校時代に出会っていたという(笑)。いやでもまさか数年後にね、授業で出てくるとは思わないよ。

出てきたとき「あっ……!」ってなりました?

その声は……!

あのときの君じゃないか!(笑)

マジでそれ(笑)。

運命的な出会いと再会をしたんですね。

いやー、いいっすね。こんなのやられたら、ちょっとイーブイの話はなんかこっちの方がいい気がしてきた(笑)。

(笑)。

私ポケモン全然わかんないけど、どっちの方が近いんだろう?

これはもう皆さんにお任せしますよ。

読者のみなさまにお任せしましょう(笑)。

なぜか俳句が爆誕しました

そういえばハル君が「ゲラニルゲラニル二リン酸だけで俳句の七・五部分になる」って言ってたな。

1個五文字を入れればもう……。たとえば「柿食えばゲラニルゲラニル二リン酸」。

待ってそれやばすぎる(笑)。

なんか味わっとるやんけそれ(笑)。

「柿食えば」はちょっと……(笑)。

じゃあゲラニルゲラニル二リン酸は秋の季語ということで(笑)。

そうですね。ぜひ歳時記の方に収録していただいて。

季語だけで七・五の部分を侵食するのヤバいやろ!

一同:(笑)。


最後はまさかの歳時記に収録するという話が飛び出し大盛りあがりでした。次回は最終回のハル編です。おたのしみに!

【過去の回はこちら】

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この記事を書いた人

千春

東北大学大学院で化学を専攻しています。読書や料理が好き。 「日常的なことを化学的に」をモットーに、毎日がちょっとだけ楽しくなるような記事をお届けします!

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