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みんなで推しを語り合いたい!」という千春の願望から化学系ライターたちが招集され始まった推し化合物プレゼン大会

第1回に続き、1人1つ「推し」の化合物を語り合います!

※この記事には大量の専門用語と偏愛が含まれます。

▼第1回をまだ読んでいない方はこちらから!

改めて、化学愛あふれるプレゼンターたちはこちら!

▲熱い化学談義に花が咲きすぎてしまったため、本企画は4本に分けてお届けしています

第2回の今回は、チャンイケさんの推し化合物「ベンゼン」に関するお話です。

チャンイケの推し化合物「ベンゼン」

どうも、チャンイケの発表を始めます。よろしくお願いしまーす。

お願いしまーす!

みなさんね、化学現役生じゃないですか? 僕はもう卒業して早1年ということで大分忘れてるんですよ、いろんなことを。ということで僕は、基本的な化合物を語ってみようと思いまして。僕の推しはベンゼンです!

集中線!(笑)

みんな大好きベンゼン!

わー、集中線です、ベンゼンです! この構造めちゃめちゃきれいですよね。6個の炭素が正六角形の形に結合、みんな1つずつ水素を持っていて雪の結晶みたいになっているのが最高に美しい! こんな化合物が世に存在するんだなっていうのを、僕は中3のときに初めて授業で知りまして。

うんうん。

そこから授業が進んでいくと、いろんな化合物にこいつ入ってんなって思ったんですよ。ベンゼンってマジで万能すぎるんです。炭素・水素の次に入ってるんちゃうかっていうぐらい多いんですよ、こいつ。

実際そうかも。

ベンゼンは、「芳香族化合物」というのに分類されます。ちなみに『精選版 日本国語大辞典』で「芳香」という言葉を引きますと「よい匂いのこと」と書いてありますね。でもまあ、お察しの通り全然いい匂いではないんですが……。

(笑)。

なんか独特な匂いがしますね。

わかる(笑)。

なので、僕は匂いはそんな好きじゃないんですが、構造に惹かれたということで。

じゃあ、どんなとこが好きかっていうと、ひとえにまず書き方がいっぱいあるということ。先人たちがいろんな書き方をしていたみたいなんです。要するに構造がちゃんとわかってなかったので、推測で「こんな形だろう」みたいなのをいっぱい書いたんですね。左から3番目のやつ(下図)とかいいっすよね、この「こいつ絶対不安定やん」みたいな書き方。ベンゼンは安定して存在できる化合物なのに、すぐに壊れちゃうそうな書き方がいいですよね。

1個1個にちゃんと提唱者の名前がついてるんだよな。

そうそう、こういう構造だろうって提唱した人の名前がついているんです。

現在で一般的な書き方ってだいたいこの3つ(下図)ですよね。これは僕の完全な偏見なんですけど、僕は中高時代にですね、左を「いい子」、真ん中を「ちょっと鼻につく」、右を「イキリ」だと思ってて。

一同:(笑)。

ひどーー(笑)!

まあまあ、わかる(笑)。

高校化学は最初「いい子」で習うんですか?

そう、「いい子」で習います。僕は中高時代はだいたいいい子で書いてきました。

私は高専出身なんですけど、最初から「イキリ」でしたね(笑)。

最初から「イキリ」でしたか。なるほど(笑)。そこはカリキュラムの違いかもしれないですね。

そうかもしれないです。でも確かに、教科書は「いい子」でした。

ちなみに二重線になってるのは、「ここは二重結合である」というのを明確に示した構図なんですよね。でも、実際のベンゼンって実はそんなことはなくて、二重結合がどこにあるかわからない。そんな状態を表したのがこの丸いやつなんです。

一番右が一番正確な書き方ですね。

そう。次に推しポイント2つ目。ベンゼンを出発物質として反応させると、いろんな方向にわーって反応するんですね。その矢印の先にも、もととなるベンゼンが残ってるんですよ。もうおわかりですよね。

……ベンゼンは化合物界のイーブイなんですよ!

(笑)。

なるほどなー。

ニンフィアはクメンですかね(笑)?

例えばイーブイに「かみなりのいし」を与えるとサンダースに進化するんですが、ベンゼンにプロピレンを付加するとクメンになるという。

うんうん。

ほかにも、ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸かけてやるとニトロベンゼンになるとか。ここまでいろんな姿に変わるベンゼンってなかなかやばいですよね。

そしてさらに僕の推しポイントがもう1個あって、ベンゼンは「危険がいっぱい」なんです。

なるほど、化学系危険を好みがち(笑)。

そうかもしれない(笑)。ベンゼンは発がん性あり、引火性あり、吸引するとやばい、土壌汚染の原因……。こんな危険なやつを、いろんな化合物の出発点として人類は用いてきたということですよ。そんなものを利用してきた人間のタフさ。

なるほど。

ちなみに一番きれいさを感じるのは模型セットで組み上げたときっていう。

あーわかりますよ! すごくきれいに平らになりますよね。

そう、こんなに平らになるのかと。投げたら遠くまで飛んでいきそうな。こんな真っ平らな分子が微視的領域で存在してると考えたら、すごくないですか?

世界はよくできてるんだなぁ。

そう。ぜひね、僕はベンゼンの分子を肉眼で見たいんですよ。残念ながら見れないんですが。

溶媒として見ればなんとか……(笑)。

一同:(笑)。

そういえば、ケクレ構造にまつわるエピソードがすごいですよね。

▲これが「ケクレ構造」

ケクレさんがいろいろ構造考えてたら、夢の中で蛇が自分の尻尾をくわえて輪っかになっているのを見て、「あ、これやん」ってなったってやつですね。

※ケクレ:ドイツの化学者。ベンゼンが六角形構造である提唱するなど、有機化合物の構造論における基礎を確立した。

いや、もう夢が凄すぎる……。

そんな夢見たことあります?!

いやないですね。

ここにケクレの偉人さ、奇人さが見えてくるわけですよ。ケクレ構造に名を残すケクレは夢まで偉人なのかと。

身近な化合物を推しにするのいいな(笑)。

推しに頻繁に出会えますね。

そうそう。よく見かけるしよく出てくるから、愛着が湧いてくる。

ちょっと危険だけど。

危険だし、くさいのがやっぱりちょっとネック。


【次回】出会いは運命的! Yoshidaの推し化合物「ゲラニル二リン酸」編です。おたのしみに!

【前回はこちら】

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この記事を書いた人

千春

東北大学大学院で化学を専攻しています。読書や料理が好き。 「日常的なことを化学的に」をモットーに、毎日がちょっとだけ楽しくなるような記事をお届けします!

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