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こんにちは、S.O.です。

この記事では、日常的な感覚からは想像できない巨大な数について書いていきます。まずはこの1問。

グラハム数はギネスブックに載っている「証明に使われた中で最も大きい数」です。数の大きさには限りがありませんから、考察の対象になった数という限定で記録になっているわけです。この記事の目標はグラハム数がどれくらい大きいかを理解することです。

無量大数、不可説不可説転、グーゴルプレックス

大きな数といえば、まず「無量大数」はご存知でしょうか? 漢字文化圏では数の単位は4ケタごとに変わっていきます。万、億、兆、京、垓、……という感じです。名前がついている中でもっとも大きいのは無量大数で、真面目に表記すると一無量大数は1000・・・000で0が68個続きます。これくらい大きくなると指数表記を使って1068と書くのが普通なので、無量大数という言葉を使うことはめったにありません。

1068といってもなかなか想像できないので、比較するためにWikipediaの数の比較の記事を参照してみました。それによると、

世界の海岸の砂粒の数の合計 1023 (1000垓)
人体を構成する原子の数 1027 (1000?)
地球に存在する全生物の数 1033 (10溝)
地球上に存在する水分子の個数 1047 (1000載)
宇宙に存在するすべての基本粒子の個数 1080

だそうです。途方もない大きな数同士の大小関係も面白いです。

宇宙にある基本粒子は1080個。文字通り天文学的な数である。

筆者は小学生のころ、どちらが大きな数を言えるかという勝負を何度かしました。今となっては無意味な争いですが、当時は無量大数より大きな数を知らなかったので、「1無量大数1」などしか言えませんでした。

しかし、仏典の華厳経には無量大数とは比べ物にならない大きな数が登場します。それは不可説不可説転というものです。なんだか面白い名前ですがその定義は、

1不可説不可説転=1037218383881977644441306597687849648128 

です。10の肩に載っている指数が38桁もあるのです。ここまで大きくなると現実世界にこんなに大きな数は存在しないので完全に想像上の産物ですね。しかしもっと大きいグーゴルプレックスという数があってその定義は、

1グーゴルプレックス=1010100

です。読み方は、10の(10の100乗)乗です。10の肩に載っている指数部分が101桁もあるのです。余談ですが、アメリカのGoogle社の本社はGoogleplexという愛称がありますが、これはグーゴルプレックスにちなみます。(そもそもGoogleという社名自体グーゴルが由来だそうです)

しかし、グーゴルプレックスも指数表記を用いれば書き表すことができます。指数表記は重ねることでとんでもなく大きな数を表すことができるのです。ここからは、指数表記を使っても書けない巨大数を表す方法を紹介します。

クヌースの矢印表記

巨大な数を表す方法であるクヌースの矢印表記(タワー表記)を学びます。

たった数本の矢印がものすごい大きな数字を生み出す。それがクヌースの矢印表記

指数表記では3×3×3×3(=81)を34と書きます。同じことを、クヌースの矢印表記では、

3↑4

と書きます。これだけでは、指数表記を矢印に変えただけですが、矢印表記はさらに大きな数を表すことができます。たとえば、

3↑3↑3

は、333=327=7625597484987を表します。矢印が一つ増えただけなのに急激に大きくなりました。さらに次のように決めます。

3↑↑3=3↑3↑3=7625597484987
3↑↑4=3↑3↑3↑3=37625597484987
3↑↑5=3↑3↑3↑3↑3=337625597484987

矢印3つだと、さらに同じことをします。もうこのあたりからは指数表記では書けません。

4↑↑↑2=4↑↑4=4↑4↑4↑4=4444=41.3×10154
4↑↑↑3=4↑↑4↑↑4=4↑↑41.3×10154
4↑↑↑4=4↑↑4↑↑4↑↑4

このような定義を繰り返すことで、この矢印はいくつでも増やすことができます。そこで、4↑↑↑・・・↑↑↑4(↑がn個続く)を4↑n4と表記することにします。

グラハム数

それでは、当初の目標であるグラハム数の説明です。まず、クヌースの矢印表記の3↑↑↑↑3を考えます。3↑↑↑3=3↑↑7625597484987ですので、3↑↑↑↑3=3↑↑↑3↑↑↑3=3↑↑↑(3↑↑7625597484987)です。この時点ですでに訳が分からないですね。

次に、3↑n3を考えます。ここでn=3↑↑↑↑3です。

さらにm=3↑n3として、3↑m3を作ります。

さらに、k=3↑m3として、3↑k3を作ります。

……と、できた数の本数の矢印を使ってさらに大きな数を作るという作業を64回繰り返したものがグラハム数です。これが、「証明に使われた中で最も大きい数」です。


ちなみに、グラハム数は1970年にアメリカの数学者グラハムがある数学の未解決問題を解く際に、「この問題の答えはこの数(グラハム数)より小さい」として導入されました。現在はこの問題の答えはもっと小さいことが証明されてはいるものの、その正確な値は未解決のままです。(興味がある人はラムゼー理論で調べてみてください)

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この記事を書いた人

S.O.

現在は東京大学大学院博士2年。QuizKnock最初期にいくつか記事を書いていました。

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