QuizKnock

アプリで記事をもっと見やすく

インストールする

カテゴリ

ログイン
PR
株式会社宝塚クリエイティブアーツ

こんにちは、千春です。実は4年前の大学院卒業と同時にライターも卒業した身ですが、今回ご縁があり、こうして再び記事を書くこととなりました。これからもどうぞよろしくお願いします!

春だ!イメチェンだ!

新年度、新しい環境。身も心も一新して、がらりと雰囲気を変えたくなりませんか? 手っ取り早くイメチェンする方法として、髪色を変えてみるなんてどうでしょうか。大人っぽいブラウンもいいし、思い切って金髪や、春らしいピンクなんかも良いですね。

何色にしようかな? 迷ってしまいますね。

私は普段から髪を染めていますが、ブリーチをしていないため明るい色にはなりません。ブリーチは髪の傷みとの戦いですし、施術には毎回数時間かかります。派手髪に憧れはあるものの、継続的にブリーチをするのはなかなか大変なようです。

おしゃれには代償が必要なようです。

「ブリーチなしで明るくできないかな?」なんて、思ったことはありませんか?

実は、そのヒントは髪の毛の構造や染まる仕組みにあるんです。

まずは髪の毛の構造を知ろう

染まる仕組みを知るために、まずは髪の毛の構造を見ていきましょう。

髪の毛の主成分は「ケラチン」というたんぱく質です。これは、アミノ酸がたくさんつながってできたものなんですよ。

ケラチンは、いくつもの結合でしっかりとつながれた丈夫なたんぱく質です。

なかでも「ペプチド結合」や「水素結合」などといった結びつきが、網目のように広がっています。そしてこの網目の中には、黒い色素である「メラニン」がたくさん入り込んでいます。これが髪の毛の色を決めているんです。

ブリーチをした髪や白髪の場合、メラニン色素が極端に少なくなります。

髪の毛は、たくさんの結合によって網目のように構成されています。この結合が切れると、髪の構造が壊れやすくなり、中にある水分やたんぱく質が流れ出てしまいます。

特に「水素結合」はとてもデリケートで、髪が濡れるだけでも簡単に切れてしまうんです。だから髪を濡れたまま放っておくと、変な形のまま水素結合をして髪が絡まってしまったり、髪の表面から内部の水分が失われたりして、パサパサになってしまいます。これが「お風呂上がりは髪をすぐに乾かしたほうがいい」と言われる理由なんですね。

髪の毛が染まる仕組み

髪の毛の構造がわかったところで、今度は染まり方を見ていきましょう。

カラー剤にもいくつか種類がありますが、ここでは一般的に美容院などで用いられる「永久染毛剤」について解説します。

永久染毛剤とは、髪の内部に染料を浸透させ、化学変化によって髪を染めるヘアカラーリング剤のこと。

このほかに、「半永久染毛料」に分類されるヘアマニキュア、「毛髪着色料」に分類されるヘアカラースプレーなどがあります。

カラー剤のひみつ

一般的にカラー剤は、1剤(アルカリ性&酸化染料)と2剤(酸化剤)を混ぜて作られます。これらは混ぜた瞬間に化学反応がはじまってしまうため、使用する直前まで分けておく必要があるのです。

脱色しながら染める

カラー剤の仕事は、まず髪の表面にあるキューティクルを開くことから始まります。これは、1剤に含まれるアルカリ性の成分の働きによるものです。

キューティクルが開くと、髪の内側に薬剤が入り込めるようになります。このキューティクルの隙間から、酸化染料と酸化剤が入り込みます。

でも黒髪の場合、髪がもともと持っている「黒い色素(メラニン色素)」が邪魔をして、カラーがきれいに発色しません。

そこで酸化剤が、このメラニン色素を壊す役割を果たします。髪の黒さが薄くなったことで、染料がきれいに発色できるようになるんです。

さらに、酸化剤にはもう一つ大切な働きがあります。それは、染料を酸化させて発色させること。

カラー剤に含まれる「酸化染料」は、最初はまだ色がついていない状態です。これが酸化されることで、染料の分子同士がくっつき、大きな色素のかたまりになります。このように、分子同士が結合して別の大きな物質になることを重合といいます。

この重合によって、カラー剤はここで初めて発色します。大きな分子になると、キューティクルの隙間から色素が流れ出てしまうことを防ぎ、色持ちも良くなるというわけです。

つまり、黒髪にカラーを入れるときには、カラー剤は「黒い色を壊す」と同時に「新しい色を作って入れる」という2つの工程を同時にこなしているんです。

一瞬のうちに2つの反応が同時に起こる、化学を使ったマジックのようですね。

白髪染めの場合はどうなるの?

ここまでで、黒髪がどうやって染まるのかはわかってきました。では、黒くない髪、たとえば白髪や金髪の場合はどうなのでしょう?

白髪は、最初から黒色のメラニン色素がない状態です。

白髪を染める場合は「黒色を壊す」薬剤を少なく、「カラーを入れる」薬剤を多くするといった調整が行われます。黒髪に施すカラーと白髪染めでは、成分のバランスが異なるのです。

金髪など明るい髪色にしたい場合は、メラニン色素を徹底的に抜くことで発色が良くなります。カラー剤に含まれる酸化剤だけでは足りない場合は、やはり脱色専用のブリーチが必要です。

髪を理解して理想のヘアカラーへ

手間のかかるカラーやブリーチも、原理を理解すれば「仕方ないか」と思えてきますね。髪の毛やカラーを正しく知り、自分らしいヘアカラーを楽しみましょう!

【あわせて読みたい】

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

関連記事

この記事を書いた人

千春

東北大学大学院で化学を専攻していました。茨城県のクイズサークル・茨桐会に在籍中。日常にひそむ「おもしろい!」が見つかる記事をお届けします。

千春の記事一覧へ