地方からの東大受験「本屋がない」「中高一貫校すげぇ」
――2人はそれぞれ群馬県と愛知県の出身ですが、地方出身であることが東大受験にネガティブに働くことはありましたか?
ノブ 僕の場合は東大合格者が結構いる高校だったので、東大に受かるための情報とかは足りていたから、あまり感じなかったですね。でも当時はあまり意識してなかったけど、大学入ってから感じたことは結構あって。
たとえば、愛知には中高一貫校ってあんまりないんですけど、都市部の中高一貫校出身の人とかと話すと余裕が違うというか。「高2までに全範囲終えてたよ」みたいな。「は?」ですよね(笑)。
▲「そんなことある? みたいな」
――授業の進度が全然違う……。
ノブ 東大模試でも成績優秀者の上位は東京周辺の人がめちゃくちゃ多いですし。
あと、つい最近なんですけど、知り合い経由で高校生から「東大を目指してるから、所属してるコースでどんな研究ができるか教えてほしい」みたいな感じで相談を受けたんですよね。それに結構びっくりして、そうやって情報を得る方法があるんだっていうことを知った。
乾 まず会いに行くっていう発想がないもんね。
ノブ そうそう、高校に東大受かった卒業生が来てセミナーするっていうのはあったけど、東大生の多くは東京にいるしね。
――乾さんは受験で、地方であることで困ったことはありましたか?
乾 そうですね、僕は地元に本屋が全然ないってところが。
▲本屋の空白地帯からやってきた乾
ノブ 本屋がない地域なんて……。
乾 僕は群馬のなかでも田舎の方だったから、マジで。ゲオとかはあっても、学習参考書を売ってる本屋が自転車で行ける範囲になくて。
▲乾の地元に本屋がないことに驚くノブ
乾 だから絶妙に駅から遠い高崎のイオンに行ったり、親に車で前橋に連れて行ってもらったりとかしてたんだけど。東京にいたら絶対にさぁ〜、学校帰りに「ちょっと新宿の紀伊國屋に行ってこよ」みたいなのができるじゃん。
ノブ 確かにデカい本屋にすぐ行けるっていうのはあるよな。
――ちなみに参考書をネットで買うっていう選択肢は?
乾 ネットの口コミを信用してなかったというのもあるけど、僕は本屋が好きっていうか、本屋に行って学習参考書を見るのが好きだったんですよ。
ノブ あ~わかるわかる。めちゃくちゃわかる。
乾 「この単語はあっちの参考書には載ってなかったけど、こっちの参考書だと載ってるな」とかを比較しながら買いたいし、「この参考書に載ってないってことは、これは実は重要ではないのでは?」みたいな情報収集の仕方をしてて。そういうのが気軽にできないのはすごく不便でしたね。
ノブ 参考書で言うと俺、高校のときに知り合いづてで鉄緑会※2の問題集をもらって。
※2)鉄緑会:東京都にある東大受験の専門塾。中高一貫校の生徒を対象とし、毎年多くの東大合格者を輩出する。
▲「たまたま参考書もらったんですよ」
ノブ まず地方だとそういう塾があることをそもそも知らなくてさ、問題集の質も全然違うの。数学の解法とかも別解7とかまであって。問題を分析して、同じような問題に出合ったときにどう考えるかとかまで書いてあるんだよね。
乾 それはいいね。僕の塾の先生が問題集の解答を分析する人で、「この問題集の解答は0点です。どこがいけないですか?」みたいな問題出してた。
――へぇ~、すごい。
乾 その先生の説明を聞いてみると、「確かにこの解答は不十分だなぁ」と思うんですよね。そういう風に参考書を見てると、解答の良し悪しみたいなのがわかるようになってくるんです。そういう意味では鉄緑会の問題集ってすごくいいものだし、実際自分で手に取ってみないとわかんないんだよね。
ノブ めちゃくちゃ回し者みたいになっちゃった。
乾 (笑)。