昨日も寒かったですね……いよいよ冬がやってきた、という空気です。
さて、昨日の記事に引き続いてフィギュア入門編です。
今回は採点や技、そして有名選手についての解説です!
昨日は大会システムなどについてでしたが、今回はより身近な、テレビ中継を見ながら使える知識を入れました! ぜひ、これを参考にしながら中継を見てみてください。
採点について
フィギュアスケートの得点は、技術点と構成点の合計から、失敗による減点を引いた点数で決定されます。
●技術点
技ごとに決まっている点数に、GOEと呼ばれる評価点が足し引きされます。 コレに加えて、ジャンプの回転数が足りていない場合はそれによる減点があり、ジャンプ以外の技にもレベル評価がなされます。
●構成点
スケート技術、要素のつなぎ、動作/身のこなし、振り付け/構成、曲の解釈の5つからなる項目です。
ショートに比べ、フリーでは構成点への配点が2倍になりますが、時間の長いフリーでは技術点も約2倍に膨らむため、技術点と構成点の比率は余り変わりません。
●減点
規定されている違反行為を行うと、ディダクションと呼ばれる減点がなされます。
ジャンプの転倒もこの中のひとつ。「スケート靴のエッジ以外で体の大部分を支える」という違反行為に当たります。
しかし、コレ以外の違反行為はめったに起こらないものばかり。転倒自体も2回めまでは-1点と大きくはありません。
以上3つが採点の大まかな構成になります。
そして、大事なのがGOE。
大技には加点減点ともに幅広くGOEが与えられており、たとえ大技を跳んでも失敗したら大減点で基礎点が削られます。 (たとえば、4回転ジャンプのGOEでは最大-4点までの減点がありますから、大失敗するとディダクションも含めほとんど4回転を跳ぶ意味がなくなります)
さらに、ジャンプが飛びきれないで回転不足と判定されると、基礎点も下のランクに下がります。 つまり、美しい大技ジャンプに一か八かチャレンジするより、スピンやステップも含め全体でスキのない演技をすることが求められるのです。
花形! ジャンプあれこれ
フィギュアスケートと聞いて、誰もが真っ先に思いつく技が「ジャンプ」。
でも、色々なジャンプがあって、見ているだけでは見分けがつかない! という方も多いハズ。
今回は、そのジャンプの見分け方を、簡単にですがご紹介します。
下では、6種類あるジャンプを、難易度順に並べてみました。まずは、一番難しいアクセルジャンプから行ってみましょう。
1.アクセル
最も難易度が高いジャンプ。跳ぶ直前に軸足が左に代わり、また右膝を斜め前に蹴り上げてその力で跳ぶため、見た目で判断しやすいジャンプです。
余談ですが、「アクセル」という名前は車のアクセルではなく、人の名前。ノルウェーのスケート選手であるアクセル・パウルゼンに由来しています。
2.ルッツ
左足外側に体重を乗せ、右足のトウ(つまさき)で蹴り上げることで跳ぶジャンプ。
跳ぶ前に蹴り足が後ろに上がるので「跳ぶぞ!」というのは分かりやすいんですが、フリップとの見分けが難しいジャンプです。見分け方は後述。
3.フリップ
左足のインサイドに体重を乗せながら右足トウを蹴って跳ぶのがフリップ。左足アウトサイドに乗せるルッツとの見分けが非常に難しいジャンプです。
というか僕には正直この違いがわからないので色々調べてみたんですが、テレビ朝日のサイトにある
「まっすぐ後ろ向きのまま滑ってきて入るのがルッツ、直前に振り返るのがフリップ」
という見分け方が一番わかり易い気がしました。
4.ループ
後ろ向きにゆっくりスケーティングした後「シュバッ」とその場で跳ぶようなイメージがループです。
後ろを向いたまま特に回転せずに進む選手が居たら、「あ、ループかルッツを飛びそう」と思ってください。足を振り上げたらルッツ、そのまま跳んだらループです。
5.サルコウ
右足を振る勢いで跳ぶジャンプ。日本スケート連盟のサイトでは「直前のハの字が目印」と書かれています。
「一瞬右足を付いてから跳んだな」と思ったらサルコウと思ってかまいません(僕の超主観ですが)。
ちなみに、羽生選手が跳ぶジャンプの中でも特に評価が高いのが4回転サルコウ。羽生選手のサルコウは、他の選手に比べ少しどっしりと足を付く感じがします。
6.トウループ
最も易しいジャンプがトウループ。少し上げた右足を地面につけたすぐ後、左足のつま先でジャンプします。流れの勢いで跳ぶためカンタンであり、4回転で飛ばれることも多いジャンプです。
ループと近い名前がついていますが、トウループは跳ぶ際に片足が広がって体の一部が「クッ」と構えます。ほぼ構えないループとの違いは大きいのです。
特に羽生選手の場合は、他の選手に比べトウループの際に深く体が沈み込む大きい動作になります。
日本の有望選手と世界のライバル
●男子
本命は言うまでもなく、羽生結弦でしょう。
グランプリファイナル3連覇中、2014年の世界選手権優勝、世界ランキングは1位。ショート、フリーともに世界最高得点記録を保持。
まさにフィギュアの申し子とでも言うべき存在です。
一方で、勝ちきれない試合があるのもまた事実。世界選手権ではここ2大会、惜しくも2位に終わっており、今季のグランプリ初戦も2位でした。今年は怪我もあり状態は万全ではありません。
十分なパフォーマンスが可能かどうか、さらなる進化を遂げているかに注目が集まります。
そして、若きエースが宇野昌磨。もっとも、ファンにとってはもはやおなじみの選手でしょう。
ジュニア世代で世界選手権とグランプリ両制覇を成し遂げ、昨シーズンにはグランプリファイナルで3位。今季はスケートアメリカを制し、世界ランクも3位に位置しています。
今年も羽生・宇野のツートップが盤石な日本男子。未来は明るいといえます。
その他にも、現在世界ランク9位の無良崇人(むらたかひと)、2014年のグランプリシリーズを制した村上大介、グランプリでの入賞も多い田中刑事などの選手が活躍しています。
世界では、やはり現在世界選手権2連覇中のハビエル・フェルナンデスに注目。
欧州選手権4連覇中、ロステレコム杯3連覇中などの活躍で現在世界ランク2位に位置しています。また、プライベートでは安藤美姫のパートナーとしても知られています。
ソチ五輪で羽生と金メダルを争ったパトリック・チャンにも注目です。
2014-15シーズンをまるまる休養に当てるなど、オリンピック後は苦しみましたが、昨シーズンの四大陸選手権を制覇、今年はスケートカナダで羽生を破り優勝するなど、その実力は十分に戻ってきています。
その他にも、スケートアメリカで261点を出し、世界ランクも4位に付けているアダム・リッポンらが注目選手です。
●女子
女子はなんといっても世界ランキング1位の宮原知子に注目です。
安藤美姫、浅田真央のような難易度の高いジャンプは苦手としていますが、演技の正確さで世界的な評価を受けており、昨年はNHK杯優勝、グランプリファイナル2位、四大陸選手権優勝などでポイントを稼ぎました。
新鋭として注目なのが三原舞依。今季のスケートアメリカで3位に入り、表彰台に上がりました。
昨シーズンまではジュニアのカテゴリで活躍していた選手。現在17歳と、今後に期待がかかります。
現在ランキング8位の本郷理華はスケートカナダ6位と苦戦中。浅田真央もスケートアメリカで6位に終わりました。昨年のグランプリシリーズでは好成績を残した2人だけに、今後さらに成績を上げてほしいところです。
女子における現在の絶対王者はロシアのエフゲニア・メドベージェワ。
昨シーズンはグランプリファイナル、欧州選手権、世界選手権を全て制覇。今シーズンもスケートカナダを世界歴代5位の点数で優勝しており、どこまで勝ち続けるのか注目です。
他に挙げるなら、現在ランキング3位でロステレコム杯を制したロシアのアンナ・ポゴリラヤに注目。これがグランプリ初優勝であり、昨シーズンからコンスタントに表彰台に立ち続けてきた成果が出た形でした。
メドベージェワ17歳、ポゴリラヤ18歳。ロシアの若手選手の台頭には目覚ましいものがあります。
ソチ五輪で注目を集めたユリア・リプニツカヤは、昨シーズンから伸び悩み。今季も初戦で故障するなど、逆境の中にあります。
日本での人気も高いだけに、怪我を乗り越え頑張って欲しいところです。
それでは、本日の振り返りクイズです。
2回に渡ってお届けしたフィギュアスケート観戦入門、いかがでしたか?
大きくはしょった部分もありますし、厳密さよりもわかりやすさを重視した分、ファンの方には物足りなかったかもしれませんね……。
何にせよ、これでフィギュアスケートを、より楽しく見ることが出来るはず! ぜひ、残りのシーズンをウォッチしてください!