こんにちは。豊岡です。
WBC一次ラウンド展望、今回はラストということで、プールD(メキシコラウンド)を見ていきます。メジャー屈指のパワーヒッターがひしめいており、豪華な打撃戦が予想されます。
過去3回分も合わせてどうぞ。プールD・ハリスコラウンド
出場国は、イタリア・メキシコ・ベネズエラ・プエルトリコです。メキシコ・グアダラハラにある球場「エスタディオ・チャロス・デ・ハリスコ」で開催されます。
このプールも、Cに負けず劣らず厳しい組です。おそらくイタリア以外の3国の争いになると予想されますが、メキシコ・ベネズエラ・プエルトリコのうち少なくとも1チームが一次ラウンド敗退というのは、非常にもったいないと思います。
イタリア:投打のアンバランスさが際立つ【投2・打3】
前回は、カナダとメキシコを下して一次リーグを突破する番狂わせを見せたイタリア。しかし今大会では、このプールの他チームが強すぎるため、さすがに勝ち抜けは難しそうです。
野手には、イタリア系アメリカ人のメジャーリーガー・若手有望株が多くそろいました。
パイレーツの正捕手フランシスコ・セルべーリ、2015年にブルージェイズの地区優勝に貢献した苦労人クリス・コラベロがいます。メッツの未来を担う2人の若手、ブランドン・ニモとギャビン・チェッキーニにも注目です。ただ、前回出場したカブスの主砲アンソニー・リゾは欠場です。
一方で先発投手は、元オリックスのマエストリ(現BCリーグ・群馬)が主力となる、かなり厳しいメンバーです。リリーバーでは、珍しい「両投げ投手」として話題を集めたパット・ベンディットが代表入りしています。
メキシコ:主砲の人望パワーで結束【投4・打4】
主砲のエイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)に備わった圧倒的な人望により、強力なメンバーがそろいました。イタリアには勝てるでしょうし、プエルトリコ・ベネズエラのどちらかを下して二次リーグにコマを進めてもおかしくありません。
打線では、ゴンザレスの他に、昨年アスレティックスで42本塁打を放ったクリス・デービスが主砲として期待されます。
※2017/2/20追記:当初メンバー入りしていたクリス・デービスは、WBCメキシコ代表への参加を辞退することを発表しました。
アレックス・バードゥーゴなど若手有望株、日本ハムのレアードや楽天のアマダーといったNPB助っ人勢が、主砲たちの脇を固めます。
投手陣も、ヨバニ・ガヤード、ホアキム・ソリアなどメジャーで実績を残した選手を中心とする総合力の高い陣容です。そんな中から、クローザーを務めると思われるロベルト・オスーナを紹介しましょう。2015年に若干20歳でブルージェイズのクローザーに就任すると、フル回転でチームの2年連続ポストシーズン進出の原動力となった選手です。
NPBでは、日本ハムの投手・メンドーサも代表入りしています。
ベネズエラ:歴代最強チームで優勝も狙える【投4・打5】
過去の大会では、豪華メンバーをそろえながら、実力を発揮できずに敗れてきたベネズエラ。今回は、そんな歴史を覆してくれそうな、一線級のメジャーリーガーで固めた歴代最強チームです。
一時は、 監督オマー・ビスケルの解任騒ぎと首脳陣の内紛がありましたが、無事に解決し、かえって雨降って地固まった感があります。
打線は、アメリカやドミニカを凌駕するかもしれない銀河系軍団です。
主砲は言わずと知れた3冠王経験者のミゲル・カブレラ。打率と長打を両立できる独特の柔らかいバッティングは天才的としか言い様がなく、一見の価値ありです。
彼の前を打つのは、小さな大打者ホセ・アルトゥーベです。身長160センチ台の小柄な彼は、元々ヒットと盗塁を量産するリードオフマンタイプで、過去2回首位打者を獲得しています。しかし、昨年は従来の長所をそっくり残したまま、24本塁打を放つなど長打力を飛躍的にアップさせ、チームの中軸を任されるようになりました。二塁守備も年々上達し、ますますパーフェクトな選手に近づいています。
他にも、2015年にロイヤルズをチャンピオンに導いた捕手のサルバドール・ペレス、ロッキーズの大砲カルロス・ゴンザレス、昨年乱闘騒ぎと長打力開花で有名になったレンジャーズのルーグネッド・オドーアなど、挙げればキリがありません。
投手陣は、シアトル・マリナーズの絶対的エースであるフェリックス・ヘルナンデスが柱となります。サイヤング賞1回、完全試合1回、最優秀防御率2回と、10年以上にわたる輝かしい活躍から「キング」と称えられる彼ですが、ここ2年は彼らしくない低調な投球が続いています。衰え始めているという噂を、WBCで払拭することが出来るでしょうか。
優勝しても驚かない戦力がそろっているベネズエラですが、強いて言うなら、ヘルナンデス・ペレス(レンジャーズ)に続く、三番手以降の先発投手が弱点でしょうか。今回こそ実力をフルに発揮してほしいものですが、どうなるでしょうか。
プエルトリコ:プールDの大本命【投4・打5】
前回大会では日本を倒し、ドミニカに次いで準優勝を果たしたプエルトリコ。今大会も、アメリカ・ドミニカ同様ビッグネームを勢揃いさせてきました。激しい争いが予想されているプールDの中で、勝ち抜けの本命であることは間違いなさそうです。
長年チームを支えてきた、名捕手ヤディアー・モリーナと、主砲カルロス・ベルトランは、共にかなりのベテランとなりました。しかしその実力は未だ健在。精神的支柱としての役割も含め、中心的存在であることに代わりはありません。
また、昨年のワールドシリーズで激突した2人の若きホープ、フランシスコ・リンドーア(インディアンス)とハビアー・バイエズ(カブス)が、WBCではチームメートとして二遊間を組みます。彼らの華麗なプレーに注目しましょう。
投手陣は、打線に比べれば見劣りしますが、弱点になるほどではないでしょう。注目選手には、シアトル・マリナーズの若手投手エドウィン・ディアズを挙げたいと思います。前に突っ込んでいくような独特のフォームから、突き刺さるような剛速球を投げ込む選手です。
NPB関連では、元ロッテのレデズマ、ソフトバンクのスアレスの両投手も代表入りしています。
いかがでしたでしょうか。WBCは4年に一度、非日常感を味わうと共に、野球というスポーツの広がりと多様性を実感出来る貴重な機会です。WBCの魅力を存分に味わいつくすため、侍ジャパン応援のかたわら、他チームにも注目してみてはどうでしょうか?