こんにちは。豊岡です。
WBC一次ラウンド展望、今回はプールC(アメリカラウンド)を見ていきます。プールA・プールBに比べて力のあるチームがそろっており、一次ラウンドからいきなりの死闘が予想されます。
また前編同様、各チームの見出しに、完全に主観ながら5段階の戦力評価をつけました。投打それぞれの戦力に対し、最弱1~最強5の数字を割り振っています。監督コーチの采配・チームのムードなどの要素は考慮していません。
プールC・マイアミラウンド
出場国は、アメリカ合衆国・ドミニカ共和国・カナダ・コロンビアです。アメリカのマーリンズパーク(フロリダ州マイアミ)で行われます。ここは、全4つのプールの中で、おそらく一番の死の組です。
アメリカ・ドミニカは王道のドリームチームです。カナダは、多くのメジャーリーガーの招集に失敗していますが、依然底力はあります。コロンビアは、出身のメジャーリーガー・若手で勢いのあるマイナーリーガー・日本で活躍する選手と、バランス良くベストメンバーをそろえてきました。
もちろんアメリカ・ドミニカ2国が有利ではありますが、残り2チームにも十分可能性があり、どこが勝ち抜けてもおかしくありません。
アメリカ:大国の意地を見せられるか【投5・打5】
過去の大会でもメジャーリーガーをそろえて挑むものの、毎回期待外れに終わってきたアメリカ代表。今回こそ雪辱するため、一部選手の辞退はあったものの、過去以上のメンバーをそろえてきました。
数人の選手を紹介することにしましょう。まず、ノーラン・アレナドです。所属しているコロラド・ロッキーズの成績不振により、日本ではあまり知名度がないかもしれませんが、2年連続で打点・本塁打のナリーグ2冠王に輝いた、押しも押されぬスター選手です。
毎年40本塁打・130打点をクリアできるバッティングだけでなく、三塁守備も一級品です。
野手陣では、この記事で取り上げた、マーリンズの2人(ジャンカルロ・スタントン、クリスチャン・イェリッチ)も出場します。
先発投手で筆頭に取り上げるべきは、クリス・アーチャーです。細身から繰り出される伸びのある速球と、大きく曲がり落ちるスライダーを武器に、2年連続でリーグ2位の奪三振数を記録しています。
投手陣では、この記事で取り上げた、鉄腕リリーバーのアンドリュー・ミラー(インディアンス)も出場します。
ドミニカ:これぞドリームチーム【投5・打5】
ディフェンディング・チャンピオンとして大会に臨むドミニカ。今回も、アメリカに負けず劣らずの銀河系軍団で大会に挑み、投打共に死角は一切見当たりません。文句なしの優勝候補です。
マリナーズのロビンソン・カノー、ネルソン・クルーズ、レンジャーズのエイドリアン・ベルトレ、ブルージェイズのホセ・バティスタなど、打線にはビッグネームの大砲がそろい踏みし、誰を取り上げても記事が書けそうです。
そんな中から、マニー・マチャードを取り上げましょう。20歳でメジャーデビューした彼は、アレックス・ロドリゲスと比較される長打力のある遊撃手で、昨年は24歳の若さで3割・30本・100打点までもう少しの好成績を残したスーパースター候補です。普段はチーム事情によりサードを守っていますが、WBCでは本職のショートで華麗な守備を披露する彼の姿が見ることができます。
エースを務めるのはジョニー・クエトです。ぽっちゃりしたアンコ型の体型、野茂英雄のトルネードに似たフォームから、速球・スライダー・チェンジアップを投げ分ける本格派の投球を見せます。投球フォームを少しずつ変えて、バッターのタイミングを崩すトリッキーな一面も持っています。
クローザーを務めるのはジューリス・ファミリアです。160キロ近いのに打者の手元で沈む魔球・ハードシンカーをガンガン投げ込んできます。
カナダ:ベストメンバーの招集に失敗【投2・打3】
チームの顔として期待されていた万能打者ジョーイ・ボットー、メジャーを代表する捕手ながら内野での出場が見込まれていたラッセル・マーティン、若手投手ジェイムソン・タヤンなど、投打の主力が続々と欠場を表明。ベストメンバーとは程遠い顔ぶれとなってしまいました。
野球がさかんな国ならではの、選手層の厚さで乗り切りたいところです。仮に一次リーグ突破がかなわなくても、このプールのキャスティングボートを握る存在になれるかもしれません。
打線は、ブルージェイズの有望株ポンペイがリードオフマンに、ブレーブスの主砲フリーマンが中軸にと上位は強力ですが、元DeNAのジェイミー・ロマックがスタメンという状態で、下位にはそこまで期待できないかもしれません。
打線以上に深刻なのが投手陣です。ニック・ピベッタなど若手のほか、巨人のマシソンや、ベテランのアクスフォードなどのパワーピッチャーがいるものの、全体的に人数が足りないため、何人か半引退状態の選手が復帰して出場します。その中の1人に、かつて伝説のクローザーだったエリック・ガニエがいます。
エリック・ガニエは、 2000年代前半に、ドジャースのクローザーとして活躍した選手です。必殺のチェンジアップを武器に、84試合連続セーブ成功、3年間でセーブ失敗わずか6回など、歴史に残る驚異的な記録を残しました。
しかしその後は、かつての活躍が嘘のように急激に衰え、30歳代前半で表舞台から姿を消していました。41歳となった今大会、期間限定での復活登板で、オールドファンを喜ばせてくれるかもしれません。
コロンビア:地味だけど台風の目になれる【投4・打3】
今大会で、一番ベストメンバーの招集に成功しているのがコロンビアです。WBCへは初出場と実績はなく、メンバーもやや地味ながら、手がたく強いチームです。
死の組に入れられてしまったものの、カナダを確実に倒した上で、アメリカ・ドミニカのどちらかを倒して一次リーグを突破するようなことがあると、一気に旋風を巻き起こし大会の台風の目になれるかもしれません。
コロンビアは、投手に強いメンバーをそろえてきました。先発陣は、フリオ・テヘラン、ホセ・キンタナの左右のダブルエースに、元DeNAのモスコーソが加わります。テヘランは、前田健太と似たスペックを持ち、スライダーが特徴のブレーブスの主戦投手です。キンタナは、4年連続30登板・防御率3点台と安定した好成績を残しており、「メジャーで最も過小評価されている投手」としばしば呼ばれる左腕です。
野手は若手中心ですが、ホルヘ・アルファロ、ディルソン・ヘレーラなど、数年後にはメジャーで主力を担うことが期待されている選手が多くいます。
コロンビア代表は今大会が初出場!
— MLB Japan (@MLBJapan) 2017年1月12日
チームのカギとなるのはフリオ・テヘランとホセ・キンタナ。それに加え、スピードと守備がレッズのプロスペクト選手、ディルソン・ヘレーラはチームに貢献。 https://t.co/X6jCWsk6xY #2017WBC pic.twitter.com/SCy6tBJKNW