ここから方角の話になっていくわけですが、古代中国では方角も「東西南北」ではなく干支が用いられました。
まず十二支を使って下のように十二方位が決められました。
「子の方角」が北を指します。ここでポイントとなるのが、十二方位は「三等分」という操作を行っているため、「東西南北」で表す八方位や十六方位や三十二方位とは違う刻み方をするということ。
子と丑の間の角度を求めてみましょう。90°を3等分しているので90°÷3=30°ということになりますね。八方位の角度は45°、十六方位の角度は22.5°、三十二方位の角度は11.25°で、ちょうど30°にはなりません。
つまり「丑の方角」は北東でもなければ北北東でもないし、「北東と北北東のちょうど真ん中」でもないのです。これがウソの原因になってきます。
この十二方位をさらに半分の角度にした二十四方位に十干が用いられます。下のようになります。
五行説では木は東を、火は南を、土は中央を、金は西を、水は北を意味します。中央という方角はないので、この図では土の兄弟くんだけ登場できませんでした。
ここで注意するポイント！ 「きのと」の年の恵方は「きのと」の方角……ではありません！
じゃあどうやって恵方を決めているか、次の項で説明していきましょう。
なんともそのまんまなネーミングですが、この4つも同じように漢字一文字の表記があります。それぞれ艮・巽・坤・乾です。「ひつじさる」で変換してみてください。「坤」という字が出るでしょ？
恵方はどうやって決められる？
さてさて、十干が年に使われたり方角に使われたりするということはお分かりいただけたでしょうか。ここからが本題です。
その年の恵方は次の3つのルールによって決められています。
- その年がお兄さん年の時は、恵方はその名前通りの方角
- その年が弟くんの年の時は、恵方は5年前の恵方と同じ方角
- 土の兄の年の恵方は2年前の恵方と同じ方角
このルールでそれぞれ考えていきましょう。
甲（きのえ）の年はお兄さんの年なのでルール1.が適用されます。よって恵方はその名の通り「きのえ」の方角。東より少し北ですね。
乙（きのと）の年は弟くんの年なのでルール2.が適用されます。乙の5年前は庚（かのえ）です。5年前を計算するのが大変だったら5年後と読み替えてもOKです。10年周期なので。で、その庚の年の恵方はというとルール1.により庚の方角。ということで乙の恵方も庚の方角になります。西より15°南寄りです。
1.と2.のルールだけだと困るのが戊（つちのえ）ですよね。だって「つちのえ」という方角はないんです。中央ですから。そこで「んーじゃあ1個前の兄と同じにしてしまおう！」ということで3.のルールが追加され、戊の恵方は「ひのえ」になりました。
癸（みずのと）の年の恵方が一番複雑ですね。ルール2.より戊（つちのえ）と同じ恵方。その戊はルール3.より丙（ひのえ）と同じ恵方。その丙はルール1.より丙の方角。よって癸の恵方も「ひのえ」、すなわち中央から南を向いて少し左です。
これらのルールを整理すると、必ず「兄の方角」になることが分かりますね。つまり恵方は「東より15°左」「南より15°左」「西より15°左」「北より15°左」の4通りしかありません。
さぁ、全ての準備が整いました。丁（ひのと）である2017年の恵方を考えましょう！
結局、今年2017年の恵方は？
さて、ここまで読んだ方ならもうお分かりでしょう！
今年の恵方はズバリ、この方角！
北から左に15°だけ左を向いた方角、それが今年2017年の恵方です！
「北西」は北から左に45°なので「北北西」は北から左に22.5°です。だから北北西よりは少し右！
「北と北北西のちょうど真ん中」は北から左に11.25°ですね。「北と北北西の中間」よりはちょっとだけ左！
この絶妙な角度が今年の恵方です。もし「今年の恵方は北北西」という情報を見かけたら「この人7.5°間違えてるな」と思ってください。
それでは最後に復習クイズです！
寸分狂わず歳徳神さまを求める皆様に幸あれ♪
