こんにちは、セチです。
1日が24時間であるということは、当然の常識として多くの人に受け入れられています。このことを知らない人は、ほとんどいないでしょう。
しかし、「1日は24時間」としているのは我々人間側の勝手ですから、歴史上「1日は24時間」と決めた何者かが存在しているはずです。
では、「1日は24時間」と、誰が決めたのでしょうか。
ヒッパルコス「1日の昼と夜を24分割しよう」
紀元前2世紀にギリシアの天文学者であったヒッパルコスが「1日の昼と夜を平等に24分割する」ということを唱えます。
昼と夜がほぼ同じ長さになる春分・秋分の時間をベースに「1日を24時間に分ける」という現在とほとんど同じ発想は、紀元前2世紀というはるか昔に生まれています。
では、なぜ「24」になったのでしょうか? 時間の歴史を少しずつ紐解いていきましょう。
古代エジプト人「時間わけよう」
「1日は24時間」の起源は、古代エジプトにさかのぼると考えられています。
といっても、古代エジプト人は1日を24時間に分けようとしたわけではなく、「昼と夜をそれぞれ12時間に分けようとした」のです。
古代エジプト人「時間わけよう」
まず、昼を12分割するのに使われたのが日時計です。
日時計そのものは古代エジプトの時代より前から存在していましたが、紀元前15世紀頃のエジプトで改良を加えられたものが誕生しました。この日時計は、T字型の棒を立て、日が出ている時間(=昼)を12に分割できるものでした。
夜を「星」でわける
そして、古代エジプトの人たちは、昼だけでなく夜も分割しようとしました。
太陽が出ていない代わりに、夜空の円を等分する星を目印として観測し、時間を分ける考えを生み出したのです。これは今までにないことでした。
ちなみに、古代エジプトでは夜間の時間記録手段として水時計を使用していたことも明らかになっており、その水時計には月ごとに異なる位置の目盛りが付いていたとか。この時代にも時季による昼の長さの違いが認識されていたことがうかがえます。
片手で12まで数えられるので「12」
ところで、なぜ時間を分割するのに12という数字を使うのでしょうか。
このことについては諸説ありますが、「指で数えるのに都合が良い」というのが有力説の一つです。
「指は10本だから、10の方が数えやすくない?」と思われるかもしれませんが、10以上を数えるためには何度も指を折らなければなりません。「何回折ったっけ?」と迷うリスクがあります。
この12という数は「親指以外の指の関節の数(=3つ×4本)」です。古代の人々は、親指で別の指の関節を触れることで数えていました。右手の人差し指から小指へと関節を触れていき、12個触りきったら左手の指を1つ折る、という具合。
実際にやってみるとなかなか合理的で、10より大きい数でも間違えにくいのがわかるかと思います。
ヒッパルコス「昼と夜をまとめて分割しよう」
昼と夜を別々に12分割すると、季節によってそれぞれの時間単位の長さが変わります。
普段使う時間単位がバラバラなまま数世紀の時が流れました。そうして最初に書いたように、紀元前2世紀にギリシアの天文学者であったヒッパルコスが「1日の昼と夜を平等に24分割する」と唱えます。これが現在の「1日は24時間」のもととなっています。
なお、この考えは日の出・日の入りとともに生活リズムを作っていた人々には長らく受け入れられず、ヨーロッパで機械時計ができる14世紀くらいまで、一般的には季節で変化する時間単位が使い続けられました。
1日が何時間でも、1日それ自体の長さは変わらない!
「1日24時間」の歴史は意外と昔からあるのですね。
個人的には1日は24時間では足りないと思っているのですが、何時間に分けようが地球が1回自転する時の長さは変わらないんだよなあ……と無駄なことを考えて時間を無駄にしました。皆さんも時間は大切に使いましょう。