缶ジュースの「缶」という漢字があるじゃないですか。あの漢字はもともと我々が思い浮かべるような容器の缶のことを表していなかったんですよね。
そう話すのは今回のインタビューの主役・山本祥彰。私は彼より漢字を嬉々として語る人物を知りません。
現在、彼は得意の漢字を武器にQuizKnockの動画、さらにはクイズ番組と
大学を卒業し、再び漢字に一途に向き合う彼の活躍の裏側と、今後の展望に迫ります。
※このインタビューは2021年3月にZoomで行いました
聞き手:永岡 優
2020年QuizKnock加入。山本と同じく中学時代に漢検準1級に合格している。好きな四字熟語は「
【前編はこちら】
目次
◎得意の漢字を活かしたQuizKnockでの活躍
・動画づくりのこだわり「漢字に興味ない人でも楽しめるように」
・漢字の醍醐味は「読み書き」だけではない!
・書き直さなければ100万円……「読めなかった」一問
◎漢字に再び向き合う 山本の目指すところ
・1級に再び挑戦 昔とは「ワクワク感が違う」
・究極的な目標「漢字について知らないことはない」
◎漢検に挑戦したい読者へのメッセージ
得意の漢字を活かしたQuizKnockでの活躍
動画づくりのこだわり 「漢字に興味ない人でも楽しめるように」
QuizKnockの動画では漢字をテーマにした企画が数多くありますが、山本さんの印象に残っているものはありますか?
一番印象的なのは「存在しない漢字もクイズ王は読めるのかドッキリ」ですね。
このあとのインタビューには本動画のネタバレが含まれますのでご注意ください。
僕が動画の企画を始めて間もない頃の動画です。多くの方に観ていただいて、この1本のお陰でひとつ自信が持てるようになりましたね。
「存在しない漢字」を創作するのはかなり難しかったのではないでしょうか。こだわった点はありますか?
ドッキリなので「ギリギリ(読み方が)わかりそう」という攻めた作問を心がけてましたね。「樹熱【パッションフルーツ】」も相当あり得ない読み方だけど、「1mmくらいの可能性は……?」と感じられるように、みたいなことを考えていました。あとは、漢字ごとの「それっぽさ」のレベルもグラデーションをつけて、バリエーションを楽しめるようにしました。
【こんぺいとう】とか【おろしがね】とかはめちゃくちゃフィットしてますもんね。
そうそう。【おろしがね】みたいな存在しない漢字は「僕がこの漢字を見せられたらこう読むかな」というのを想像しながら作ってましたね。伊沢さんも推測で解くのが得意なので、雰囲気やニュアンスを読み取りやすいように工夫はしました。
それ以上に意識したのが視聴者さんの視点ですね。「なんで伊沢さん読めるの!?」とかいろんな状況を考えながら、漢字にあまり興味がない視聴者さんでも絶対におもしろくなるように問題は作りました。
伊沢さんが読めても読めなくても、あるいは架空の漢字と気づいても、視聴者の方が楽しめる展開を意識したわけですね。
漢字の醍醐味は「読み書き」だけではない!
印象に残っている動画について、出演者としてはいかがでしょう?
「かぶったらNG漢字書き取りクイズ」ですね。これは僕の「漢字ができるキャラ」が確立して間もない頃に、主役としてフィーチャーされた企画でした。緊張感のなかファインプレーを連発できた嬉しさで印象に残ってます。
あとサムネがいいですよね。「鑿」の字が。
すごい密でインパクトある漢字ですよね(笑)。動画でも言及されていますが、漢検で書き取りを要求されることがない漢字もあったと思われます。普段からそういう漢字も読めるだけでなく書けるように意識しているのでしょうか?
普通に勉強しているだけだと「書ける」ようになるのは難しい漢字だと思います。僕の場合、漢検の問題集に付録されている「書き換えが許容されている漢字」リストをおもしろいなと思って眺めていたりしましたね。
そういった周辺知識にもしっかりアンテナを張っているんですね!
やっぱり漢字は読み書きだけでなくいろいろな楽しみ方があると思うので、これに関しては漢字の雑学を勉強していたのが活きたと思います。