コジマです。
山手線の「30駅目」となる高輪ゲートウェイ駅が完成間近だ。東京オリンピックに合わせて今年(2020年)3月14日に暫定開業し、本開業は2024年を見込む。
「日本で一番有名な路線」と言っても過言ではない山手線の、それもリニア新幹線の終着駅になる品川駅の隣駅とあって、周辺の再開発まで含めると5000億円規模の整備計画が動いている。それだけのお金が動いて経済効果は1兆4000億円なんて話もあるから、どれだけの巨大プロジェクトかが分かる。
金額で見ても大きいことは分かるものの、新駅を作る費用の相場を実はよく知らない。だいたいどのくらいで作れるのだろう。
1000万円〜131億円でございます
地方都市における新駅の設置に関わった費用を調査した研究 [潮江, 2001] があったので、これを参照してみる。
調査対象が1998〜2000年とやや古いが、一番安かった例(岐阜県・関市役所前駅など)で1000万円、最も高額な例(さいたま新都心駅)だと131億円となっており、当然ながら規模感によってまちまちといった印象を受ける。
ちなみに、関市役所前駅はこんな駅。
これを見るに、駅に必要なものだけを作るのに1000万円くらいはかかる、という認識でよさそうである。
一方、さいたま新都心駅はさいたま市の再開発に合わせて設置された駅。コンサートやスポーツ観戦によく行く人にとっては、「さいたまスーパーアリーナ」の最寄り駅としてお馴染みだろう。このくらいの規模でも131億円なのだから、(時代が違うとはいえ)高輪ゲートウェイ駅の5000億円というのは文字通り桁違いの額だ。
支払いは誰?
ところで、これらの費用は誰が払うのか。駅を作る費用なのだから鉄道会社?
基本的に、費用負担を決める際は受益者負担の原則が適用される。つまり駅ができることで利益が生じる団体に費用の一部を負担させるべき、という考え方だ。
駅を建設することで多くの場合、鉄道会社の利益は増えるから、もちろん鉄道会社は費用を負担する。
一方で、地方公共団体(都道府県・市町村)にとっても、利便性の向上に伴って企業や住宅が増加し、税収が増えるというメリットがある。これを根拠として、地方公共団体が費用の一部を負担することも多い。新野球場の建設に際してJRに新駅の設置を要望している北広島市は費用を負担する方針だというが、これも事情は違えど似たようなケースである。
きれいで便利な駅にはしたいが負担は小さく……。いつも使っている駅はいろいろなジレンマやネゴシエーションを乗り越えて建っているのだ。