こんにちは、高松です。
「高松Dの『収録までになんとかします!』」は、QuizKnockの動画収録の裏話や、僕の裏方としての仕事について楽しく紹介していく連載です。
【前回はこちら】
最近、デ・キリコ展に行きました。
面白いな〜と思う作品はしげしげと見つつ、知識も感性も追いつかない作品の前では「なんかわかってる風の顔」をしてやりすごす……というお決まりのパターンをやってきました。
僕みたいな人がけっこういるであろうということから考えると、美術館は「大量の人が集まって、わかったふりの顔をしている空間」と言うことができそうです。とっても奇妙で面白い空間ですね。
ひねくれたことを書きましたが、普通に楽しかったのでおすすめです。新形而上絵画のパートがお気に入り。
今回はJR東日本さんとのコラボ動画「【解答は300㎞先】1枚の画像から特定!誰よりも早くボタンを押せ!」の裏側を振り返ります。
この記事は動画のネタバレ満載となっておりますので、まだ動画をご覧になっていない方はぜひ先にご覧ください!
接戦にするための工夫
この動画のルールは至ってシンプル。簡単なクイズを出し、最も早く早押しボタンを押して答えた人が優勝です。
▲答えはもちろん富士山
……が、早押しボタンはスタジオにはありません。QuizKnockメンバーには、ボタンが置いてある3つの場所の画像を見てもらい、実際にその場所に行って早押しボタンを押してもらいます。ただし、その画像が撮影された場所は自力で特定しなければなりません。
▲早押しボタンは画像の場所に設置
画像で提示した3つの目的地は、出発地である新宿からの移動時間が異なります。左の仙台が3時間〜3時間半、真ん中の燕三条が約2時間半、右の奥多摩が約2時間と、けっこうな差がありますね。
企画の性質上、大差で誰かが勝つより接戦になった方が面白そうなので、スタジオからの距離によって出題する画像の難易度を変え、場所を特定する時間+移動にかかる時間がなるべく近くなるようにしました。
▲目的地は左から、仙台(宮城県)、燕三条(新潟県)、奥多摩(東京都)
今回の企画では、その難易度調整がとても、とても大変でした。
絶対「想定通り」に解かせたい!
動画では、メンバーにあの手この手で画像の場所を特定し見つけてもらいましたが、僕も準備段階であらゆる検索方法を考えました。本番で、想定よりも大幅に早い方法で答えにたどりつかれてしまうと、大差で一人が勝ってしまい、数時間ある移動パートはただのウイニングラン……というあまりドキドキしない展開になってしまうからですね。特に難易度が高い問題ほど、解き筋に抜け道がないか徹底的に探して準備を進めました。
移動に一番時間がかかる仙台の画像は、一番簡単に特定できる必要があります。なので、画像検索をすれば一瞬で特定できる画像を作りました。
▲これはすぐにわかってOK
奥多摩と燕三条の画像は、仙台への移動時間を考慮してそれぞれ難易度を上げなくてはいけません。画像検索を使って一発で場所がわかる画像は使いたくない一方、難しくしすぎて答えに辿り着けないようでは企画として成立しなくなります。
どのような画像で出題すればちょうどいい難易度になるのか、僕1人で考えるには限界があります。そこで、QuizKnockの関係者のうち写真から場所を特定するのが得意な人に、テストプレイで協力してもらうことにしました。
▲けっこう手が上がってビビりました
集まってくれた協力者の力を借りて、画像を作っては特定してもらい、また作っては特定してもらい……とテストプレイを繰り返します。そのたびに、解くまでにかかった時間やどのようにして解いたのかをヒアリングし、画像をブラッシュアップしていきました。
協力してくれた人の中には、写真にほんのちょっと写っている電車を見ただけでエリアを特定した猛者もいました。さすが有識者……と唸りつつも、本番で同じことが起こるとまずいので、微調整に微調整を重ねていきます。
そんなこんなで、「特定ガチ勢じゃないと特定できない難易度の写真」として、あの3枚の画像ができあがったんです。
次のページでは、動画で使用した画像の細かなこだわりを紹介します。