こんにちは、山森です。
昨日から、「太陽フレアが発生」と話題になっていますね。
注意喚起のメッセージもいくつか見られますが、結局何に注意すればよいの?と思う方も多いのではないでしょうか。
Two solar flares were released by the Sun this morning, one of which was the most powerful flare recorded since 2008 https://t.co/XpSiMdU159 pic.twitter.com/oYgptLJKyj
— NASA (@NASA) 2017年9月6日
とりあえず、現状を把握し、正しい知識を持つことが大切なので、少しずつ整理してみましょう。
- 約10年ぶりの大きな太陽フレアが観測
- 大きな磁気嵐が発生
- それによる人体への影響はない
- 電化製品は壊れない
今、太陽に何が起きてるの?
9月6日の18時頃と21時頃(日本時間)の2度にわたり、Xクラスの大規模太陽フレア現象が発生しました。
太陽フレア現象とは、太陽表面での爆発現象のことで、太陽の大気中で磁気エネルギーが突然解放されることにより生じます。
そのクラスは、放出されるX線の最大強度によって小さい方からA、B、C、M、Xに分けられ、XクラスはMクラスの10倍の大きさにあたります。
さらに、数字でクラス内での大きさを表し、X3はX1の3倍の大きさを意味します。
今回1度目のXクラスのフレアはX2.2で、2度目はX9.3でした。
Xクラスのフレアは、2015年以来でしたが、中でもX9以上のフレアは、2006年以来でした。
大規模フレアは、太陽活動が活発な"極大期"に起きることが多いものです。
太陽活動は11年周期で、現在の太陽は2008年に始まったサイクルの中で、"極小期"に向かっているところでした。
ですから、このような大規模フレアは珍しいことですが、11年前にも同様の観測がされているので、あり得ないわけではないのです。
大規模フレアが起きたらどうなるの?
大規模フレアが起きると、衝撃波やコロナ質量放出(CME)が発生することがあります。CMEとは、磁場を伴ったプラズマの多量な放出です。
普段、太陽から"太陽風"という風のようなものが地球に向かって流れています。
その太陽風から地球を守ってくれているのが、地球の磁気圏です。
しかし、CMEが発生すると、太陽風の突風が吹き、この磁気圏をゆさぶります。
すると、壁になってくれていた磁気圏を太陽風がすり抜けてしまいます。
このように、地球の磁気圏が乱れることを磁気嵐といいます。
結局地球への影響って?
磁気嵐が発生すると、地磁気(地球の磁場)が激しく変化します。すると、電磁誘導により、地球や地球上のもの全てに、電気を流す力が生まれます。
その中で、地球規模で特に大きくて電気を通すものであれば、そこに誘導電流が流れます。
例えば、1989年に大きな磁気嵐が発生した時には、カナダで大規模な停電が起こりました。
これは、送電線に沿って大きな電気を流す力が働き、送電設備が故障したためと考えられています。
体に付けている金属などの小さいものへは影響しません。あくまで地球規模で大きいものに起こることです。
さらに、地球全体に目を向けて考えると、地上の影響よりもさらに大きなものになります。
人工衛星は、地球の周りを回っています。人工衛星は、姿勢制御のために、地磁気を利用しています。
しかし、磁気嵐によって地磁気が乱されていると、正確に姿勢制御が行えず、人工衛星との通信に支障をきたすことがあります。
また、地磁気による影響だけでなく、宇宙空間を高速で飛び交うプラズマが、人工衛星を直撃し、故障に繋がることも考えられます。
これによる人体への影響はありません。
しかし、鳩は地磁気を利用して方向を決めているので、鳩が迷子になるかもしれません。
鳩を飼っている方は、外に出したら戻ってこなくなってしまう危険性がありますので、気をつけてくださいね。
もし、もっと大きい太陽フレアが起きたらどうなるの?
まず、"大きな太陽フレアが起きること=地球に大きな影響が出る"と、すぐに結びつけることはできません。
危惧しなければならないのは、大きな太陽フレアが地球の方向を向いて起きることです。
先述の1989年の磁気嵐は、X15クラスのフレアが地球の方向を向いていたことによります。
日本は緯度が低いので、送電線などへの影響は小さいと考えられています。
ですが、万が一に備えてきちんと考えていかなければならないことだと思います。
現在のように、情報技術が発展した社会は、昔より宇宙環境の変化を受けやすくなってしまっています。
少しでも、そのような事態を予測できるようにと、宇宙天気予報の研究が盛んになってきています。
オーロラが見えるかもって本当?
太陽風は、磁気圏の壁に沿って、地球の夜側へと進みます。
するとあるきっかけで、プラズマが地球大気へと高速で落ちることがあります。
その時、大気の粒子と衝突し、発光します。
磁気嵐が発生しているとオーロラがよく見えると言われているので、今回も期待が高まっています。
特に大きな磁気嵐が発生すると、北海道くらいの緯度でも見える可能性があるので、少しばかり期待しても良いのではないでしょうか。
長い人生の中で、いつ何が起こるかなんて、誰も正確にはわかりませんが、起こったこと1つ1つにしっかり目を向けて、日常を少しでも学びに変えられるといいですね。