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どうやって調査・保存するの?

水中の遺跡と陸上の遺跡では遺跡を取り巻く環境が全く異なり、それに伴うさまざまな制約があります。例えば基礎情報が乏しい潜水が必要であるなど……。ここでは水中遺跡の調査の流れについて説明していきます。

①陸上で基本情報を収集

水中遺跡は陸上の遺跡よりも所在の把握が困難な場合が多いため、段階的に遺跡の所在を調査することになります。

予備調査の方法として、周辺にある陸上の遺跡の調査結果に港として使われた形跡があるかなどを調べたり、湖沼図や航空写真、各種の海図などを参考に、地図情報から水中遺跡が存在する場所を想定したりします。

また、これまでに残された文献の史料からも水中遺跡の存在を考えることができます。港などの施設に関する史料から施設の位置や規模の情報を収集したり、海難事故や漂着に関する史料・伝承からその発生場所や漂着物がたどり着きやすい場所を探したりして、水中遺跡がどこにあるかを推測していくのです。

さらに、地元の漁業関係者など普段から海域で活動している人々に聞き取り調査を行うこともあります。漁やダイビングを行っている最中に遺物を引き揚げた情報や、水底にある遺物を目撃した情報を収集するためです。

こうしてさまざまな事前調査を入念に行うことによって、水中遺跡の場所を特定していきます。

②潜水やリモートセンシング装置を使い遺跡の場所を特定

水中遺跡の存在が想定されれば、実際に潜水したり、リモートセンシング装置を使ったりして遺跡の有無を把握し、範囲の絞り込みを行います。

潜水の技術を持つ人であれば、自分でダイビングして直接遺構の規模や遺物の形・大きさを詳細に把握することができます。潜水して水中で作業するためには、国家資格である潜水士の資格を取得し、安全にダイビングできる知識や技術を得る必要があります。

▲安全にダイビングするためには多くの機材を正しく使いこなす必要があります

(文化庁文化財第二課 2022 『水中遺跡ハンドブック』より引用)

潜水士の資格はQuizKnockでは山本さんが10日間で取得した資格でもあります! ただ本格的に水中遺跡の調査をしたいのであればもっと時間をかけて勉強しましょう。

すべての遺跡を潜水して調べられるといいのですが、人間が潜水をして調査をするには限界があります。そこで、広範囲の水中遺跡の調査や周辺の地形の把握には、おもにリモートセンシング技術を用います。水底の地形や埋蔵物などの情報を画像化して見ることができる装置を使ったり、磁気探査を用いて金属製の遺物があるかどうかを確認したりします。

▲水中遺跡の主な探査方法。音波などを利用したさまざまな技術を駆使します

(文化庁文化財第二課 2022 『水中遺跡ハンドブック』より引用)

③遺物を発掘

遺跡や遺物の存在が確認できたら、改めて潜水して発掘作業を行います。

発掘を行う位置を確定させる方法として、水底を金属の棒で突いて遺物の有無を確認するというものがあります。棒で突いた感覚の違いで、遺物の材質をある程度特定できます。

水底面下に遺構や遺物が埋没している場合は、水中の掘削を行うことになります。水底を掘削するために、空気を送り込んで土を吸引する機材を使います。

▲発掘するためにこんなに大がかりな機材を使います(文化庁文化財第二課 2022 『水中遺跡ハンドブック』より引用)

掘削を行った結果遺構や遺物が目に見える状態になったら、水中で調査の記録を作成します。遺物の周りに水糸や布製の糸を水平に張った計測器を置き、遺物の大きさや形を記録します。近年では写真撮影による記録が行われるようになり、短い潜水時間で効果的に作業を行うことができるようになってきています。

▲水中でも書ける紙とペンを使って目視で計測。これを限られた時間内にやらないといけません

(文化庁文化財第二課 2022 『水中遺跡ハンドブック』より引用)

④引き揚げ・保存

発掘調査で見つかった遺物は、その大きさや保存状態から陸上に引き揚げるか、水中で保存するかを判断します。土から露出し水にさらされた状態になると酸化や生物被害が起こり劣化してしまうので、迅速に陸上に引き揚げます。引き揚げる方法は遺物の素材や大きさにより異なり、ネットやコンテナ容器・クレーンなどを用いて、遺物が破損しないように慎重に引き揚げます。

▲遺物の素材や大きさで引き揚げ方はいろいろ(文化庁文化財第二課 2022 『水中遺跡ハンドブック』より引用)

引き揚げた遺物をそのまま保存すると、曲がる、縮む、腐食するなどの劣化が進んでしまうので、すぐに保存処理を行います。まず、劣化の一因となっている海水の塩分を真水やアルコール溶液などを用いて除去し、その後に保存処理を行います。多くは特殊な薬剤を使って保存処理を行いますが、木材については食品や化粧品にも添加される糖質のトレハロースが使われるように。これにより従来の薬剤よりも早く・安く・安全に保存処理を行えます。

また、大型であるために引き揚げることができない、あるいは引き揚げても保存できる環境がない遺物は、土の中に埋め戻して現地で保存します。掘削したときに取り除いた土砂を再び戻し、掘削前の状態に戻すことで劣化を抑制することができます。埋め戻した後には遺物の周辺の環境を定期的に観察して、遺物の状態に変化がないかを確認します。

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廣澤 陽斗

廣澤陽斗(ひろさわ・はると)です!國學院大學で日本史を学びながら、クイズと埼玉西武ライオンズをこよなく愛しています。日本史を中心に楽しく学ぶことができる記事を書いていきます。よろしくお願いします!

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