②「細菌」が食生活を変える!?
イベント後半のキーワードは「めちゃめちゃ増える!謎の生物」です。
現代社会の超重要課題、「地球温暖化」。その原因のひとつである「二酸化炭素」排出の問題も解決してくれるかもしれない……という、夢のような生物を研究員の平野さんが紹介します。


スゴい生き物「水素細菌」に迫る
「水素細菌」は、水素と二酸化炭素を栄養にして生きることができる細菌です。驚くべきは、その繁殖力! エサとなる水素と二酸化炭素を適切な環境で与えておけば、1時間で2匹、2時間で4匹、3時間で8匹……と倍々に分裂して増えていくのだそうです。
つまり丸1日、24時間放置すれば、その数は約1680万匹に!

そんな水素細菌を飼っているタンクを見せていただきます。実験室にいる研究員の栗田さんと中継がつながりました。

今回は料理番組みたいにショートカットして、40時間経ったものをお見せしますね。

綺麗な透明だった水槽は、放置し続けると……完全に白濁した色に! 会場からも驚きの声が上がります。
電子顕微鏡で2万倍に拡大した水素細菌(やや閲覧注意です!)

たくさんある、水素細菌の使い道!
そして水素細菌がスゴいのは、「たくさん増える」だけでは終わらないところ。たとえば、水素細菌から「お肉に似た食品」を作ることもできるんです。
平野さんによると、水素細菌は「畑の肉」と呼ばれる大豆の倍以上の割合のたんぱく質を含んでおり、粉状に加工することで代替肉の素材に利用する研究が進んでいるそうです。

他にも、飛行機のバイオジェット燃料として利用することができたり、プラスチック製品を作り出すことまで期待されているんだとか!
二酸化炭素は人間の活動の中でたくさん排出されてしまうものですが、こうした製品に水素細菌の力を活用できれば、排出された二酸化炭素を水素細菌に食べさせる、という循環型の社会の実現も夢ではありません。
「カーボンニュートラル」ってやつですね。

少年の問いかけに……
最後に、参加者の男の子からユニークな質問が。


お子さんたちも、水素細菌の驚異的な繁殖力に思いを馳せている様子でした。無邪気な質問に須貝がとっさの暗算で応じたところで、イベントもお開きとなります。


もっと知りたい! 電中研
ここまでご紹介したのは、私たちの暮らしを支える電中研の研究のほんの一部です。次のページでは、普段は見られない「研究所の裏側」をご紹介しています。
先に見たい方はこちら:須貝も興味津々、津波研究の超巨大装置!
そしてまだまだ知りたいという方のために、イベントで出題されたクイズを全問掲載します!