QuizKnockの書籍「課外授業シリーズ」の第3弾、『君らしく働くミライへ』(朝日新聞出版)が刊行されました!
働く環境が目まぐるしく変化する時代で、私たちはどんな働き方をして、どう生きていくのか。わかりやすいマンガや図解とともに、「未来の職業」について可能性を広げるヒントが詰まった、大人も子供も考えを深められる一冊です。
書籍では、YouTuberのHIKAKINさんやラッパーのダースレイダーさんなど、さまざまな業界の第一線で働く方へのインタビューも掲載しています。今回はこの「働く人へのインタビュー」のコーナーから、小説家・朝井リョウさんのお話を抜粋・編集してご紹介します。
『桐島、部活やめるってよ』『何者』『正欲』……話題作を送り出し続けるヒットメーカーは、「仕事」とどう向き合っているのか? 3つの質問に対する朝井さんの答えには、仕事観だけではなく、「自分」を知るための手がかりもありました。
毎回思う「これで最後」。それでも書き続ける理由
読者の存在がモチベーションですーーなんて言えればいいのですが、だったらタダで配れよ、ということになりますよね。実際には、お金を払って本を買ってくれる人にしか届けられていません。特に今のように感染症が流行しているときや、大きな災害があったときなどには、小説家が他人や社会のためにできることは本当に限られているなと感じます。
そういうことも踏まえると、モチベーションは自分の外ではなく、中にあるのだと思いますが、正直私もまだよくわかっていないんです。好きでやり始めたことが今でも続いている、というのが一番実感に近いのかな。ただ、無人島に行っても書くかというと、きっと書かない、というか書けない。小説を読むのも書くのも、衣食住が整っているからできることなんだと、改めて思います。
小説を書いていると毎回、「もうネタ切れ。これで最後だろう」と思うんです。それでも毎日少しずつ書けば、1年弱で500枚とか書けている。びっくりします。なら次も出来るかも、という気持ちになって、また書き始める。そういうことの繰り返しです。
写真はイメージ
小説家になって10年以上経ちましたが、最初のころは、一冊の小説という点に向かって短距離走をするような仕事だなと感じていました。でも今は、その点が線になっていると感じられています。だから、一度書き始めた小説を途中で書き進められなくなってしまったことが何度もありますが、それもいずれどこかに繋がる線になってくれるはず、と自分に言い聞かせています。迷惑をかけた担当編集者にいつか恩返しをしないと、です。
小説家のいいところは、モチベーションがなくなったとしても、辞めると宣言しない限り“小説家”でい続けられるところ。いつだって書き始められる、というのは利点ですね。