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QuizKnockと学ぼうプレゼンツ 第2回みんなで卒論発表会

【開催概要】

日時:2025年3月30日 14:00~16:30
場所:日本科学未来館7F 未来館ホール(東京都)
出演:須貝駿貴、田村正資、東言
卒論発表メンバー:シャカ夫、東言、一般発表者の方4名


3月30日、YouTubeチャンネル「QuizKnockと学ぼう」が主催するイベント「QuizKnockと学ぼうプレゼンツ 第2回みんなで卒論発表会」が実施されました。QuizKnockメンバーを含め合計6名のプレゼンターが登場し、論文を発表しました。

発表後は、須貝駿貴と田村正資による質疑応答の時間も。今回はYouTubeでの生配信を通じて論文や発表者へコメント・質問が全国各地の視聴者からリアルタイムで寄せられ、会場を訪れた方に限らず、多くの方が論文への理解を深め、さまざまな研究分野の魅力やおもしろさに触れる1日となりました。

この記事では主に、QuizKnockメンバーのシャカ夫東言による発表、そして「論文」をテーマとしたトークパートの内容をご紹介します。

目次

サソリの毒が殺虫剤や農薬に!?

一番手で登場したのは、ライターのシャカ夫。過去には「インテリモノマネ選手権」などの記事を執筆していますが、大学ではサソリの毒について研究を行ってきました。

▲発表を行うシャカ夫

シャカ夫の発表は、「サソリの毒が殺虫剤や農薬に活用できるかもしれない」というもの。サソリの毒液には殺虫作用をもつペプチド(アミノ酸が鎖状に結合したもの)があり、特定の生物や分子にのみ効果を示す性質をもっています。この性質を生かし、「殺虫作用はありながらも人間には害がないもの」としてサソリの毒を殺虫剤や農薬に応用できるのではないか? という点に着目した研究です。

研究では、サソリの生息数が多い北アフリカのサソリの毒液とコオロギを用いて、毒性のあるペプチドを分析します。コオロギに毒を与え、コオロギが死んだペプチドの区画を細かく分類してそれぞれの区画をまたコオロギに投与する実験を繰り返し、殺虫作用のあるペプチドを特定しました。このペプチドを構造解析すると、36個のアミノ酸が鎖状につながっていることが判明したのです。

結びにシャカ夫は、今後の研究の目標として「36個のアミノ酸の配列のうち、どの部分が強い殺虫作用を示しているのか調べたい」「この配列を組みかえて、より強い殺虫作用を示す農薬に活用できるように改良していきたい」と掲げました。

質疑応答

発表終了の時点で来場者・視聴者からは質問が100個以上届き、須貝や田村、発表者のシャカ夫も「こんなに質問もらったことない!」と驚きを隠せません。

その中で最も多く届いていた質問が、「毒が人に効かないことはどうやってわかる?」というもの。

シャカ夫は、「特定したペプチドが必ずしも人間に効かないと言えるわけではない」としながらも、「同じ哺乳類のマウスに対して実験を行い、マウスに効果がなければ人間にも効かないだろうと推測できる」と回答。「人間に効くかもしれないけど、とにかく1個良い毒が見つかったという段階」であることを説明しました。

学会での発表は何度か経験してきましたが、一度に100個以上も質問をいただくのは初めてで興奮しました。それも正鵠せいこくを射た質問ばかり! 多分野開催でこそできるディスカッションもあり、実りの多い発表になりました。

「クイズの問題文」を深掘る研究

東京大学で国語学を専攻し、今年大学を卒業した東言。イベントでは司会も務めながら、発表者としてもステージに立ちました。

▲司会者と発表者、二刀流の活躍

そんな言が発表するテーマは、「クイズの問題文」と「名詞修飾」。早押しクイズで読み上げられる問題文に見られる、特殊な構造に着目した研究です。

早押しクイズでは、ボタンが押されると読まれていた問題文が途中で止まり、解答者はその後に続く文章と問題の正解を推測してクイズに答えます。早押しクイズの問題文の構造は、普段の会話などのそれとは大きく異なり、特殊な構造をしています。なかでも今回言が特に注目したのは「名詞修飾」。名詞修飾とは、名詞の意味を限定したり、詳しく説明したりする表現のことで、これらは修飾要素や被修飾要素といった要素からなります。

▲さまざまな「名詞修飾」

クイズの問題文を見ると、「クイズの問題文は名詞修飾で作られている」ことが分かりました。クイズの問題文は、1つ以上の修飾要素と1つの被修飾要素をもつ名詞修飾の構造をもっています。

言は実際のクイズ大会で使われた100問を使って分析を行いました。その中で特に多かった「動詞による名詞修飾」に着目し、修飾要素と被修飾要素の関係に注目してさらに細かい分析を行います。

▲「動詞による名詞修飾」でもこんなに種類が!

調査の結果、この分類にもとづけば、クイズの問題文では動詞による修飾の半分以上が「ガ格」の関係にあることがわかったそうです。また「ガ格」の関係にない修飾要素には、「ガ格」の関係と誤解されることを避けるさまざまな特徴が見られました。

質疑応答

言の研究は、言自身がクイズプレイヤーだからこその着眼点も踏まえて行われたものでもありました。質問者の田村からは、「クイズの問題文を国語学でひも解いたときにどういう意義・貢献がある? クイズ界に対して、また東言というクイズプレイヤーにとってどんな貢献がある?」という質問を投げかけます。

それに対して言は、「東言にとって良かったことは非常に楽しかったことです! 国語学もクイズも、自分の好きなものを両方まとめて取り扱うのはおもしろかった」と笑顔で答えました。

続けて、クイズ界にとっては「クイズの問題文を構造的に見ることはそんなにないので、問題作りに役立つのでは」と話します。国語学にとっても「(クイズの問題文は)1つの被修飾要素に2つも3つも修飾要素がつく点が特殊なので、研究するのはおもしろい」と回答し、来場者の方も「クイズの作問をやってみるならこうしたほうが良いのかもという知見が得られた」とうなります。

その後も続いていく質疑応答に対し、田村も「適当に考えていたけど、学問的な知見で噛み砕かれて問題が明瞭になっていくのが気持ちいい」と感動しました。

卒業論文の内容を誰かに話す機会というのは全くなく、実はとても緊張していました。研究結果というのは決して「答え」ではないので、発表を聞いて皆さんが何かを思ったり、考えたりしてくれれば嬉しいです。ぜひ議論しましょう。

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QuizKnock編集部

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