こんにちは、S.O.です。時期尚早な気もしますが、今日は日本人には馴染みの深い、桜の話です。
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日本にあるソメイヨシノはすべてクローン
私たちが目にする桜の大半は「ソメイヨシノ」という品種です。このソメイヨシノ、日本中にありますが実はほとんどクローン個体です。クローンとは、まったく同じ遺伝子を持つ生物のことですが、実際DNA解析によってソメイヨシノが同じDNAを持つことが確認されています。
ソメイヨシノは江戸時代末期ににオオシマザクラとエドヒガンという2種類の桜を交配させることで生まれました。明治時代以降ソメイヨシノはそのすぐれた形質を残すために、接ぎ木によって全国に植えられました。 接ぎ木とは同じ遺伝子を持つ個体を複製すること、つまりクローンを作ることに他なりません。ソメイヨシノはクローン繁殖という形でどんどん増えていきました。
しかもソメイヨシノは自家不和合性という性質を持っていて、ソメイヨシノ同士の自然交配によって子孫を残すことはできません。ソメイヨシノと他の品種の桜を交配することはできますが、それは別の品種になってしまいます。
つまり、ソメイヨシノは人間の手を借りないと増えることのできない品種なのです。ですから人類が突然滅んでしまったら、ソメイヨシノはもう増えません。ソメイヨシノも滅びゆく一方です。
また、「ソメイヨシノ寿命60年説」といって、戦後植えられたたくさんのソメイヨシノがもうすぐ一斉に寿命を迎えるという説があります。 しかし、これは俗説に近いようです。実際、青森県の弘前城公園や東京の小石川植物園には100歳以上のソメイヨシノの個体があり、適切な管理をすれば他の桜の品種のように数百年生きることも可能です。ただ、他の品種に比べて寿命が短いのは確かなようです。
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