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「早押しクイズはデータ勝負」の時代が来る?

白砂さん スポーツの世界だと、選手のプレースタイルや成績がデータで示されていて、ファンも試合を観る上での参考にしたりしますよね。クイズプレイヤーについても、同じようにプレースタイルを定量的に分析したいんです。
自分や相手の押しをデータベース化して、「この試合は前のめりに押そう」「ここは慎重に」と戦略を立てるのに役立ててもらうとか……。スポーツアナリストという職業もありますし、それがクイズの世界にもあったらいいなと思います。

――なるほど。私もクイズをするんですが、「自分は絶対間違えたくなくて、かなり慎重にプレーするタイプだな」と思っています。自分のプレースタイルが「押しの慎重度 上位〇〇%」みたいに数字でわかったら、より戦略も立てやすくなってくるかもしれません。

▲クイズ大会に参加した白砂さん。1番右にいるのは伊沢拓司

白砂さん それから、「クイズ観戦の何が面白いのか」を解き明かしたいです。一番盛り上がるのは、やはりプレイヤーが答えをひねり出せた瞬間なのか、それとも答えを出そうと考えをめぐらせている時間なのか……。これがわかれば、クイズに興味を持って、大会の観戦に訪れる人ももっと増えると思うんですよね。

――この研究が進んだら、プレイヤーのパフォーマンスを生かしつつ、観戦する人もワクワクするような、いま以上にWin-Winの仕組みが考えられたりもするのかもしれないですね……。私はクイズプレイヤーですが「観るクイズ」も自分でやる以上に好きなので、仲間が増えるのが楽しみです。

▲スポーツ観戦のように、クイズ観戦の楽しさが広まった未来も見えるかも

白砂さん あとは、時代ごとのクイズの傾向の変化をデータ化したいですね。多くのスポーツでは時代によるプレー環境の変化が常に研究されてきて、それをもとにした戦略が取られています。クイズにも問題傾向の流行り・廃りがあるわけで、誰もがそれを反映したプレースタイルを選べるようになると面白そうですよね。
クイズには認知科学的な要素が本当にいっぱい詰まっているな、と僕は思っています。他者との競争とか、不確実性とかメタ認知とか。まだまだ研究の開拓の余地はあるはずですし、研究者の立場からクイズ界を盛り上げたいなと思っています。

メタ認知:自分の認知活動を客観的にとらえ、制御すること。クイズの場なら、「本当にこの答えで合っているか?」と立ち止まって考えてみることなどが挙げられる。


――白砂さんが叶えたいことが全部実現したら、クイズの世界は今よりもずっとたくさんの方に、深く知ってもらえそうですね。

白砂さん そうですね。僕はクイズをブームではなく、文化にしたいんです。この言葉は元スケート選手の町田たつきさんが残した名言「フィギュアスケートをブームではなく文化に」をもじっているんですが、クイズもそうなってほしいなと思います。
話題になっているものも、学術研究や多種多様なデータの蓄積がないと、一過性に終わってしまうと思っています。自分が行なっている研究が、そのデータの蓄積の一助になれば本望ですね。

▲ありがとうございました!


インタビューを通じて、「クイズと認知科学を融合させた研究」は、白砂さんがこれまでに出会ってきた「好きなもの」が集約された研究であるように感じました。また、クイズを趣味とする一人の人間として、自分のプレースタイルや、クイズを楽しいと感じるメカニズムがわかったら、もっとクイズを楽しむことができるのだろう……とワクワクしながらお話を聞いていました。

将来、クイズは今以上に広がりを見せ、「文化」として親しまれるようになっているのか……。白砂さんが目指す未来を想像すると、今からとても楽しみです。

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この記事を書いた人

あさぬま

好きなひらがなは「ぬ」。普段はQuizKnock編集部で記事の編集をしています。人の話を聞くことが大好きです。

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