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導入のはじまりはじまり
皆さんこんにちは! 神話が大好きな桑名です!
さて、いきなり謎の話から始まりましたが、これは実はインドネシアのある島に伝わる人類の起源に関する神話のひとつなんです。
人類の起源と言えば、例えば旧約聖書におけるアダムとイヴなどが有名だと思います。
旧約聖書では、神が自らの姿に似せてアダムを作り、そのアダムからイヴが生まれ、彼らが人類の始祖となりました。
一方のインドネシアでは、人類を生み出したのは神ではなくバナナなのです。
というわけで今回は、こちらの「人類の起源バナナ説」の神話について解説していきます!
実はこの神話、似たようなものが各地に存在しており、それこそ日本神話にも似た構造の話が登場するのです!
それでは、ぜひ最後まで読んでいってください!
人の寿命はバナナのせい?
さて、まずは先ほどの神話をもう少し詳しく説明していきます。







この神話によると、人類はバナナから生まれたから寿命がある、ということのようですね。
ふむふむ、という感じですが、ここでバナナに関するインドネシアの他の島の神話も紹介しましょう。
こちらは、人類の最初の父母がすでに存在している状態からスタートします。




めでたしめでたし……?
めでたくはないですが、ここでも石が「不変の存在」、バナナが「限りある存在」として描かれ、結果的にバナナが選ばれたことによって人間に寿命が生まれたことがわかります。
このような神話は「バナナ型神話」と呼ばれます。登場する存在は多少違えども、「人間に寿命がある」理由についての似たような神話が各地で見られ、遠いところだとマダガスカルでも見られます。

そして面白いことに、複数の民族の神話で共通してバナナが「限りある存在」として描かれることから、これらの神話はバナナ栽培の伝来に伴って伝わっていったという可能性が示唆されています。
日本だと「岩」or「花」?
実は、この「バナナ型神話」と似たような構造は日本神話にも登場します。
それは、ニニギノミコト(瓊瓊杵尊)という神が妻を
このニニギノミコトは
地上に降りたニニギノミコトには、イワナガヒメ、コノハナサクヤビメという二人の姫が妻として送られました。
しかしニニギノミコトは、美しいコノハナサクヤビメだけを選び、容姿が醜かったイワナガヒメを拒んで送り返してしまいました。

実はこの二人の姫が送られてきたのには、深い意味が込められていました。
イワナガヒメは「岩(石)」を象徴しており、岩のように永遠に変わらない命を持つことを意味していました。一方で、コノハナサクヤビメは「花」を象徴し、一族の繁栄と引き換えにはかなく短い命を持つことを意味していたのです。
ニニギノミコトが永遠を象徴するイワナガヒメを退け、花のように美しいコノハナサクヤビメだけを選んだことで、彼の子孫である人間は「花のようにはかなく散る命」を持つ存在になった、と伝えられています。
つまりここでは「岩(石)と花(植物)」で対比されており、ものは違えど「石とバナナ」と同じような対比となっています。結末も同じです。
そのため、こちらも「バナナ型神話」の類型だと言われています。
まとめ
今回は東南アジアの面白い神話について解説してみました。
このように、複数の文化圏に伝わる神話などについて様々な面で検証し、相互の関係性について調べる学問的試みを「比較文化」といい、私が現在大学で学んでいるものになります。
もちろん、神話以外にも「文学」「言語」なども比較文化の対象となります。
この記事を読んで、比較文化の面白さ、わかっていただけたでしょうか?
今回紹介したものの他にも、日本の神話と似ている神話がどこかの国にあるかも……?
それでは最後に1問クイズです!
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