今、日本は空前の「ラップブーム」の中にいます。
テレビ朝日系『フリースタイルダンジョン』が若者の間での人気番組となり、若者を中心に「フリースタイルかっけえ! ラップかっけえ! 」というムーヴメントが起こりました。
ラップ調のCMが増え、自己紹介でいきなりラップしだす人も……。
いち日本語ラップファンとして、数年前には予想できなかった規模で集まる注目に対して素直に興奮しています。
その一方で、にわか的な知識で「楽しい!凄い!」と言われるのが気になるのもまた事実。
現在の日本語ラップやフリースタイルがあるのは、日本語でのラップという難題に取り組んできた先人の苦労あってのものです。
ヒップホップがサンプリングを基調とした「リスペクトの音楽」である以上、それを楽しむためにはこれまで積み重ねられた歴史に対して目を向けることもまた有用なのです。
そして、そのような「歴史的名作」のことを、ヒップホップの用語で「クラシックス」と呼びます。
実際、『フリースタイルダンジョン』で使われるトラックの多くはクラシックスで用いられたビートであり、モンスター側はよく元曲のリリックを引用しています。
また、バトルのテーマがシーンへの貢献やラップの捉え方といった「アチチュードを問う」ものになることが多く、これもシーンの背景を知っているとより楽しめます。
このような点から、やはり僕は「クラシックスを知って、その上で見てほしい」と思うのです。
今回は、1990年代後半、いわゆるさんぴん世代までのクラシックスを中心に、10問のクイズを用意しました。一通りクラシックスを抑えた人にとっては楽勝、と言える難易度です。
現在の日本語ラップシーンを築き上げたのは、紛れもなく彼らです。自信のない方は勉強のつもりでじっくり、この年代が大好きな方はスパスパと解いていってください。そして、僕と大いに語り合いましょう!
どうでしたか? 10問じゃ足りないくらい、触れたいアーティストはたくさんいたので(大神とかにも言及できてない!)、名残惜しい限り。
このような中で、さんぴん世代からTOKONA-X、漢、般若、OZROSAURUSといった「78年組」の相次ぐヒットへとバトンが渡され、現在まで続くシーンが確立されていきました。
日本語ラップの歴史を知ることは、言葉を紡ぎ続けるヒップホップを聴く上で非常に意味がある、と思います。
ぜひ、いろいろな音源をディグしてみてください。
フリースタイルという言葉は、何も現在世間一般的に認知されているであろう「即興のラップ」だけを意味するわけではありません。
「その場でリリックを考えながらラップすること」は、厳密には「トップオブザヘッド」と呼ばれる行為。
トラックに合わせて自由にラップをする(例えば、他の曲のリリックを乗せてみる)ことや、フリーダムなマイクリレーなども、「広義のフリースタイル」には含まれます。