いきなりクイズ。この韓国語、何と読む?

ヒント:韓国ドラマ好きの方ならピンとくるかも。食卓でよく見かける、カタカナ5文字の単語です。

正解は「チャミスル」。
韓国ドラマなどをきっかけに、近年日本でも人気上昇中の焼酎だ。おなじみの緑色の瓶は、「どこかで見覚えがあるな〜」と思った方もいるのではないだろうか。バッチリ正解できた方は相当な注意力の持ち主かもしれない。
3連休明けの火曜日!
— JINRO (@jinrojapan) September 17, 2024
9月も中旬なのにまだまだ暑いですが
張り切っていきましょう!!
チャミスルジュセヨ~#チャミスル#ブラックペアン pic.twitter.com/t1B3CQaFEX
そんなチャミスル、そのまま飲んだり炭酸水で割ったりするほかに、韓国ではビールで割るという楽しみ方がある。

日本ではあまり馴染みがないが、これがなかなか美味しい上に韓国の文化の本質まで見え隠れする、とても面白い代物なのだ。
韓国の飲酒文化「ソメク」
この「焼酎×ビール」という悪魔的な飲み物には、韓国語でソメク(소맥)という名前がついている。ソジュ(焼酎)とメクチュ(ビール)を混ぜるところが由来だ。
それはごはん料理の「ビビンバ」からもうかがえるように、韓国は「混ぜる」文化と切っても切り離せない関係にある。聞くところによれば、ソメクのようなお酒が飲めない人も、コーラとスプライトを混ぜた炭酸カクテル的なもので酒席に加わるようだ。

ソメクを作ってみる
そんな韓国の文化を体感すべく、グラスとお酒を用意してソメクを作ってみる。今回、ビールは「テラ」、焼酎はチャミスルと同じメーカーの「眞露(ジンロ)」というブランドを使う。韓国では知らない人はいない、アメリカにおけるコカ・コーラのような存在だ。

まずは焼酎の準備から。瓶をよく振ってから開けるのが韓国流だ。コルク瓶が一般的だった時代に、ビンとコルクの間に隙間を作って開けやすくしていた名残ともいわれるが、理由ははっきりしない。
ボトルを逆さにして……

勢いよく元に戻すと……

瓶の中できれいな渦ができる。ちょっとしたパフォーマンスだ。

焼酎を注いでいく。ここでは入れすぎないのがポイント。

次にビール。好みによるが、焼酎:ビールを1:4ほどにすると飲みやすい味に仕上がる。

最後に、焼酎とビールを混ぜ合わせる。マドラーなどを使ってもよいのだが、現地の人は「えいやっ」とスプーンをグラスに突き立てて仕上げる人が多い。ここは本場のしきたりに従っておこう。

ソメクの出来上がり! もう少し泡ができると見栄えがよかったのだが、まあ味には問題ないだろう。

▲動画でもご覧ください
口当たりよく、ほとんどスポーツドリンクのように飲めてしまうが、当然ながら度数は高いので要注意だ。気をつけないと、あっという間にフラフラになってしまう。
お酒から見る韓国
ではなぜこんなに面倒な、もとい手の込んだ飲み物をつくる習慣が根付いているのか?
チューハイ(蒸留酒の炭酸水割り)を思い浮かべればわかるように、日本で「お酒を割る」といえば、度数を弱めることがほとんどだろう。一方の韓国では、「お酒をお酒で割る」……つまり、お酒をさらに強くして飲む慣習がある。
「お酒の席で強めの一杯を酌み交わして、友情を確かめる」といった文化が、現代まで根強く残っているのだ。
さらに面白いのが、韓国の人々は飲みの席で一口ごとに必ず乾杯するしきたりがある点。これによって場に一体感が生まれ、ビジネスに繋がるケースも少なくない。

ソメクは単なる飲み物ではなく、人との関係性を深めるためのパフォーマンス、ないしコミュニケーションの重要な手段になっているのだ。
日本との違い
先日には、ソメクに関するちょっとしたニュースも飛び込んできた。
就任間もない李在明(イ・ジェミョン)新大統領が金曜の夜に焼肉屋を訪れ、退勤後のサラリーマンたちと交流した。そこで李在明氏が自ら市民に振る舞ったのも、まさにソメクだったのだ。
李在明氏にはソメクを作ることで、「一人の市民として、国民の皆さんとともに歩んでいきたい」と親近感をアピールする意図もあったのかもしれない。
日本に置き換えて考えるなら、首相が新橋に繰り出して居酒屋で一杯……といったところだろうか。なかなか想像しづらい絵面だ。妄想じみているが、高級な料亭で政財界の大物たちと静かに一杯やっているようなイメージもある。

焼肉にしろ焼酎にしろ、韓国と日本の人々は(表面的には)似たようなものを食べたり飲んだりしているようにも思える。しかし、その食べ方・飲み方には大きな違いがある。
文化のちょっとした違いを頭の片隅に置いておくと、韓国ドラマを見たり、韓国料理を味わったりするのが、特に日本人にはもっと面白く感じられるはずだ。
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