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みなさんは子どもの頃、家族の記念日にどんなプレゼントをしていましたか?

自由に使えるお金は少なくとも、感謝の気持ちを伝えたい――。そんな「子どもからのプレゼント」の定番といえば、そう……。

▲あなたも作ったことがあるはず

そんな皆さんも、今や立派な大人。それでもご両親の手には、きっと今なお思い出の肩たたき券が握られているはず。その姿を想像してみてください。

なぁ、あの時の肩たたき券、まだ使えるか……?

幼少期を懐かしく思い出しつつ、少し小さくなった父の肩を叩くあなた。涙なしには見られないこの感動の瞬間に、私は思うのです

大人の世界の「券」といえば、だいたいの場合は提示すればサービスを受けられるもの。たとえ15年前に作った「肩たたき券」でも、提示されれば肩をたたかなければならないのでしょうか? とはいえ、未成年が作った券が法的に有効なのでしょうか?

そんな疑問を晴らすべく、法律のプロ・弁護士の方に聞いてみました

水田竜馬さん
アスカ法律事務所(大阪市)に所属する弁護士。2人のお子さんがいる。こんな取材にも快く応じてくれる優しい人。
川副 啓太
今回の聞き手。京都大学文学部4年。肩たたき経験は6年(4歳~10歳)。母や学校の先生に施術してきた。

「肩たたき券」に法的拘束力はあるのか?

本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。こんな相談で申し訳ないのですが……。
いえいえ、取材の内容を拝見して、「肩たたき券」は法律における「契約」を考えるすごくよい題材だなぁと思ったんです。
そうなんですか!? では早速本題なんですが……

すばり、子どもの頃に作った肩たたき券に法的な拘束力はあるんでしょうか?
結論としては、子どもが作った肩たたき券には、法的な拘束力は生じないと考えられます。

おぉ、肩たたきしなくてもいいんですね! それはどうしてなんでしょうか?
主な理由としては、「準委任契約」と「未成年者と親権者による契約」という2つの点が挙げられます。

いきなり法律っぽい用語が出てきてなんだか難しくなってきました。
身近な例を紹介しつつ、説明していきますね。

「肩たたき券」の契約はいつでも破棄できる?

1つ目の理由である「準委任契約」とは、どのようなものなのでしょうか?
準委任契約とは、平たく言うと「人の行為」を約束する契約のことです。

身近な例では、マッサージ店や医師の医療行為などですね。法的行為を約束する「委任契約」と区別して、このように呼ばれます。
なるほど、肩たたき券は「肩をたたく」という人の行為を約束するものといえるんですね。

▲「肩をたたく」というサービスを提供する契約を結んだ結果なのだ

その通りです。このような契約では、商品を売買する契約と異なり、物を確実に得られるわけではありません。また、「必ず〇〇を治します」というような約束もできないので、双方の信頼関係が前提になければいけませんよね。
実体としての商品がない以上、契約を成り立たせているのはお互いへの信頼なんですね。

▲肩たたきは「準委任契約」

つまり裏を返せば、信頼関係がなくなった際に、いつでも契約を解除できなくてはいけません。そのため、準委任契約は、一方の意思でいつでも解除することができると定められているんです。
そうなんですか!? じゃあ、「肩たたき券」を提示して無理やり肩たたきをさせること自体がそもそも不可能だったんですね……。
そういうことになりますね。ただし、マッサージ店などの契約が一方的に破棄できては不都合なので、実際の契約書などでは当事者同士の任意規定によってキャンセル権が排除されている場合もよくあります。

親と子の間では契約を結べない?

では、もう1つの理由にあった「未成年と親権者による契約」とは、どのようなものなのでしょうか?
まず「親権」とは、未成年者の財産などを管理する権利であり義務であるとされており、子どもの利益を守るための制度です。そして通常、親は子の親権者となります。
親権者は「子どもの利益」を守る存在なんですね。
「肩たたき券」で問題となるのは、未成年者とその親権者の間で契約が結ばれていることです。これは、親と子の利益が相反する行為にあたります。

親権者は子どもの利益を守らないといけないのに、「肩たたき」は親に一方的に利益があるわけですね。
はい。そのため、親と子どもの利益が相反する行為を行う際には、家庭裁判所を通じて特別代理人を選任する必要があります。

もし特別代理人を立てることなく契約を結んだとしても、当然有効な契約とはなりません

ということは、もしも本気で有効な肩たたき券を作ろうと思ったら、特別代理人の立ち会いの下で契約しないといけないんですね。
そうですね。ただ、一般的に特別代理人が選任されるのは遺産相続などの場面がほとんどですから、そんな理由で特別代理人を呼んだら「は?」って顔をされるかもしれませんね。
特別代理人の方も、まさか肩たたき券のために呼ばれるとは思わないでしょうからね……。

あれ? 特別代理人を立てない肩たたきの契約が無効であれば、子どもが都合の良いお願いをするために、有効ではない肩たたき券を発行しまくれるのでは……?

一応できるかもしれないですけど……そんなこと考えている子どもがいたら怖いですよ。まぁでも、それだけ未成年者が法律で厚く保護されているということですね。

「肩たたき券」を有効にする方法もある

次ページ:昔作った「肩たたき券」を有効にする方法もある! 契約するときに大切なこととは……

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この記事を書いた人

川副 啓太

京都大学文学部4年の川副です。日々の一コマが少し楽しくなるようなクイズをお届けできればと思います。よろしくお願いします!

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