「過去問は残しておく」「配点シミュレーション」2人の受験戦略
――乾さんは塾での勉強がメインでしたが、ノブさんはいかがでしたか?
ノブ 僕は基本的に友達と図書館で勉強してました。部活とか学校行事もめちゃくちゃやりたいタイプだったというのもあって、塾にはほぼ通っていなくて。だからその分、図書館で21時まで集中して勉強して、帰ってからは一切勉強のことを考えずにできるだけ早く寝て、翌日の朝の勉強時間を確保することをルーティンにしてました。
▲図書館で21時まで集中して、家では切り替える
――自分でルール化してたんですね。
ノブ 自分でやるべきことを組み立てられるのが、塾行かない派のよさだったなと思っていて。もちろん塾で得られるテクニックみたいなものは僕は落としていると思うんですけど、その分やりたいことがやれていたのはよかったかなとは思っています。学校の授業とか課題がすごく質が高かったというのもありますけど。
――でも、図書館で友達と勉強していると遊んじゃうこともありませんでしたか?
ノブ むしろ、友達がめちゃくちゃ勉強を頑張ってたのが大きかった気がします。そこから刺激をもらっていたというか。ちなみに、受験が終わった後に友達の親に感謝されて。
乾 スマホを回収してた話?
ノブ そう(笑)。スマホがあるとどうしても遊んじゃうんで、図書館に行ったら「スマホ回収しまーす」って友達から集めて、コインロッカーに突っ込んで。僕が一番意思が強いってことで鍵を持ってました(笑)。
▲「スマホ回収しまーすって」
――しっかり者だ。でもそれくらい連帯感を持って勉強できるのはいいですね。
ノブ スマホ回収は極端な例ですけどね(笑)。
――勉強の内容面で意識していたことはありますか?
ノブ それでいうと、基礎を重視してたのかなぁ。入試の過去問に早めに手をつける人もいるとは思いますけど、僕は高3の夏とか秋くらいまではやらないでおこうって決めていて。基礎力がついてない状態で答えを知っちゃうのがもったいないなと思うんですよね。
乾 それはそう。
▲勉強は基礎固めに時間をかけていた
――過去問は早いうちからやるものだと思ってました。
ノブ 答えを知っちゃうと、答えありきで考えちゃうんで、自分の実力を計れなくなっちゃうんですよ。とにかく、他の教材でつけれる知識はつけたうえで過去問に臨みたかったんで、手をつけなかったですね。
――乾さんがめちゃくちゃうなずいてる。
乾 「難度を知るために」という目的なら、1年分だけ解いてみるべきだとは思うんだけど、「とりあえず何点取れるかやってみよう」みたいなのはあんまり意味がない気がするんだよね。それよりもまずは他の問題集をやって、過去問をやるのは目標とするレベルを確認するためにやるのがいいと思う。
▲「どのレベルの問題まで解けるようになっておく必要があるんだっけ、というときにやるのがいい」
乾 とは言いつつ、僕は逆に数学の過去問が単元ごとにまとまってる問題集をやっちゃってて、むしろ直前にやることなくなっちゃったんだよね。だから東大模試の過去問をやってた。
ノブ 東大模試の過去問はやるよな。俺も10年分を2.5周くらいしてやることなくなって、駿台・河合塾の過去問の他にも代ゼミ(代々木ゼミナール)までやった気がする。
――へぇ!
ノブ そしたら代ゼミの問題に近い問題が当日出て、「偉すぎ、俺!」って思った(笑)。
▲乾「代ゼミが偉いんだよ、それは(笑)」ノブ「代ゼミまでやった俺が偉いから。代ゼミはもちろん偉いけど(笑)」
ノブ あと受験前にさ、自分の取りたい点数の配分めちゃくちゃ考えない?
乾 あぁ〜考えたわ!
――点数の配分?
ノブ 試験科目の配点から点数の配分をシミュレーションするんですよ。自分の実力と伸びしろを比較して、どの教科に力を入れていくか決めるんです。たとえば国語で既に40点くらい取れるとしても、満点で80点なのでめちゃくちゃ極めたとしてもあと30点ちょいしか上がらない。でも数学で60点の実力だとしても、配点が120点あるから伸びしろが60点あるとか。そういうのを受験期を通してずっと考えて勉強してました。
▲伸びしろを考えて教科の勉強を考える
――なるほど。
乾 そうそう。当日がどうっていうよりも、結局当日に向けてどう勉強するかを決めるのが大事なんだよね。僕はマジで数学で点数を稼ごうとしてて、逆に現代文は最悪0点でもいいか、っていう戦略だったからあんまり勉強しなかったりとか。
――すごくメリハリがありますね。
乾 結局は合計点での勝負なので、どこで点を取ってもいいんですよね。僕は文系だけど数学が得意だったから、東大合格者の体験記みたいなのから「文系かつ数学が得意で受かった人」のものだけ読んで、戦略を考えてました。いろんなパターンの合格者を知ると、自信にもつながるし。
▲「この戦略でいけるなって思えるから」
――なるほど。
乾 それで「数学コケたら終わり」で挑んだんだけど、当日はまぁちょっとコケて。なぜか、国語がめちゃくちゃ高かったりとか(笑)。
ノブ 僕も当日の結果には全然反映されてない(笑)。
――それでも自分の特性を理解しつつ、指針を持ちながら勉強していくのが自信につながるんだなぁと感じます。
乾 そうですね、それはマジで大事です。
東大の試験のあと、真逆の行動をしていた2人
――ちなみに受験が終わった後、合格発表まで2人は何をしてましたか?
ノブ 僕は東大の試験が終わった瞬間から合格が出るまで、ずっと東北大の後期試験の勉強してました。
乾 えら!
――偉すぎる!
ノブ やっぱり親に「一度の受験で行ける大学に行きなさい」って言われてたのもあって、浪人のことは考えてなかったから。私立は受かってたけど、国公立は後期もあるし。
▲東大受験が終わってすぐ、次に切り替えていたノブ
乾 俺は逆だったわ。一応後期は一橋大に願書を出して赤本とかも買ってたんだけど。東大の試験終わったら「もうこれでダメだったらいいや、落ちてたら浪人しよう」っていう気持ちになって、予備校の入学予約してた。
ノブ あぁ〜、そういう人も多いよね。
乾 でも勉強に集中できなくない?
▲試験後は来年の東大受験のことを考えていた乾
ノブ 友達も後期に向けて勉強してたからできたっていうのもあるし、さすがに東大の合格発表の前日は手につかなかったけどね。化学式見ても全然頭に入ってこないし。
乾 そうだよね。いやぁでも、偉いわぁ。
――そう思うと、当初「あまのじゃく」で東大を目指していなかった乾さんが、そこまで東大合格にこだわるようになっていたんですね。
乾 いろいろあったけど結局目指してからは本気で勉強して、東大に行きたいっていう気持ちも強くなっていたので。なんか「一橋行きたいって言ってたのに最後になって東大行くって言って結局落ちたんかい」みたいなのが自分のなかでダサいなっていうのもあって。
ノブ そういう選択肢ももちろんあるけどね。
乾 もちろん。でも僕の場合は「それなら意地でも行きたい」っていう気持ちに変わってました。
――なんだか受験ドラマを見ているようです。