ライターのS.O.です。今日は山に関するクイズです。まずはこの3問に挑戦してみてください。
というわけで、世界で一番高い山といっても、定義の仕方によっていろいろと考えられるという話でした。
これだけだとただの雑学クイズですので、「高さ」について測地学的な説明を補足しておこうと思います。
標高って何?
標高とは何でしょうか。平たく言えば海面からの高さですが、正確には日本国内では「東京湾の平均海面」からの高さです。平均海面というのは潮の満ち引きを除いた平均的な海面の高さです。また、その平均海面も地形の影響などで場所によって異なるため東京湾の値を代表的な値として用いています。
この定義に基づいて永田町にある日本水準原点の標高を24.39メートルとして、全国のあらゆる点の標高が決定されます。日本水準原点の標高は、明治時代に導入された際には24.500メートルでしたが、1923年の大正関東地震後と2011年の東北地方太平洋沖地震後の2回変更され現在の値になりました。
地球以外の惑星だとどうなるの?
地球には海がありますから、全世界でだいたい同じ高さにある海面を標高の基準に取れば良いです。しかし、火星のように水がない惑星ではそうはいきません。
よく「火星の最高峰はどこでしょう?」というクイズがあります。答えは標高25000メートルのオリンポス山とされています。では、この標高はどうやって決めたのでしょうか?
25000メートルというのは火星の標高基準面からの高さです。標高基準面は、摂氏0℃での大気圧が6.105ヘクトパスカルとなる平均重力面のことです。地球の海面も一種の平均重力面ですから、普通の「標高」の考え方です。
一方でオリンポス山の山頂は周囲の平原より27000メートル高いです(22000メートルと書かれた文献もあります。定義によって異なるようです。)こっちは3問目のマウナケアのような考え方ですね。
※より正確な説明
さきに述べた通り、地球は回転のためつぶれた楕円体をしています。また、地球上の海の水は重力によって移動し等ポテンシャル面に移動します。等ポテンシャル面とは重力ポテンシャルがある値となる面のことで、重力の向きは必ずこの面と直交します。
等ポテンシャル面のうち、地球の海面と最も合うものをジオイドといいます。地球内部の構造の不均質により重力が不均質になるため、ジオイドは楕円体にはなりません。地球を最もよく近似する回転楕円体であるGRS80楕円体(日本で標準的に採用されている)とジオイドを比べると最大で100メートルほどの差があります。この差のことをジオイド高といいます。
GPSによる測量では、標高をジオイド高から楕円体高を引いたものとして計算しています。
そういうわけで今回は標高とは何ぞや? という話でした。