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3人目:シャカ夫

折り返しの3番手は、前回の「円卓会議」で鮮烈な印象を残した京大農学部出身・シャカ夫。今回も何やら果物を持参したようだが、一体どんなテーマが飛び出すのか?

披露!

では、始めようか。
おや、
相変わらずスライドの縦横比が4:3なのが気になるが、これがシャカ夫流ということかな。
▲2年前のスライド
……その話はもういいだろう!
さて、発表の前に。きみたちも疲れてきた頃だろうから……
おやつの時間と参ろう。
え、、!
シャインマスカットだ〜〜〜!
ふつくしい。
釈然としないが、ありがたくいただくとするか。
▲「……うまい」
……さて。
きみたち。今食べたシャインマスカット、口に合ったかな?
う〜ん、大好き。
間違いない。フルーツの中でも特においしい部類だ。
そうだろうとも。
▲「私も同感だ」
ぶどうの品種別栽培面積では、巨峰を抜いて国内1位になったばかり。
クセの強いドリアンなどより、よほど「果物の王様」と呼ぶに相応しい知名度と味だ。
それは言い過ぎだと思いますけどね。
ところがだ。
きみたち、何か違和感を覚えないか?
いや、普通においしかったですけどね。
巨峰を緑色に塗ったドッキリ……!?
だとすれば貴殿の味覚の方が違和感の元だろう。
きみたち、本当に何も感じなくなっているのだな。何も……。
ぶどうなら当然あるはずのものが、「ない」ではないか!
あっ……
そうだ。
種がないではないか
まあ、最近のぶどうって種なしが当たり前になってるというか。
少し前までは「種なし」がセールスポイントだったのに、状況が逆転しているな。
そのうち「種なし」とは言わなくなって、「種あり果物」って言葉の方が残りそう。
最近のきみたちときたらどうだ。種のある果物への不平不満ばかりではないか?
いや〜、食べにくい。
いちいち種をかき出すのが面倒ではあるな。
スイカの種を飲み込んだとき、へそから芽が出てこないか心配になる。
やれやれ……
そんな問題、種の重要性に比べれば些末なものだと証明してみせよう。
種のある植物こそ、守るべきなのだ!
なんだなんだ。
何も、種なし植物を否定しようというのではない。どちらも重要だと言いたいのだ。
まあまあ、わけを聞こうじゃないか。
なんか、「種」と言いつつ植物じゃないやつ混ざってますけどね。
▲変なのが混ざってる
よくぞ言ってくれた!
種なしの果物ばかりになったら、なぜこのお菓子に「柿の種」という名前がついているのかさえわからなくなってしまうだろう。
そもそも種というのは、植物の生殖機能の核といえる部分だ。
家で野菜を育てるときも、まず植えるのは種だな。
それなのに、「硬くておいしくない」という人間たちのエゴで捨てられている!!!
種のある果物の価値。その1…………
種の栄養価だ。
カボチャやスイカの種は、実よりも栄養価が高いと言われている。海外ではスナック菓子として食べられているくらいだ。
へ〜。ヒマワリの種とかも食べますよね。
大リーグの選手がベンチでつまんでいるのをよく見かけるな。
青梅やさくらんぼのように種に毒がある植物もあるから、何でも食べていいというわけではないがな。
進化の過程で毒を溜め込むくらい、種は植物にとって重要ってことですかね。
種の毒性が低い身近な果物でジュースをつくる程度なら、わざわざ種を除かない方が栄養価の高いジュースが出来上がることだろう。
それにだ。
種なしの果物を食べるとき、農家の方の負担を考えたことはあるかね?
育ててくれた方に感謝して食べているつもりですけどね。
なに、コレを知ったらこれまでの比ではない感謝の気持ちを抱くはずだ……。
たとえば種なしのぶどうを作るには、「ジベレリン処理」という薬剤につける処理が必要だ。
数ある処理方法の1つだが、開花前の実の部分をジベレリンにつけて、開花したらもう1回つける。これを一房一房やっていかないといけないのだ。
広い畑を全部回って、一房ずつ! ちゃぷちゃぷってやってるのか……。
私は山梨のぶどう農家さんの作業を見学したことがあるが、これは本当に大変だ。
あっという間に食べちゃうのが申し訳なくなりますね。
種ありのぶどうより味わう時間は短くなっているのに、手間は大きくなっているのか。
我々の「種がないと便利だな〜」という気持ちのしわ寄せが、全て生産の過程にいっているわけだ。これが当たり前だと思ってはいけない。
視点を変えると、種というのは文化的にも重要だ。
ぶどうの種を題材にした俳句・短歌がこれだけある。
高浜虚子、「葡萄の種吐き出してことを決しけり」。
渋いですねぇ。
現代の、木下龍也さんの歌まであるんだな。
でもこれ、全部種を吐き出す歌じゃないですか?
▲「気づいちゃったんですけど……」
要らないってことじゃ……。
どうしても種をなくしたいようだな、きみは!!
ひい……! すみません!
種がなければ「吐き出す」という動作は存在し得ないし、俳人・歌人がインスピレーションを得ることもなかったわけだ。
それはその通りだな。
頭ごなしに種あり果物を否定していては栄養も摂れないし、人間に備わっている情緒や身体的動作も欠けてしまう。
それから…………
遺伝的多様性も失われてしまうのだよ。
遺伝……?
ごく簡単に言えば、種ありと種なしの果物、どちらも存在していた方が生物として強くなるということだ。
市場が「種なし(特定品種)」一色になると、特定の病気が流行した際に全滅してしまうリスクが高まるだろう。
「絶滅の渦」というやつだな。
種なしのぶどうまで減っちゃうかもしれない、ってことですね。
種ありの果物を食べるメリット、おわかりいただけただろうか。
こうなると、種ありのぶどうも食べたくなってきますね。
……そのつもりで、今日は種ありのぶどうを用意する予定だったのだが……。
▲「それが……」
種ありのぶどうが、なかった。
なんてことだ。
たまたま売ってなかっただけじゃないですか?
無論その可能性もあるな。ただ、ぶどうひとつとっても以前とは状況が変わってきているのはきみたちにも伝わったことだろう。
▲思わず険しい表情に
あまり知られていないが、世界の食用作物の約4割が病気や雑草の繁殖で失われ、数百万人の人々が飢餓に苦しんでいるともいわれる。
そんなに……!
世界人口が増えゆく現代、世界中の研究機関や農家の方々が、将来の食料不足に備えてさまざまな対策に乗り出している。
食べ物がなくなっては、我々は生きていけないからな。
極端な話、ぶどうだってなくなってしまわないとも限らないのだ。
よって…………
今こそ、作物を守らねばならないっ…………!!!!!!
話が大きくなったぞ。
農家の方に育てていただく前に、作物自体が失われてしまっては台無しだからな。
今日はきみたちのために、具体的に作物を守るための方法を教えて進ぜよう。
まずは物理的な方法だ。
マルチング処理、見たことありますね。土に黒いビニールかけるやつ。
続いて化学的な方法だ。いわゆる化学農薬を思い浮かべれば話が早い。
▲雑草を枯らす「除草剤」をはじめ、化学農薬にもさまざまあります
シャカ夫の専門だな。前回の円卓会議で詳しく教えてもらったな。
さあ、物理・化学ときたら次はなんだね?
▲「『地学』という答えはナシだ」
生物……?
正解だ!
生物的防除。天敵などを利用する「生物農薬」の類だな。
※認可されているテントウムシは2種のみで、ナナホシテントウなどは生物農薬に該当しない
たとえばアブラムシが植物に害を与えている場合、その天敵であるテントウムシを撒いて食べさせることで防除できる。
ほかにも肉食性のダニを撒いたり、小さなハチにカメムシを捕食させたり。自然界の営みを利用して防除を行うのが、最近のトレンドとなっているのだ。
「農薬といえば」の化学農薬だけでなくて、二重・三重の対策がとられているんですね。
▲「そうした対策を総合的病害虫・作物管理 (IPM)”といったりする」
この世界の「種」と作物を守る。そして「農家の方々に感謝しよう」というのが、私が伝えたいことだ。
シャインマスカットのおいしさを守るためにも、作物保護のことをきちんと知らなきゃいけないですね……
きみ、さっきからマスカットをつまみすぎじゃないかね??
ひい!
まあ、作物保護の重要性に気づいてくれたなら構わないがな。
以 上 だ ッ !

参加者の感想

我々の食生活も、薄氷のバランスの上に保たれていることが身に沁みてわかったな。
毎日おいしいごはんが食べられているのも、作物が守られているおかげなんですね。
最近は果物もお高めだけど、たまには種のある果物を買って応援したいものです。

前回のリンゴに続き果物を持参してのプレゼンで聴衆の胃袋、もとい心をがっちり掴んだシャカ夫。小さな種から作物全般まで守らんとする志の高さに、称賛の声が送られた。

4人目:伊沢拓司

最後は私だな。今までの自分とはひと味違う、新視点の1ネタを持ってきたぞ。

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