QuizKnock

アプリで記事をもっと見やすく

インストールする

カテゴリ

ログイン
PR
日本甜菜製糖株式会社

こんにちは。人体のしくみが好きな村上です。

突然ですが、みなさんの体にはこれありますか?

▲私自慢の手首。きれいに出てきてくれます

親指と小指を合わせて、そのまま手のひらを内側に曲げてみてください。あなたの手首の真ん中あたりに「すじ」が浮かび上がってくるでしょうか?

この「すじ」は、長掌筋ちょうしょうきんとよばれる筋肉です。

実は、この長掌筋……ない人もいるのです!

同じように見えても、身体の構造には違いがあるなんて不思議ですよね。今回は、そんな面白い「長掌筋」についてご紹介します。

長掌筋は必要ない!?

長掌筋とは

長掌筋は、前腕(手首から肘までの部分)にある細長い筋肉のことです。外側から目視で確認できるのは、手首あたりの「すじ」だけの場合が多いですが、本当は肘あたりまで筋肉が存在します。また、長掌筋があっても、発達度合いによっては浮かび上がって来ない人もいます。

人類の中には、この長掌筋がない人もおり、日本人では約5%の人が生まれつき長掌筋が欠損しているといいます。(片側だけが欠損している人もいます。)

▲大抵の人はこれくらい細い

長掌筋の役割は、主に手首を曲げることです。しかし、手首を曲げるための筋肉は他にも存在し、なおかつ、そちらの筋肉の重要度が高いため、長掌筋は欠如していても大きな影響はないとされているのです。(ちょっとかわいそう……)

実際、長掌筋の有無によって握力や筋力に差がないことも明らかになっています。

では、なぜ必要ないとされている長掌筋が人類に存在しているのでしょうか?

進化と退化

それは、まだ人類が進化している途中だからであるといわれています。

大昔、人類の祖先が木の上で生活していた頃は、木の間を手でぶら下がって移動できるような、強靭きょうじんな腕の筋肉が必要でした。しかし、現在の人類は直立二足歩行をしているため、そこまで強い筋肉は必要ないですよね。

そうして必要がなくなった長掌筋は、徐々に存在感をなくし、退化しつつあると考えられています。

つまり、長掌筋がある人もない人もいるのは、進化の過程で生じた自然な個人差なのです。ヒトの身体って本当に多様で面白いですよね!

長掌筋が役立つときもある

長掌筋は欠如していても問題ない筋肉であると言いましたが、実は、役に立つときがあるのです!

みなさんは「トミー・ジョン手術(正式には側副靭帯再建術)」という言葉を聞いたことがありますか?

この手術は、肘の内側にある靭帯が傷ついてしまったときに、長掌筋などの正常な腱の一部を移植して再建する方法です。

元から自分の身体にあるものを移植するため、拒絶反応のリスクが少なく、自然な状態に回復しやすいというメリットがあります。

現代において、長掌筋はほぼ使われていない筋肉だからこそ、切り取って別の場所に移すことができるのです!

▲2018年と2023年の2度手術を受けた大谷選手

近年では、MLBドジャース(手術時はエンゼルス)の大谷翔平選手がこの手術を受けたことで話題になりました。

まとめ&質問

今回は、人類の進化に関わる長掌筋についてご紹介しました。長掌筋は、あまり目立つ筋肉ではありませんし、退化しつつもあります。

ですが、人間が今もなお進化し続けていることが実感でき、手術でも大活躍する、実はとっても面白い筋肉なのです。

最後に、みなさんのことも教えてください!

【あわせて読みたい】

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

関連記事

この記事を書いた人

村上アリサ

関西で看護学を学んでいます。人体のしくみが好き。医療に関するテーマで、親しみやすく、楽しく学べるような記事を書いていきたいです!

村上アリサの記事一覧へ