こんにちは! 一年中ウナギを食べたい、ライターののりです。
一年を通して食卓に上るサケ。ちょっと背伸びした高級品のウナギ。
この2種類の魚には共通点があります。それは、どちらも“旅をする”魚だということ。
似た者同士で人間らしさもある! サケ・ウナギの一生に詳しくなっちゃいましょう!
“旅をする”って……??
「回遊」という言葉は皆さんも聞いたことがあるかもしれません。水生動物が、生息に適した環境や餌などを求めて活動範囲を移動することを「回遊」といいます。
そんな回遊の中でも、海と川をまたいで移動することを「通し回遊」といいます。今回のメインテーマであるサケやウナギが、この「通し回遊」をする魚の仲間というわけです。通し回遊する魚は、さらに「どの時期に移動するか」によって3種類に分けられます。
遡河回遊魚
川で生まれ海で成長し、産卵のために川に帰る(河を遡る)魚を「遡河回遊魚」といいます。サケの仲間がその代表例です。

降河回遊魚
遡河回遊魚とは逆に、海で生まれ川で成長し、産卵のために海に帰る(河を降る)魚を降河回遊魚と呼びます。ウナギなどに代表されます。

両側回遊魚
産卵とは無関係に海と川の両方を成長の場とする魚を両側回遊魚といいます。アユやヨシノボリなど川に産卵場があるものを淡水性両側回遊魚、ボラやスズキなど海に産卵場があるものを海水性両側回遊魚といいます。

海で成長するサケ、川で成長するウナギ
川で生まれ海で成長するサケと、海で生まれ川で成長するウナギ。このような対照的な生態の理由は一体何でしょう? サケがわざわざ降って行く先の海、そんなにいい場所ならウナギも川になんて行かずにずっと海にいたらいいのでは?
実は、北半球の高緯度には遡河回遊魚、低緯度には降河回遊魚が多いのです。その理由は、北半球の高緯度の海は植物プランクトンによる光合成が活発で餌となる生物が豊富にあり、逆に低緯度の海では餌となる生物が少ないから、というのが有力な仮説です。つまり、高緯度の海は成長に有利な海、低緯度の海は成長に不利な海ということです。
北の淡水魚から進化し、成長するのに有利な冷たい海に出ていくようになったのが現在のサケの仲間といわれています。一方で現在のウナギの仲間は熱帯の深海魚から進化したとされており、餌の少ない海から川へ移動するようになったというわけですね。

私たちの一生と似ているかも
成長するために生まれた場所を離れ、成長して故郷へ帰ってくる。なんだか、地元を離れて遠い地域の大学に通う私と似ている気がします。より成長するために過酷な旅をするのは人間も魚も一緒なんですね。
実は、サケの仲間の中には海に出ず、生まれた川で成長する「地元進学」タイプもいます。稚魚の時点で周りよりも体が大きい個体は「地元進学」を選ぶことが多いようで、危険な旅に出ずとも十分に成長できるのでしょう。回遊型はハイリスク・ハイリターン、逆に残留型はローリスク・ローリターンの生き方ということです。

同様に、一生を海で過ごす「海ウナギ」の存在も明らかになっています。人の人生がさまざまなように、魚の一生にも選択があるようです。
魚は生き方を選択する、と説明しましたが、環境的に残留せざるを得ないというグループも存在します。例えば北海道の阿寒湖などに生息するヒメマスは、通し回遊をするベニザケと同種であるものの、湖で成長し、湖に流入する河川で産卵します。このように、もともとは川と海の両方で生活していた魚などが海に出ずに世代を重ねるようになることを「陸封」といいます。

サケやウナギを見かけたら、生まれた場所を離れて成長のための旅に出た勇気を称えてあげてください。


























