激闘!バックギャモン世界大会
世界一への対策
まずはたくさん練習試合をしました。大会会場では、試合で使っていないバックギャモンボードが自由に使えるので、毎日10時間くらい指していました。父以外にも、出場している他の日本人選手の方々や、同じジュニアに出る選手にも相手になってもらいました。
その他に、僕がジュニア以外に出場していたダブルス(2人ペアで相談しながら指す)やチーム戦(3人1チームで行う団体戦)の試合も並行して行われていたので、そこでの実戦もとても勉強になったと思います。
あと、試合数をこなすことも大事ですけど、復習と分析は大事なので、会場だけでなく宿に帰ってからも欠かさずやっていました。少しでも駒の位置が違うと指すべき手がまったく変わるので、細かなところにも気を配らなくてはいけません。基本的な定跡を覚えた後、応用に進んでいく感じでした。
ジュニアの前にダブルス戦があったんです。それがとにかく強い大人と当たるので緊張の連続で、逆にジュニアの初戦は初戦という感じがしませんでした。ダブルスで良い勝ち方ができたこともあり、いい気分で臨めたんだと思います。
ジュニアの初戦はイスラエルの少年とでした。お父さんがとても強いプレイヤーだそうで、彼も強かったと思いますが、手堅く勝つことができました。でも次の相手がさらに強敵で……。イギリスのDavid(Bloomfield)くんで、なんと大会3連覇中。7点先取マッチだったんですが、6対6までもつれ込みまして……普通はだいたい1時間もあれば試合が終わるんですが、この試合は3時間近くかかりました。ここをなんとか制したのが大きかったです。終わったらクタクタでしたが、それは相手も同じだったみたいです。
決勝戦は、初戦で戦ったイスラエルの少年のお兄さんが相手で。9点先取マッチという長い試合でしたが、Davidくんとの長期戦を制した経験が生きたのか、大勝することができました。
クリスタルのトロフィーは、台座がバックギャモンで使うキューブの形で、その上に地球儀のフィギュアを乗せるんですが、それがクルクルと回るようになっていて……本当にキレイなトロフィーです。
勝利の分析とこだわり
むしろホッとしました。このために部活や塾をたくさん休んできていたので、負けたら仲間や先生に何を言われるか……勝ってよかった〜という気持ちが一番でした。
決勝戦も、5-1から4点とって優勝したので点数の余裕はありましたけれど、バックギャモンは最後まで何があるかわからないので、終了まで緊張感を残しながら戦えたのもよかったです。だからこそ勝って本当にホッと、という感じですね。気持ちが切れると、サイコロの出目も悪くなりますし。
あ、そう、それだ! 聞きたかったんだこれ。
大会中に着ていたあの「お肉」と書いてあるTシャツは、どういうものなんですか?
実は最初、「お魚」というTシャツを持っていたんです。アニメに登場するTシャツで、それを着ていたら「お肉とかお野菜とかないの?」と聞かれたんで、自作してみようということでユニクロのTシャツを作るサイトで作って、モナコにも持って行きました。
決勝戦は準決勝の次の日だったんですが、準決勝の日にお気に入りの「お米」Tシャツを着ていったせいで、決勝は「お肉」に……僕、お肉あんまり食べないんですよ……。
(ちなみに、お肉Tシャツを伊沢もいただきました。動画で着ています。)
チャンピオンの日常
バックギャモンの知り合いの多くが今回モナコにいたんですが、一緒にダブルスを組んでくださった下平(憲治)さん、僕の師匠の横田(一稀)さん以外にも、たくさんの方が喜んでくださいました。モナコに来ていない皆さんも、父にメールなどでお祝いのメッセージをくださいました。
師匠の横田さんは20代前半のお兄さんなんですが、準決勝の、3連覇していたDavidくんと戦う前に「3連覇とか関係ないで!」と強めのハッパをかけてくれて。気持ちがほぐれました。