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めっきり冷え込んできましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。伊沢です。

世界陸上、バレーW杯、ラグビーW杯などなど、各種スポーツの世界大会が目白押しだった10月。日本チームの活躍も連日ニュースを賑わせましたね。それに先駆けること8月、一人の中学2年生が、同じく世界の舞台に挑み、そして頂点に立ちました。

彼の名は森内貴之くん。

彼は8月にモナコ・モンテカルロで開かれた「世界バックギャモン選手権ジュニアの部」にて優勝を成し遂げたのです。

quizknock_master_eye 表彰式での貴之くん(写真中央)

優勝以前から貴之くんと交友があった私・伊沢、「これを機にぜひともお話を伺いたい!」と思い、取材に行って参りました!

貴之くんからも、優勝後改めて「ぜひバックギャモンを取り上げてください!」と強いメッセージをいただいたので、襟を正して(Tシャツでしたが)、根掘り葉掘り聞いてみましたよ!

  • 森内貴之もりうちたかゆき:中学2年生。2019年、世界バックギャモン選手権ジュニアの部で優勝。父親は、将棋棋士の森内俊之もりうちとしゆき九段。
  • (聞き手)伊沢拓司いざわたくし:本メディア編集長。高校生クイズ2連覇などの経歴を持つクイズ王。

バックギャモンとその魅力

バックギャモンのルールとコツ

本日はよろしくおねがいします!

取材にあたり、実際にバックギャモンをやってみたんですが、意外とルールを覚えるのはかんたんですね!

そうなんです。アプリでやりましたか?
はい、カンタンなやつですが。練習したら見えてくる世界が変わりそうですね。
はい。僕が使っているXG(XG Mobile Backgammon)というアプリはレーティングや勝利確率なども計算できるので、かなり楽しめます。これ、プロも使ってるアプリなんですよ。

すごい、すぐインストールできるのに高機能ですね……。

さて、まずはバックギャモンについてなんですが、失礼ながら日本での知名度はあまりないと思うので、ぜひまずはどういう競技かを教えて下さい!

サイコロを2つ使い、15個のコマをゴールに向かって進めていくゲームです。

将棋みたいに100%実力ではなく、運の要素も絡んできていて、実力があっても負けることがあるし、逆に実力がなくても勝つことができて、親しみやすいゲーム、初心者でも気軽にできるゲームだと思います。

運だけでも、実力だけでも勝てない。この目だけはやめてほしいと思ったらその目が出ちゃったり……という難しさと、それゆえの楽しさがありますね。

難しい質問かもしれませんが、ゲームとしては、何に似てると思いますか?
すごろくは運だし、将棋は実力。そんな中で、どちらもあるという面白さは麻雀にちょっと似てるかもです。
ちなみにQuizKnockだと誰が向いてそうですか? 麻雀好きは多いんですけど。

須貝さんですかね。最善手を追求するというのが向いていそうです。あとは河村さんとか。じっくり考え込むタイプの人は向いていると思います。

バックギャモンとの出会い

ルールを知ったのは小2だったんですが、今回の大会の対策を本格的に始めたのは本当に直前からでした。今回は父が出るというので、じゃあ僕も久々に出場しようかと。

せっかく出るなら優勝したいよね、ということで練習を始めたらハマっちゃって……。行きの飛行機でも父やコンピュータを相手に寝ずにずーっとやっていました。これまでは楽しむ競技としてやってきた感じだったんですが、今回はガチでしたね。

逆に言えば、楽しむこともガチでやることもできるわけですね。

バックギャモンは100%負ける、ということはないので、勝つ可能性がいつだってある。これがとっつきやすいところです。

自分より歴が浅い人と指すこともあるんですが、やっているうちにその人が強くなってきて、負けちゃったりして……。そういうこともあるのでやっぱり3連勝、4連勝っていうのは難しくて、プロでも十何連勝することはほとんどない……というゲームですね。

バックギャモンはどこでできるの?

小学2年生での出会いとなると、かなり早い時期だと思うんですが、何がきっかけだったんですか?
「シモキタ将棋名人戦」という大会に小2の時に行ったのがきっかけでした。父が将棋のゲストとして出ていたので遊びに行ったんですが、将棋とは別の会場でバックギャモンをやっていたんです。面白そうだから見ていたら、終わった後に対局していた人がルールを教えてくれました。それで、家に帰って父とやり始めたのが最初です。
なんと、きっかけは将棋の大会だったんですね。
その後、小3、小4の時に父についていったモナコの世界大会でジュニア大会に参加しました。小4の時に初めて1勝できたんですが、その後はいったん離れてしまって……そんなにガッツリ競技にのめり込んだわけではありませんでした。遊び、という感じでしたね。
その当時、バックギャモンはどこで遊んでいたんですか?

赤坂や四谷でやっている例会に父と一緒に時々参加していました。来たい人が好きなときに来てプレーする感じの会です。

このカフェ(代官山にある「カフェ・ミケランジェロ」)でも、毎週火曜日の夜にバックギャモンの会が開かれているんですよ。

人数は結構集まるんですか?
10人前後でしょうか? でも、子供は全くと言っていいほどいないです。日本ではプレイヤーが少ないですけど、トルコでは国民のうちほとんどの人がルールを知ってるんです。だからこそ、もっともっと広めていきたいですね。

quizknock_master_eye 対戦風景はこんな感じ

将棋棋士であるお父さんの影響

お父さんの影響、というお話がありましたが、お父様・森内俊之さんは永世名人資格保持者でもある有名将棋棋士ですし、世界選手権4位の経験もあるバックギャモンプレイヤーでもありますね。
そうです。バックギャモンも当然強いんですが、最近は勝てるようになってきましたよ!
おお、いよいよすごい! 貴之くんなりに思う、将棋とバックギャモンの共通点とかってありますか?
自分がこうしたら相手はこう来るかもしれない、この状況になったら次はこれを気にしなきゃいけない……みたいな、たくさんのパターンに対応する力、先のことを考える力は共通していると思います。
定跡と発想、どちらで進めるものですか?

両方です。初手なんかはサイコロの出目によって15パターンあるので、そのあたりは暗記のポイントです。

逆に、原則をもとに発想を広げることもあります。僕は、「当てる、作る、逃げる」という、指し手の優先度を表した表現を基準としてよく使っています。これはバックギャモンを始めてすぐの頃にプロプレイヤーの中村慶行なかむらよしゆき名人から教わった言葉なんですけど、当てるというのは相手のコマをふりだしに戻すこと、作るというのは同じマスにコマを複数で固めること、逃げるというのは最後尾のコマを相手に当てられにくい位置まで進めることです。

続いて……世界との激闘(1/3)。
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この記事を書いた人

伊沢拓司

QuizKnockCEO、発起人/東大経済学部卒、大学院中退。「クイズで知った面白い事」「クイズで出会った面白い人」をもっと広げたい! と思いスタートしました。高校生クイズ2連覇という肩書で、有難いことにテレビ等への出演機会を頂いてます。記事は「丁寧でカルトだが親しめる」が目標です。

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