「漢字は遊び道具」 文系を選ばなかったワケ
逆に「物理」と「漢字」でここが違う、という点はいかがでしょう?
漢字自体はとても身近なので「漢字の勉強」で完結せず、得意技としてコミュニケーションや日常生活でも活かしやすいというのはありますね。
ただ、漢字ってある程度まで勉強すれば日常生活で困らないんですね。数学や物理と違って、勉強して突き詰めたからといって広く学問として実生活に応用するというのも難しくて。
なるほど。山本さん自身は高校時代に進路を決めるとなったときに、人文系を専攻するという選択肢はありましたか?
漢字の研究をして古代の生活を紐解いたりする方もいらっしゃるのですが、研究をしたいという気持ちはあまりなかったですね。今も理系の道に進んでいてよかったなと思ってます。
意外でした。それほど漢字の知識と熱量があれば、大学で漢字を研究するということもあり得たと思ってしまいますが。
人文系に進んでいてもなんとかなってたかもしれませんが、いますぐに人類の生活に役立たせることができるかという点で、理工学への興味がまさっていました。僕の中で、漢字は遊び道具という感覚だったので。
「遊び道具」ですか?
結構ゲームに近い感覚で勉強していました。RPGでレベルを上げていくように、漢字を勉強して経験値を積んでいくのが楽しかったですね。
最近では、クイズもそうなんですが「覚えて答える」というのは遊びとしてめちゃくちゃおもしろいと考えています。覚えていく中で常に発見がある、という楽しさがあるのも漢字の勉強の魅力だなと思います。
ただ、学生の頃に後悔していることもあって……。中学くらいまでの勉強は覚えたことがそのまま問われるのが一般的だと思うのですが、それが高校・大学と徐々に通用しなくなるんですよね。僕はそれに気づくのが遅かった。それからは自分から学んで、考えて、応用していくという勉強を大切にしています。
勉強については「一問一答でいい」「覚えさえすればテストで100点が取れる」という考えが甘いことにもっと早く気づくべきだったなぁって。痛い目見るよ、って過去の自分に教えてあげたい(笑)。
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「中学2年生で漢検準1級を取得」という輝かしい経歴をもつ山本さん。その一方で紆余曲折もうかがえました。
ジャンルを問わず、常に新しい発見・新しい学びを求め続けてきた山本さんの半生。そこには「漢字」から「物理」へ、そして森羅万象を問う「クイズ」という世界で生きる彼の飽くなき探究心の片鱗が垣間見えました。
今回は山本さんのバックグラウンドについて切り込んできました。インタビューの後編ではQuizKnockで魅せる「漢字王」像の裏側とこれからに迫っていきます。
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