こんにちは、薬学大学院生のまちょです。
みなさんはスーパーやコンビニで「

なんとなく、「カラダにいいもの」と思っている人も少なくないのではないかと思いますが、いったい、このGABAとは何なのでしょう?
実は、GABAは「神経伝達物質」と呼ばれる、我々動物が生きるのに必須な化学物質のひとつなんです。
今回はGABAをはじめとした「神経伝達物質」について、わかりやすく解説していきます!
神経伝達物質とは?
そもそも神経って何?
神経伝達物質を説明する前に……。みなさんは「神経」という言葉を一度は聞いたことはあるかと思いますが、神経が何なのか、ちゃんと説明できるでしょうか。
神経は正確に言うと「神経細胞(ニューロン)」という細胞の種類であり、ひとことで言うならば、「情報を伝達することに特化した細胞」です。

私たちの脳には約1000億個の神経細胞があり、情報を伝達することでそれらが互いにコミュニケーションをとりあっています。私たちが物ごとを考えたり、記憶したりできるのは、脳内の神経細胞たちがコミュニケーションをとっているからなのです。
神経伝達物質とは、いわば「ボール」
では、神経細胞はどのようにして情報を伝達しているのでしょうか。
実は、神経細胞と神経細胞は直接つながっているわけではありません。シナプスと呼ばれる場所を形成することで、情報をやりとりしています。
そこでシナプスからシナプスへ、神経伝達物質を放出することで情報を伝達しているのです。その様子はまさに神経細胞による「キャッチボール」であり、神経伝達物質はその「ボール」なのです。
また、ボールがもっている情報は基本的には、キャッチする神経細胞の活動性を高める(興奮)か、あるいは落ち着かせる(抑制)かどちらかです。興奮するとさらにその次の神経細胞へ情報が伝達されますし、抑制すると情報の伝達はそこで終わります。

GABAとは抑制性の神経伝達物質
GABAの正式名称は「γ(ガンマ)-アミノ酪酸(Gamma-Amino Butyric Acid)といい、神経伝達物質の中でも抑制の役割をもちます。つまり、ボールをキャッチする神経細胞に「少し落ち着いてな!」という情報を伝達するわけなんですね。
よくGABA配合のチョコレート商品などに「リラックス効果」と書かれているのは、GABAがさまざまな神経細胞の活動を抑制させた結果、リラックス効果を生み出す可能性があることを言っているわけです。
また、GABAが関わる薬といえば睡眠薬が有名です。睡眠薬の多くはこのGABAをキャッチするグローブにあたる「受容体」に作用することで、神経細胞の活動を抑制し、催眠作用を発揮しています。
さまざまな神経伝達物質
ここまではGABAについて説明してきましたが、実はみなさんも聞いたことがあるかもしれないアレやコレも神経伝達物質のことだったりするんです。
グルタミン酸
グルタミン酸といえば昆布などに含まれる「うまみ成分」として有名ですが、実は最も主要な興奮性の神経伝達物質でもあります。うまみ成分として働く場合は、

ドーパミン
ドーパミンは「気持ちが良い」「心地よい」と感じると放出されるといわれています。しかし一方で、過剰なドーパミン放出は身体に悪影響になってしまいます。例えば、ギャンブルや酒などによる依存症は、まさにドーパミンの過剰放出が原因と考えられています。
セロトニン
セロトニンは幸福ホルモンと呼ばれる神経伝達物質で、うつ病ではセロトニンの放出量が減少することが知られています。
この時、脳内ではセロトニンのキャッチボールが不足している状態ですので、ボールを増やす、つまりセロトニン量を増やすことが多くの抗うつ薬のメカニズムになっています。
「神経伝達物質」と聞くと小難しい印象を抱くかもしれませんが、ただの「ボール」と思えば難しい話ではないと思います!では最後に、復習クイズです!
さいごに
本記事はチョコレート食品などにおけるGABAの効能を保証するものではありません。
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