▲東京スカイツリー(筆者撮影)
今日も美しい。今日もそこに立っていてくれてありがとう。
こんにちは、ライターの鞠乃です。大学で建築を専攻している私が最も愛している建築物、それは東京スカイツリーです。大好きすぎて、ここ2年ほどで計14回のぼり、普段からその姿が見えるたびに写真を撮っては愛でています。
東京のランドマークといえば、双璧をなすのが東京タワーですが、東京スカイツリーは東京タワーとは大きく異なる点がひとつあります。
それは、東京スカイツリーは「3本足」であるということです。東京タワーは地面から4本の足を伸ばしていますが、東京スカイツリーはこれより2倍近く高さがあるにもかかわらず、支える足が1本少ないのです。
▲4本足の東京タワーと、3本足の東京スカイツリー
それは一体なぜなのでしょうか。スカイツリーが3本足になった理由と、3本足になったことで起こった不思議な現象など、現地ルポを交えてお届けします!
なぜ東京スカイツリーは3本足になったのか?
東京スカイツリーが3本足になった理由は、ざっくりいうと「その方が踏ん張れるから」です。これには、スカイツリーが建てられることとなった土地の条件が深く関わっています。
限られた敷地に600m超の建物を建てよ!
東京スカイツリーは、東京を代表する観光スポットとして知られていますが、地上デジタル放送の電波を送信する「電波塔」という重要な役割を持っています。もともとこの役割は東京タワーが担っていましたが、時代とともに超高層ビルが増加し、電波を届けづらくなっていました。
そこで、東京タワーに代わる新たな電波塔として建設されたのが、東京スカイツリーです。その高さは、建設の話が出た当初から600m以上の高さが必要だといわれていました。
▲東京スカイツリータウンの敷地
一方、東京スカイツリーは線路や川などで区切られた細長い土地に建設することとなりました。この限られた敷地の中で、いかにして構造的に強いタワーを建てることができるか――。
設計のポイントとなったのは、「足元の形」でした。
底面の形を四角形ではなく「三角形」に
高い建物を建設するときは、底面の一辺の長さを長くしたほうが踏ん張りが利き、構造的に強いとされています。
そこで敷地の面積から検討したところ、構造物を4点で支える形、つまり底面を正方形にすると一辺を約60mしかとることができません。しかし、正三角形にすれば約68mとれるということがわかりました。
さらに、3本という足の本数は建物が構造として安定する最小の数でもあります。
これらの理由から、東京スカイツリーは東京タワーの正方形とは異なり、足元を正三角形にすることになりました。つまり、3本足になったのです。
ちなみに、東京スカイツリーの底面の一辺は、東京タワーの一辺の長さよりも約27m短いのですが、高さは2倍ほどあります。つまり、東京スカイツリーはものすごく細長いのです。
▲東京スカイツリーはとにかく細い!
スカイツリーが傾いて見える!?
こうした背景から3本足になった東京スカイツリーですが、これによって「不思議な現象」も起こっています。なんと、スカイツリーが傾いて見えるのです。
どれくらい傾いて見えるのでしょうか。次のページでは、この現象を存分に楽しめるスポットをご紹介します!