とむの勉強観「学ぼうって思ったことはあんまりなくて」
――ここまで話を聞いていて、とむさんはすごく楽しそうに話されるなと感じています。さっきのインタビューでも「語学はエンターテイメント」と話してましたが、とむさん自身、「学ぶこと」をどうとらえていますか?
とむ 実は私、「学ぼう」って思ったことはあんまりなくて。好きなことをやってたら結果的に学んでいた、みたいな経験がほとんどなんですよね。もちろん、「賢くなりたい」とか「テストで100点取りたい」っていう気持ちは私も多少はあるんですけど、それほど興味はなくて。
▲「学ぼうと思ったことがあまりない」と話すとむ
とむ どっちかっていうと、好きなことをやっていて、過去の自分よりできるようになってたら「あ、これが学んだってことなんだな」みたいな認識なんですよ。それが知識だったり、技術の習得だったり、なんでもいいんですけど、学ぶことにフォーカスして考えてるんじゃなくて、他のことに対して差異を取ったときに結果として出てくるものが「学び」なんじゃないかな。
――結果として出てくるもの?
とむ そうです。なんか微分みたいな感じ。自分の能力を微分したときに出てくるものが「学び」みたいな。
――なるほど、やっぱりとむさんの考え方って本当に前向きですよね。
とむ そうですか?
――好きなものをやっていても、ずっとポジティブな気持ちではいられないこともありますよね。とむさんには、そういうときはありますか?
とむ ありますね。作曲をしてても、本当にうまい人の曲を聴いて「あぁ、これは書けない」ってなるときはもちろんあるんですけど。でも次の日になったら、また曲を書こうと思ってるので、あんまり気にしてないです(笑)。
なんか、もともとそんなに自分に期待してなくて。
▲「自分にそんなに期待してないんですよね」
――自分に期待してない?
とむ できないことに悩むのって、自分が短期間でできることを過大評価しちゃってると思うんですよね。
「自分は1カ月でこれができるようになってるだろう」って期待しても、やってみると色々なことがわかるじゃないですか。それで「あ、できなかった」ってへこんじゃって、傷ついちゃう。だから、そういうことを考えるのをやめて、今はもう何も考えずに好きなことをやろうと(笑)。
▲自分に期待すると落ち込むこともある。好きなものは楽しめるように
とむ たとえば、以前私が教育関連のプロジェクトをやるかどうかすごく迷ったことがあるんですよ。
当初はやめようとしたんですけど、次の日の朝起きたときに、頭の中にいる過去の自分からものすごくブーイングが飛んできて。「どうしちゃったんだよ。おい!」みたいな(笑)。
▲「過去の自分が『どうしちゃったんだよ!』って」
――(笑)。
とむ それこそアメリカ映画の吹き替えみたいなテンションで、「お前、ノリ悪いな〜」みたいな。それで「あ〜、確かに昨日の私は違う人間だった気がする」って考え直して、やることにしたんですよ。少しの人にだけでも役に立てばいいなと思って。
それで始めてみたら、結果的に思ってたより価値があるものになったんですよね。自分が最初から何も期待してなかったからこそ、それを超えるいいことがあったんで、「期待しすぎずやってみる」っていう考え方をしたほうが気が楽でいいと思います。
――そういう気持ちでいるからこそ、多分好きなものを好きと言い続けられるんだなと。
とむ ぜひ、中高生の方とか、壁にぶつかっている人がいたら参考にしてもらえたらと。
とむのモットー「本気でやってみるといいことがある」
――好きなものと学び、いろんな話を聞いてきましたが、この記事を読んでいる方、特に中高生の読者の方へもしもメッセージがあればお願いします。
とむ いろいろ伝えたいことはあるんですけど、たぶん全部要約すると「好きなことを本気でやったらいい」と思ってて。もちろん、周りが本気で止めてるときに続けろっていうわけではなくて、やろうかやらないか迷ってるときに「本気でやってみる」ってことを思い出してほしくて。
▲「好きなことを本気でやったらいい」
とむ 崇高な目標とかじゃなくて全然いいんです。だけど、好きなことをやり続けてるといいことがあると思うんです。私が「SCHOOL OF LOCK!」に出られたっていうのがまさにそれで。それは好きなことが苦痛を感じずに、努力できることだからだと思うんですよね。
――確かにそうですね。
とむ 好きじゃないことを努力するって結構辛いことだと思うんですけど、私はあんまり努力してきたって思ったことがなくて。でも他の人には「努力してるね」って言われることがたまにあるんですよね。だから好きなことって無自覚に努力できるものだと思っていて、得意なことにしやすいんですよ。
▲好きなものは得意なものにしやすい
とむ あと、好きなことは多い方が良いんです。現実には努力だけではどうにもならないことの方が多いと思うんですけど、好きなことが多いと、幸運が起こる確率が最大化されると思うんですよ。いっぱいやると、どれかでいいことがあるかなみたいな。
――好きなものを増やすことが、幸運を増やすことにもつながるんですね。
とむ 「好きなことをやる」っていうのは単純に幸せなことだと思うんですよね。だからきっとやっていればいいことあるなっていう感じで生きてます。
▲「好きなことをするって幸せなこと」
――とてもいいお話をたくさん聞けた気がします。ありがとうございました。
とむ こちらこそありがとうございました。
前編・後編を通して、「笑顔じゃない写真」を探すほうが難しいくらい、終始にこやかな表情で話すとむ。発されるのはポジティブな言葉ばかりで、聞いている側にも「楽しい」が伝搬するようなインタビューでした。
好きなものであっても、続けていくには困難が伴うものです。それでもとむが語学や音楽などを極められるのは、きっと「好きであること」をまっすぐに認められるから。目標を追うことに疲れたとき、自分の意思じゃないものに動かされそうになったとき、とむの言葉はきっと気付きを与えてくれるのではないでしょうか。
▲今後のとむの活躍もお楽しみに!
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