ラオ語で「こんにちは」の意味でした。Jenniferです!
昨年(2023年)の夏休みに、1カ月半ほど東南アジア4カ国を周遊してきました。その中で特に印象的だったのが、大学院の先生の研究に同行する形で訪れたラオスの首都・ヴィエンチャン。
どこか懐かしさを感じる街で、とても素敵でした。
実はラオス渡航前、ちょっと変わったことがありました。先生から、
というアドバイスをもらったのです。
そう、ラオスは一部地域で自国の通貨(ラオスキープ)に加えて、アメリカドルとタイバーツという3つの通貨が流通している不思議な国なのです。
実際、現地でも観光客はアメリカドルで支払いをしている方が多かったような印象です。一体どうしてこんなことになっているんだ……?
今回は私のラオスでの実体験を交えて、その真相に迫っていきたいと思います。
目次
結論:ほかの通貨の方が信頼できるから
ラオスで3種類もの通貨が使われるようになったのには様々な理由がありますが、主には「ラオスキープの価値が暴落し、信用度が下がっているから」だと考えられます。
キープ通貨の価値が安定しない現状から、比較的安定しているアメリカドルや、隣国タイのバーツ(紙幣のみ)も使えるようなシステムになっているのです。
では、キープはなぜ信頼を失うことになったのでしょうか?
ラオスの通貨「キープ」とは
そもそもキープ(kip)とは?
ラオス国内で使われている通貨で、日本円に換算すると1kip=約0.0071円になります(2024年3月15日時点)。
だいたいの商品は10,000kip台なので、日本円だと70円くらいで取引されています。首都・ヴィエンチャン屈指のナイトマーケットに行ってみると、食べ物や衣服などには30,000kip~80,000kip(約210円~560円)の値がついていました。
ちなみに、ラオスで額面が最大の紙幣は100,000kip。何だかお金持ちになったような感覚になります。
ラオスキープの暴落、2つの理由
そんなキープの価値が暴落した原因は、大きく分けて2つあります。
①対外債務が返済できない
1つ目は対外債務、つまり外国からの借金にあります。
IMF(国際通貨基金)の調査によると、ラオス政府全体の債務は200 億ドル(約3兆円)近くにも上り、その約8割を対外債務が占めているとのこと(2022年)。ラオスはインフラ整備などのため、日本・中国・韓国といった多くの国や国際機関からお金を借りているのです。
しかもラオスでは財政赤字が続いており、中国から返済の猶予を受けるなど、債務の返済に取り組めていない状況(債務不履行)です。
経済が安定しない中で借金を返していくことは難しいため、ラオスの通貨は世界からどんどん信頼を失っていくというわけです。
②「アジア通貨危機」以降の外貨不足
また、貿易などに必要な外貨(海外のお金)の不足もキープの価値下落の要因だといわれています。発端は、1997年7月に発生した「アジア通貨危機」。隣国・タイなどが不況に陥り、ラオスも電力・木材輸出の大幅減少によって外貨獲得のチャンスが失われました。
一般に国の外貨準備高が不足すると、自国通貨の相場が急変したときに安定を図れなくなります。
膨らむ借金と自国通貨への不安というダブルパンチで、やがてラオス国民も「だったら安定したアメリカドルとかで取引する方が良いかも?」と考えるようになり、キープの暴落に拍車がかかったのです。
アメリカドルさえ信用してくれないときも!?
ここまでアメリカドルを「ラオスで信用度の高い通貨」として紹介してきましたが、なんとアメリカドルさえも信用されないケースもあるんだとか。
その背景には、こんな事件がありました。