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多賀城跡を歩いてみよう!

ここまで多賀城跡の出土品を紹介してきましたが、多賀城跡そのものも一度は訪れたいスポットです。

まずお伝えしたいのはアクセスの良さ。日本の史跡や博物館の中には、車で数十分かけないとたどり着けない場所にあるものも少なくないのですが、多賀城跡はすぐ近くにJR東北本線の国府多賀城駅があり、仙台駅からは約15分と、電車で気軽に行ける史跡なのです。

▲国府多賀城駅北口。時計台が多賀城跡の雰囲気にマッチしています。

これまで何枚かお見せしたように、発掘調査で判明した遺構の様子から当時の施設を再現している多賀城ですが、僕の一番のおすすめは政庁―南門間道路です。

現在復元中の南門から中心部の政庁に続く多賀城のメインストリートで、政庁に登る途中で南門を振り返ると、門の向こうに広がる仙台平野が眺められます。小高い丘の上に作られた多賀城ならではの光景です。

▲前方に見えるのが南門。公開されたらぜひ通り抜けてみたい……。

また、現在も発掘調査が続く史跡なので、場所によっては遺物が落ちているのも見つかります。

▲筆者が見つけた屋根瓦の破片。成形時に当てられていた布の痕が残る。

ただし! 国が指定している史跡内なので、もし遺物を見つけても絶対に持ち帰ってはいけません! ひととおり観察したら、元あった場所に戻すようにしましょう。遺物を探して勝手に地面を掘るのもNGです。※この瓦も、写真を撮った後で元の場所に戻して帰りました。

▲こちらはあやめ園の近くで見つけたチョウトンボ。自然も豊かな多賀城跡には、多くの生き物が集まります。

博物館にも行こう!

そして多賀城跡を訪れた際は、近くの東北歴史博物館にもぜひ足を運んでいただきたいです。博物館は多賀城跡の反対側、なんと国府多賀城駅南口の駅前広場に面しています! 徒歩0分で入館できる駅チカ博物館なのです。

▲東北歴史博物館。左隣に国府多賀城駅がある。

総合展示室の常設展では、旧石器時代から現代に至るまでの東北地方の歴史をテーマにした展示が並び、多賀城出土の遺物や模型も見ることができます。

多賀城跡はこれからも続く

1300周年を迎えた多賀城跡は、現在も施設整備と発掘調査が続いている、今まさに発展中の遺跡であり、これまでの発掘成果に続くさらなる発見も期待できるスポットです。

宮城県に立ち寄った際には、ぜひ多賀城跡まで足を伸ばしてみてください。ここでしか見られないモノや景色が、きっとあなたを待っています!

参考文献

  • 安倍辰夫・平川南『多賀城碑ーその謎を解く』雄山閣出版 1989年
  • 石松好雄・桑原滋郎 古代日本を発掘する4『太宰府と多賀城』岩波書店 1985年
  • 熊谷公男 東北の古代史3『蝦夷と城柵の時代』吉川弘文館 2015年
  • 進藤秋輝 シリーズ「遺跡を学ぶ」066『古代東北統治の拠点 多賀城』新泉社 2010年
  • 平川南『よみがえる古代文書ー漆に封じ込められた日本社会ー』岩波新書 1994年
  • 丸山裕美子「多賀城跡第六十一次調査出土の医方書断簡漆紙文書」『宮城県多賀城跡調査研究所年報1991』1992年
  • 宮城県多賀城跡調査研究所資料Ⅰ『多賀城漆紙文書』 1979年

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この記事を書いた人

東北大学大学院文学研究科・修士1年の楠です。 サークルでクイズをやったり、小説を書いたりしています。専門は考古学(主に平安時代の土師器)で、長期休み中は発掘調査であちこちに行っています。 「日常がクイズになり、クイズが日常になる」記事を書けるよう精進します。ご期待下さい!

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