漢字は難しい。
これは皆さん共通の見解ではないでしょうか。たとえ小中学校で習う漢字でも、案外正しく書けなかったりするものです。
たとえば「博」と「専」。これらはともに小学校で習いますが、間違いが多い漢字です。非常に似た形をしていますが、「博」の右上には点がありますが、「専」の右上には点はありません。
では、どうしてこのようなややこしい事態が起きてしまったのでしょうか?
もともとは違う形だった
「博」と「専」。今でこそ非常に似た形をしていますが、実はもともと違う形でした。それぞれの旧字体はこのようなものです。
旧字体の「博」の右上の部分は「甫」になっています。「補」や「捕」の右側と同じ形ですね。この「甫」、単独の漢字としても存在していて「ホ」と読みます。「補」も「捕」も「ホ」と読みますよね。これは「甫」が音を表す部分だからです。
実は「博」の音を表す部分も「甫」。現在は「ハク」と読みますが、もともとは「ホ」に近い発音だったとされています。
ここから、似たような形でも、点をつけるかつけないかの簡単な区別がつくのです。
ハ行・バ行なら点をつけろ!
たとえば「名簿」の「簿(ボ)」。この右下の部分も「博」同様、かつては「甫」+「寸」でした。「甫」が音を表すので、「ホ」に近い発音です。
これを逆に言えば、発音が「ホ」に近いもの、つまりハ行・バ行には「博」の右上のように点が必要、となります。他には「薄(ボ)」や「敷(フ)」などが挙げられます。これさえ覚えておけば点の要不要には悩まなくて済みそうですね。
逆に、「恵」は音読みが「ケイ」なので点はつきません。「恵」の旧字体と「専」の旧字体は上の部分が同じなんです。
紛らわしいのが「穂」。「ほ」とよむので一瞬点をつけそうになりますが、これは実は訓読み。音読みは「スイ」なので、点は不要です。
◇参考文献