はじめまして! 新人ライターの鞠乃(まりの)と申します。建築学科に所属しています。これからどうぞよろしくお願いします。
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サグラダ・ファミリア(聖家族教会)はスペインのバルセロナに位置している教会で、世界的に有名な建築家のアントニ・ガウディ(1852-1926)が設計を手掛けています。1984年にはアントニ・ガウディの作品群のひとつとして、世界文化遺産にも登録されました。
そんなサグラダ・ファミリアはテレビでもたびたび取り上げられますが、画面に映し出されるのはいつも工事中の姿ですよね。
それもそのはず。サグラダ・ファミリアは1882年の着工以来、140年近く経つ現在も建設中で、まだ完成していないのです。
サグラダ・ファミリア建設中の1887年に着工したエッフェル塔は、そこから2年と2ヶ月で完成しました。これを考慮すると、サグラダ・ファミリアの工期がとても長いことが分かります。
しかし、よく考えたら、なぜ建設にここまでの時間がかかっているのでしょうか。
ということで、今回はサグラダ・ファミリアの建設に時間がかかっている理由について紹介します!
目次
◎建設に時間がかかっている主な理由
・そもそも設計が複雑だから
・設計図やスケッチの多くが焼失したから
・建設の資金を寄付に頼っているから
◎これでも工期は短くなっている!
・コンピューターや3Dプリンターを用いる設計技術が導入された
・コンクリートを使うなど、近代的な建設方法を導入した
・オリンピックにより知名度が上がり、多額の寄付が集まるようになった
◎サグラダ・ファミリアは違法建築だった!?
◎完成の予定が延期に……
建設に時間がかかっている主な理由
理由には色々ありますが、主に以下のようなものがあります。
そもそも設計が複雑だから
ガウディはその独創的な造形が高く評価されている建築家です。幾何学的な形を多用したサグラダ・ファミリアの設計は非常に複雑で、現場の職人に図面ではなく模型での説明によって、設計を理解させることを試みるほどでした。
また、ガウディは、建設が進むごとに現場で生まれたアイデアを元に、設計を何度も修正していました。
ガウディの「サグラダ・ファミリアは『神の家』であるから、神の住む場所を予算の都合などにより左右させてはならない」という妥協なき姿勢は、これを建築としてひとつの形にすることに多くの時間を必要としたのです。
設計図やスケッチの多くが焼失したから
1936年にスペイン内戦が起こり、ガウディが残した設計図やスケッチのほとんどが焼失してしまいました。
それでもなお、ガウディの意志を受け継ぐ人たちが協力し、残ったわずかな資料や模型をもとに建設作業が進められています。
建設の資金を寄付に頼っているから
サグラダ・ファミリアは正式名称を「聖家族贖罪(しょくざい)教会」といいます。「贖罪」とは「犠牲や代償を差し出して罪を償うこと」という意味です。
サグラダ・ファミリアはそもそも、信者からの寄付を資金として建設することを前提として計画された教会だったのです。そのため、建設が順調に進められるかどうかは寄付に左右されていました。
実際、現場は慢性的な資金不足で、建設中断の危機に陥ったことも少なくありませんでした。ガウディ自身が家々を訪ね歩いて、寄付を求めることもありました。
これでも工期は短くなっている!
前述したような理由により建設に時間がかかっているサグラダ・ファミリアですが、実は、これまでの歴史の中で、建設の工期を早めるようなきっかけもありました。これらのきっかけにより、およそ150年の工期が短縮されたといわれています。